372 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします: 2011/08/28(日) 14:29:53.29 ID:uCt3UZJZ0
・ありがとう!
唯は相変わらずだった。
そもそも唯の手は「掴む」「握る」「叩く」こと以外はできない。
箸はもちろん持てないし、字も書けない。絵を描くときはクレヨンを握って描く。
食事は調子のいいときはスプーンとフォークで、しかしほとんどは手づかみだ。
373 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします: 2011/08/28(日) 14:31:58.11 ID:uCt3UZJZ0
虫を捕まえようとするときなどは「摘む」という動作が出来ないため、すぐに握り潰してしまう。
憂に連れて行ったペットショップで売り物のカブトムシを全て潰してしまったこともあった。
そんな唯であるから、ギターのような繊細な動作を必要とする楽器などはできるはずもなかった。
374 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします: 2011/08/28(日) 14:33:30.29 ID:PFP7xjbq0
めっちゃ面白い
現実にもこんなヤツいんのかな
375 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします: 2011/08/28(日) 14:33:49.24 ID:/hqdoArJ0
ギターの打楽器奏法新境地が拓かれるのか
376 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします: 2011/08/28(日) 14:34:06.52 ID:uCt3UZJZ0
しかし憂は根気強く唯の間違った指の形をなおしてやり、右手のピッキングも丁寧に教える。
鞭は極力使わないことにした。
音楽の楽しさに気づくきっかけを阻害してしまうと考えたからだ。
そうして2時間ほどたった時だった。
377 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします: 2011/08/28(日) 14:35:50.98 ID:VkFxkBpX0
奇跡のシンフォニーっていう映画を見るといいよ
叩いて演奏してるよ
378 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします: 2011/08/28(日) 14:36:55.05 ID:NGf7Wa1N0
>>375
この境地に到達するんだなw
http://www.nicovideo.jp/watch/sm125086
379 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします: 2011/08/28(日) 14:37:35.88 ID:W3WNjQ6w0
憂「さあお姉ちゃん、弾いてごらん。Cだよ」
何度目になるだろうか。憂は唯の左手の形を矯正してやり、ピッキングを促す。
唯の大きな右手が弦の上に振り下ろされた。
ヂャーン
憂「え…?」
憂は耳を疑った。
380 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします: 2011/08/28(日) 14:39:15.38 ID:/hqdoArJ0
ヂャーンキタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━!!!!!
381 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします: 2011/08/28(日) 14:39:46.80 ID:W3WNjQ6w0
>>378
すごい
憂「お姉ちゃん、もう一回!」
唯「あーう('q')」
憂「あ…」
太い不器用な左手の指が隣り合った弦にあたって音を濁らせ、外れた音も聞こえていたが、唯はたしかにCっぽい音を奏でていた。
382 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします: 2011/08/28(日) 14:41:36.27 ID:6SRQbEHg0
くせえ
383 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします: 2011/08/28(日) 14:42:05.01 ID:W3WNjQ6w0
憂「もう一回!」
偶然ではなかった。
何度やらせても唯はきちんとCっぽい音を出していた。
憂「やった!やったよぉ、お姉ちゃん!」
384 :忍法帖【Lv=21,xxxPT】: 2011/08/28(日) 14:43:08.59 ID:bIDjCWN60
>>378なんだこいつwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww
385 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします: 2011/08/28(日) 14:44:14.08 ID:W3WNjQ6w0
憂が唯を抱きしめる。
強烈なウンチの残り香がしたが、些細なことだった。
唯は一歩、確実に前に踏み出したのだ。
憂「お姉ちゃん、これがCだよ!」
唯「あう?しー?('q')」
憂「そうだよ!お姉ちゃんが弾いたんだよ!えらいよ!」
唯「ゆい、えらい?おりこーさん?(゚q゚)」
憂「おりこうさんだよ!」
唯「あーう!ゆい、おりこーさん!(^q^)」ふんす
386 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします: 2011/08/28(日) 14:44:19.63 ID:jWXY/Ojh0
キモいのが沸いてやがる
387 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします: 2011/08/28(日) 14:45:58.42 ID:0IEzk60H0
どうせすぐ忘れるんだろ
388 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします: 2011/08/28(日) 14:47:16.61 ID:W3WNjQ6w0
お仕置きにおびえて嫌々練習していた唯に笑顔が戻った。
憂が身体を離すと、唯は得意そうに何度も何度もCっぽいコードを弾き続けた。
憂「じゃあお姉ちゃん、ご飯の準備するからね。今日はごちそうにしましょう」
唯「あーう!(^q^)」
389 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします: 2011/08/28(日) 14:49:25.67 ID:W3WNjQ6w0
いつもならちょっとでも褒められると
