「その通り。『森の言霊』の源流……元を辿れば、それはバリアントがボク達のために紡い
だもの」
だが、自然だって己の意思を持たないわけではない。風の唸り、木の葉のざわめき、小
川のせせらぎ、それら些細なものに耳を傾けてみると、拾える『意思』が確かに存在する。
その意思を漏らすことなく拾える稀有な才能の持ち主こそが、『霊樹師』であり、自然の
囁きを人間の言語に置き換え、紡がれるものが『森の言霊』である。
不意に、彼女の口元から人の言語とは思えない不可思議な音色が奏でられた。
それは言葉のようでもあり、祝詞のようでもあった。