菜の花

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連続する鉄橋とトンネル、狐耳稲荷の鳥居と稲荷前駅の簡素なホーム。 DD41の引く貨物列車はゆっくりと、しかし軽快に渓谷を進んで行く。 開け放った窓から入ってくる春風が心地いい。 今日は初めて教官のいない一人での乗務。 緊張はしている。しかしそれは見習いの頃に比べれば大したことはない。 列車がトンネルに差し掛かるのに合わせて警笛を鳴らした。 トンネルを抜けると、目に入ってきたのは浅黄色だった。 菜の花。 線路脇が菜の花で埋まっている。 教官を気にしながら運転台にしがみついていた頃には気づかなかった光景。 窓から入ってくる春風は、お世辞にも好きとは言えない、しかし嫌いでもない匂いを運んできた。 列車を少し減速させて一面に咲く菜の花に見とれる。 ふと菜の花の合間にカメラを構えた猫耳のあの子を見た気がした。 そうだ、今度俺もminoltaXDを持ってここへ来よう。 なぜかジョイント音がいつもよりリズミカルに聞こえた。 [[物語一覧へ>http://www57.atwiki.jp/kemonotani/pages/18.html]]

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