コマフィニール、はじまりとおわりの竜の名から。
大陸といえるものから、小さな島までさまざまな浮島が浮かんでいる天空の世界。
島と島のあいだには、海ではなく雲の海“雲海”がひろがっている。
海と言っても泳いで渡れるわけではない。飛竜や飛行船が主な渡航手段。
島の大地に湖や川は流れているが、この世界の人々は“海”を知らない。
一匹の巨大な竜が創世記に関わっていたとされているが、伝説の域をでない。
グランイール。恵まれた大地に芽吹いた大陸の大国。
年若い国だがそれゆえに人々の活力にあふれており、コマフィニールで四季の竜達の加護を最も受けているとされる。
各国の若者達が、富と栄光を求めて集うためさまざまな人種で構成された国だ。
竜人曰く。
この世界は古竜コマフィニールが幾千。幾万もの世界の夢を見ており、世界はその夢の欠片だという。
創世の秘密を知るために幾人もの旅人達が、世界の果てに旅立ったが得られるものは少なく道程は厳しい。
しかし近年、世界の果てにていままで確認された事のない飛竜が確認された。
その飛竜の姿たるや恐ろしく醜くやか。おそろしく獰猛。およそ竜とは思えぬもの。竜のかたちをした、なにか。
時期を同じくしてコマフィニール末端の国々で、疫病や災害被害が発声しており…。
――これを悪夢と言わずなんと言おうか!
そうこれらを“古竜の悪夢”と呼び警鐘鳴らす学者もいるが、現時点では杞憂の一言で片づけられている。
世界の果ては未だ見つかっておらず、雲海の向こうにはまだ見ぬ島があるとも言われており、
その最果てには、古の竜コマフィニールが今もさめぬ夢を見続けているのだと吟遊詩人は伝説をうたう。
雲海を渡るものは数知れないが、雲海に潜って帰って来た者はいない。
雲の海の底には“本物の海”が広がるもうひとつの世界があるのだと浮島の人々は寝物語に語る。
最終更新:2013年05月02日 03:22