エイヴィヒカイト

作品名:Dies irae
用語分類:術技分類
別呼称:高等魔術永劫破壊
独表記:die Ewigkeit

神座万象シリーズに登場する用語。
人と聖遺物を融合させることで超人を作り出す錬金術。
殺して聖遺物に魂を貯蔵する程、強くなる法であり、4段階の位階に分かれる。




用語について

超人錬成法

  • カール・クラフト=メルクリウスの編み出した術
  • 使用者を選ぶ力
    • 超人を作るのに超人がいる秘法。
      • 天性の素養がなければそもそも使えない。
「悪いのはむしろ、副首領閣下だ。傑出した人物特有の歪みですが、彼の超
 人創造、ないし魔人錬成ですか──それは汎用性という面において、まっ
 たくどうしようもない欠陥品だった」
「つまり、難易度が高すぎるのですよ。こんなことを言うのは口幅ったいの
 ですが、あなたやそして我々は、奇跡的に優越な人種だからこそ彼の秘法
 に耐えられたというだけにすぎない」

超人化

  • 魂の貯蓄量して強化する術理
    • 殺せば殺すほど聖遺物が魂を貯蓄して強くなる。
 ──エイヴィヒカイト。
 聖遺物を操り、法則を破壊する術こそがエイヴィヒカイト。
 私が編み上げ、盟友とその下僕たちに授けた秘法の銘がエイヴィヒカイト。

 (中略)

 聖遺物は魂を求めるゆえに、彼らは殺せば殺すほど、喰らえば喰らうほど強くなる。
  • 魂を喰われた人間は塵になる。
    • 死亡直後で原型が残っていようと簒奪者の損耗具合によっては即座に消滅する。
シュピーネを斃したことにより奴の聖遺物は消滅し、またそれによって命を
絶たれた犠牲者達の遺体も塵になって消え失せた。
魂を喰われるとは、つまりこういうことなのだろう。簒奪者が死んでしまえ
ば、それに関係した全てが連鎖して消滅する。
  • 超人化する前に得た傷が完治する
    • 欠損した腕が生えて傷が癒える。
 哄笑と共に、幾千の紙片が司狼を覆い、飲み込んでいく。それは紛れもな
い書の頁であり、血を叫喚に濡れた激痛の記憶。
 エリザベート・バートリー──その断末魔が染み付いた呪いだった。
 失われた左腕が、血肉を持って再生する。書が全身に入り込み、その魂と
融合する。
 時間にしてほんの数秒……“生まれ変わり”が終わった後にも(以下略)
  • 貯蔵する魂の純度で強さが異なる
    • 純粋な神格の魂一個は一般人の魂数千個を凌駕する。
 よろしいかね、ツァラトゥストラ──
 私が君に贈るのは、人類最悪にして最美の魂。
 彼女と共にある君が、たかだか千や二千の雑魂ごときを、凌駕できぬはずがあるまい。

+ 一般人の魂の質
  • 自身の意志で行動できるものほど魂の質が良い
    • 生き汚いだけの常人でも一般人の2倍近く質が良い。
 クラブ、ボトムレス・ピットに集う者らの魂は、なかなかどうして上質だ。
霊的に鍛えられているというわけではなく、単に彼らは生き汚い。

(中略)

 ゆえに彼ら凡人を捧げるならば五百は殺す必要があるスワスチカも、ここ
の者らなら二百か三百で足りるはず。


使い手の基本性能

攻撃能力

  • 霊体への攻撃可能
    • 聖遺物による攻撃は物理的・霊的の両面で防がなければ止められない。
 常人なら即死。たとえ実体を持たぬ死霊の類でも、聖遺物を武装化する彼ら
の秘奥はあらゆるものを殺傷する。
 人であれ、魔であれ、神であれ、戦えば鏖殺。
 修羅の戦鬼のみが揮える禁断の遺産とその攻撃を、無効化する法は事実上存
在しない。
  • 罪業の深さによる再生阻害
    • 再生阻害は罪業の深さによって強力になる
      • エイヴィッヒカイト使用者には無効
 聖遺物で受けた傷は、通常の負傷ではない。歴史を重ねることで蓄積された
想念は呪いであり、致命的な毒となりうる。
 ましてそれは、彼らのような外道の輩にこそ効力を発揮しやすい。
 ルサルカの顔が苦痛に歪んだ。

 (中略)

 再生を始めた傷口から赤い煙を立ち上らせつつ、ヴィルヘルムとルサルカは
再び追跡を開始した。

防御性能

  • 聖遺物かそれを上回る神秘でしか倒せない
    • 霊的と物理的両方で死亡しない限り死なない。
    • 生物兵器や絶対零度、無酸素などの極環境でも生存可能。
「原則を忘れないで。聖遺物を持つ者は聖遺物でしか斃せない」
「私達は毒ガスを吸っても死なないし、無酸素で窒息するようなこともな
 い」
「だけど、苦しい事は苦しい。心臓は不随意筋、自分の意志でコントロー
 ルできないし、血中酸素がなくなれば活動に支障をきたす」

 (中略)

「ベイも、マレウスも、他の誰でも、これくらいで膝ついたりしないわ
 よ。彼らは戦禍を吸って生きている。もう酸素なんか必要としてない」
  • 聖遺物内の魂と融合した魂が砕かれることで死亡する
    • 霊質が砕かれた結果物質(肉体)が崩壊する。
    • 魂を砕かれなければ物質の崩壊まで至らない。
「聖なる遺物に宿る魂。それに溶け合い、融合した己の魂。この二つを砕か
 れるからこそ、霊質の破壊が物質の破壊に繋がるのだ。蓋をこじ開け、中
 身を抜き取った程度では、私も卿も誰も死なぬよ」
  • 不老かつ病毒に対する耐性を持つ
    • 魂は死にたがる構造になっているため、寿命に左右されない。
「そう、永遠よ。エイヴィヒカイトによって、いくら怪我や病や老化をしのげ
 る身体になっても、魂は違う。人間の魂は百年程度で衰弱し、死んでしまう
 の。わたしのように魔道を修めて人間の枷から外れたとしても、せいぜい三百年かそこらが限界なのよ」

対聖遺物戦

  • 殺気や闘気から生じる魔力のぶつけ合い
    • 祈りや想念から発せられる魔力の強さが聖遺物戦闘の勝敗を分ける。
聖遺物を用いる闘いでは、殺気と殺気のぶつけ合いであり、比べ合いでもあ
る。闘気、殺気、それを根源とした魔力が上回った方が勝つ。
技術は、実は二の次だ。そうでなければ、殺しの技術を半世紀以上磨き続け
た連中に、俺が敵うはずも無い。

位階

  • エイヴィヒカイトの熟練度に応じた位階が存在する
    • 位階の高さがそのまま基本性能の高さに変わる。
上から順に
  1. 流出
  2. 創造
  3. 形成
  4. 活動
の位階が存在する

「聖遺物を操るエイヴィヒカイトには、熟練度に応じた位階がある。どんなこ
 とにも共通する基本がそうであるように、慣れればより強くなるのよ
 今のあなたは活動位階……基本中の基本、レベル1」

 (中略)

「レベル2は“形成”……あなたの中にある災害、聖遺物の形を成すこと。
 狂気を凶器に具現化し、それを取り上げ武装する」

 (中略)

「“形成”に入ることで、さらに四種類のタイプ分けがされるのよ。同じエイ
 ヴィヒカイトの使い手でも、そのスタイルには差異がある
 聖遺物をどのように武器化するか、何が得手で、何が不得手か……これは使
 い手の性格や聖遺物の系統によって変わるもので、大別すると四つある」

その他


+ 魂の視認
  • 特殊な視界の展開
    • 霊視を行い魂を見る。
      • 魂の形で個人を特定できる。
 通常とは識閾の異なる視界……いわゆる霊視と呼ばれる眼を開くのが戦闘時
の癖となっている彼らにとって、顔貌を確認せずとも魂の色で個人の特定は可
能である。

