空中を泳いでいる魚達は、徐々に名薙との距離を詰めてきたいた。その姿が光に照らし出さ
れると、あまりの不気味さに背筋が凍った。全身を金属製の硬い鱗に覆われたシルエット。
鋸のような鋭い牙が生え揃う口は、人間など丸呑みにできる大口である。目玉は巨大で、白
目を剥いているかのように瞳孔が見受けられない。
《奴等は〝深海魚〟と呼ばれるマモノです。黒い霧の中を泳ぎ、光に群がってくる習性
を持っています。音もなく上空から忍び寄り、でかい牙で、獲物に頭からかぶりつく。この森
の中で光なんて発していたら、そりゃあ喰ってくださいと言ってるようなもんです》