雨と静寂


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木の葉から滴り落ちた雫が不規則に屋根を叩く、雫は集まり小川を作り、
薄暗い境内にいくつもの水たまりを作る。
ここは郷外れの寂れた神社、こんな雨の日にやって来る物好きは滅多に居ない。

来るはずのない参拝客を待ちながら、社務所に寝転んで本を読むと、
煮釜の谷底で渦巻く流れの音がかすかに聞こえてくる。
木の葉の音、雨の音、飛沫の音。
音で溢れる静寂、僕が町の稲荷社に行かなかった理由はここにある。
この静寂を独り占めできるなら、多少の不便など些細なことだ。

しばらくすると、レールとブレーキを軋ませて、麻知行きの列車がやってきた。
社務所の窓口から駅を伺ってみても、降りてくる人影は無い。
列車は止まってすぐに汽笛を鳴らし、エンジンを唸らせてあっという間にトンネルの闇へ吸い込まれていく。

再び、僕の周りは静寂で満たされた。