「〈誘眠〉」 少女の声とともに、魔方陣のような図形が槙奈に向かって迫ってきた。槙奈は慌てて後 方に飛び退くが——遅い。光の線は槙奈の胸元に触れると、その中に吸い込まれるように 消えていった。 (中略) 異常とも言える——否、異常としか言いようのない、急激な眠気が全身を襲う。先ほど とは比べものにならない脱力感。身体は鉛のように重たくなり、立っていることさえで きなくなる。 廊下に膝が触れた頃にはもう、槙奈は意識を保っていなかった。
タグ: