その巨大なものは、初めに見たものとは
かたちが違う。鋼鉄でできた、人間の型。
人間に、似ている。
鋼でできた、まるで、巨人のよう。
人間にはありえない歪んだ頭部が蠢いて、
瞳から赤色を流しながら、悲鳴を続けて。
その、肋骨のような鋼の檻にも似た胴には、
何かがある。何。これは。
人間……それとも、人形?
怪物が巨大な手のひらを広げてみせる。
鉄の擦れる嫌な音がした。
長い長い鉤爪。
人間なんて一振りで両断しそうな、爪。
酷い湿気と悪臭が怪物の実在を告げる。
ぬるりと滴る体液は、地面に落ちると
黒い石畳を穿った。