放棄されたレール(獣谷鉄道終端部)

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*夏草、夢の跡 奥平の駅にある、枕木を数本束ねてレールの上に置いただけの粗末な車止め、その先にもしばらくレールは続いている。 放棄されて幾星霜、枕木はとうに朽ち果て土に還り、赤茶けた錆に覆われた二条のレールだけが、森の中を延びてゆく。 この鉄道が出来た頃は、鉄道を谷のさらに奥地へ向けて敷く計画があったと聞く。 鉄路の目指す先が鉱山なのか原生林なのか、はたまた山を越えて村や町を繋ぐ筈だったのか。 また、その計画がなぜ日の目を見なかったのか、今となってはそれすらもわからない。 ただただ、草叢に覆われ、森に呑まれゆく線路が、忘却の彼方に置き去りにされた計画の存在を語り継いでいく。
*夏草、夢の跡 奥平の駅にある、枕木を数本束ねてレールの上に置いただけの粗末な車止め、その先にもしばらくレールは続いている。 放棄されて幾星霜、枕木はとうに朽ち果て土に還り、赤茶けた錆に覆われた二条のレールだけが、森の中を延びてゆく。 この鉄道が出来た頃は、鉄道を谷のさらに奥地へ向けて敷く計画があったと聞く。 鉄路の目指す先が鉱山なのか原生林なのか、はたまた山を越えて村や町を繋ぐ筈だったのか。 また、その計画がなぜ日の目を見なかったのか、今となってはそれすらもわからない。 ただただ、草叢に覆われ、森に呑まれゆく線路が、忘却の彼方に置き去りにされた計画の存在を語り継いでいく。 #image(20130608_101449_2.jpg)

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