+ 望遠機能
  • 超望遠の視覚(エレオノーレ・フォン・ヴィッテンブルク)
    • 五百メートル彼方にいる黒衣の人間を衣服の皺に至るまで視覚が可能
 闇の中、黒衣のリザはすでに五百メートル彼方にいる。肉眼どころか、た
とえ望遠のレンズ越しでも容易には見つけられまい。
 だが、紅蓮の騎士はその姿を、目で鮮明に捉えていた。
 遊園地の中央。観覧車の鉄骨に捕まりこちらを睨む彼女の表情──髪の一
本から衣服の皺に至るまで。

+ テリトリー空間の拡張(藤井蓮
  • パーソナルスペースを広げての探知
    • 範囲内の人物のバイタリティーを感知する。
人間に限らず、生き物なら誰でも自分のテリトリーを持っている。それは親
しくもない赤の他人に侵されたら、不快に思う個々人の距離感覚。
例えるなら公共の食堂やトイレ、遊技場、なんでもいい。隣の奴から一つ二
つは席を開けて、無意識のうちに間合いを取るという行為がそれだ。一般
に、若い男であればあるほど、その範囲は広いらしい。

(中略)

目を閉じれば、それを肌で感じられる。俺から一メートルも離れていないと
ころに本城の気配。彼女の呼吸、心音、精神状態……それらを察し、知覚し
てから、テリトリーを拡大させた。
二メートル、三メートル、四メートル、五メートル……前後左右上方下方、等しく球形に広がるテリトリー。
ヴィルヘルムの意志で覆われたこの空間に、内側から俺の世界を作り出す。
それは当然縄張りの鬩ぎ合いになり、広がりは牛歩の遅さだが、確実に自分
の知覚可能領域を広げていった。

+ 言語の獲得
  • 犠牲者全員の言語野を獲得
    • 知らない言語であっても殺した相手にその言語を話せる者がいれば言語野を共有して使える。
「“この中に”、その日本人もいたっっていうだけだと思うよ。言語野なんて
のは共有しやすいからこの通りだけど、(以下略)」

+ 読心(ウォルフガング・シュライバー)
  • 犠牲者のバイタル全パターンからの読心
    • 18万5731人のバイタルパターンから熟知し、相手の思考や状態を把握する。
 鼻は鮫、眼は猛禽、耳は蝙蝠の昆虫───
 狼の牙と四肢は殺戮の役にしか立たないが、それ以外の器官は獲物の内面
を抉りぬく。抉って、理解ではなく現象として受け止める。
 彼は、浴びた血と悲鳴の数だけ獲物というものを知り抜いていた。
 目線、表情、心音、発汗、アドレナリン……そうしたものを観て、聴い
て、嗅ぎ分ける。
 つまり、先ほどから忙しなく回っていたルサルカの思考など、彼の前では
丸裸も同然だった。

+ 神体(ラインハルト・トリスタン・オイゲン・ハイドリヒ)
  • 数百万人を超える魂を納めた肉体
    • 肉体自体が破壊不能に等しい防御力を持つ。
    • 眼光で相手を吹き飛ばし、素手で最高級聖遺物を破壊する。
  • 超精度の攻撃予測
    • 数百万人分の経験から攻撃の未来予知に等しい精度で攻撃を防ぐ。
 しかし、今このときに展開している超反応の数々は、将として大軍団を統率
する器と才覚、そしてカリスマ。
 なぜなら、彼が率いているのは総軍数百万の戦死者たちだ。その一人一人が
有する記憶と知識を、残らず喰らい尽くしている。
 であれば、踏んだ修羅場の数も密度も、すでに膨大という言葉ごときでは追
いつかない。


元ネタ

エイヴィヒカイト(die Ewigkeit
ドイツ語で「永劫」を意味する語。


関連項目

エイヴィヒカイトにおける第一位階。
聖遺物の特性を肉体へ乗せる。

エイヴィヒカイトにおける第二位階。
特性を宿した聖遺物を具現化させる。

エイヴィヒカイトにおける第三位階。
聖遺物の特性と使用者の渇望から異界法則を生み出す。

エイヴィヒカイトにおける第四位階。
創造位階で生み出した理を全世界へ流れ出させる。

エイヴィヒカイトではなくテスラコイルを使って物理的に聖遺物と融合した女性たち。
強制的に形成位階へ到達する。

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最終更新:2020年04月22日 12:03