噴き出す鮮血のような勢いで、彼女の手の中に出現したのは紅い槍。大柄なベアトリスの身
の丈をも上回る長槍である。
ベアトリスの手の中で、真紅の槍は生物のように形を変え、死角から次々に雪菜を襲う。間
合いも型も、使い手であるベアトリスの動きすら無関係に自ら攻撃を仕掛けてくるのだ。
(中略)
その反応速度は人間の限界を遥かに超えて、(以下略)
ベアトリスが絶叫した。彼女の眷獣が一気に倍近く膨れあがり、幾筋にも枝分かれしながら、
王女へと殺到する。
女吸血鬼の手の中に、深紅の槍が現れる。宿主の怒りを反映してるのか、彼女の槍型の眷
獣は、いくつもの鉤爪や逆棘を生やした凶悪な姿へと変わっていた。