唯『ゆい、おりこーさん!あいすよこすでつ!(^q^)』
とアイスを無心するのだが、唯自身Cっぽいコードを弾けたことがとても嬉しいのだろう。
アイスのことも忘れ、一心不乱にCっぽいコードを弾いていた。
390 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします: 2011/08/28(日) 14:49:29.10 ID:cSF3liI80
支援
391 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします: 2011/08/28(日) 14:50:13.97 ID:3MzukFU50
っぽい
392 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします: 2011/08/28(日) 14:51:35.36 ID:W3WNjQ6w0
憂「その前にお弁当箱洗っちゃうね」
憂は唯の汚い鞄を開ける。
中から以前唯がなくしてしまったものの2倍の容量を持つ、不細工な豚のお弁当箱を取り出した。
以前使っていたお弁当箱は唯が小学生のころからの大切なお友達だったが、どこかになくしてしまったらしい。
393 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] : 2011/08/28(日) 14:52:16.64 ID:RCoQ4mlH0
ええはなしや ④
394 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします: 2011/08/28(日) 14:53:52.57 ID:uounG5y10
唯は池沼なので、もちろんどこで紛失したかなどということは覚えていなかった。
最近になって唯は、この新しいお弁当箱ともようやく仲良くなれたらしい。
毎日憂が鞄に入れてやるたびに
唯『ぶたさん!ぶたさん!ゆいもぶたさんでつよ!ぶーぶー(^oo^)』
と豚のまねをして四つん這いになり、興奮して部屋中を豚のように走り回るのだ。
395 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします: 2011/08/28(日) 14:55:26.57 ID:31ShzjCa0
唯が「ぎーた!!ぎーた!!」泣き叫んでいる前で
ギターを壊すのか
396 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします: 2011/08/28(日) 14:56:01.17 ID:uounG5y10
しかし唯は、お友達の豚のお弁当箱を前にしてもギターをかき鳴らし続けている。
「何かをできるようになった」ことがよほど嬉しいのだろう。
そう、昔「じこしょうかい」を覚えた時のように。
憂は微笑んでその光景を見ながら鞄の中からなかよし学校の連絡帳を取り出し、開いた。
憂「あれ、何だろう」
連絡帳にはくちゃくちゃになった一枚の紙が挟まっていた。
黒い鉛筆でぐちゃぐちゃの汚い模様が描かれている。
397 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします: 2011/08/28(日) 14:58:44.52 ID:uounG5y10
憂「お姉ちゃん、これは何?」
ゴミだったらすぐに捨てるのだが、わざわざ連絡帳に挟まっていたというのは何か意味があるものなのだろう。
唯「あう?(゚q゚)」
Cっぽいコードをかき鳴らしていた唯がようやく手を止め、憂の手にある紙を見た。
唯「あーう…('q')あう!おてがみでつ!(^q^)」
唯は暫く考えた後、これが手紙であることを告げた。
398 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします: 2011/08/28(日) 14:59:51.76 ID:PFP7xjbq0
憂が健気すぎて泣ける
399 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします: 2011/08/28(日) 15:01:28.07 ID:uounG5y10
憂「手紙?」
どう見ても落書き以下の汚い模様にしか見えないが、唯が言うのならそうなのだろう。
唯「あーう!うーいにおてがみ!ゆい、かいた!(^q^)」
憂「私に?なんて書いてあるのかなあ」
読めなかった。
400 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします: 2011/08/28(日) 15:02:56.05 ID:uounG5y10
唯「うーい!ありがとう!(^q^)」
憂「…え?」
憂が絶句した。
唯は池沼なので、誰かに何かをしてもらうことを当たり前だと思っており、他人に感謝をするということがなかった。
その唯が。
401 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします: 2011/08/28(日) 15:03:06.15 ID:31ShzjCa0
カタストロフィーは?
カタストロフィーはないんですか?
402 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします: 2011/08/28(日) 15:03:58.04 ID:onhRVGfE0
イイハナシダナー
403 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします: 2011/08/28(日) 15:04:22.30 ID:uounG5y10
唯「うーい、ありがとう!うーい!ありがとう!(^q^)」キャキャキャ
憂「お姉ちゃん…」
唯は何度も「ありがとう」を繰り返す。
憂の目から涙が溢れた。
これほどまでに唯を愛おしく思ったことはなかった。
信じ続けること。
それは大きな力となって。
404 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします: 2011/08/28(日) 15:04:32.85 ID:dYcRuR/SO
泣いた
405 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします: 2011/08/28(日) 15:05:06.62 ID:VkFxkBpX0
イイハナシダナー
406 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします: 2011/08/28(日) 15:05:26.17 ID:8g/Ow977O
カタストロフィなどない!
スカトロで満足してろ!
407 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします: 2011/08/28(日) 15:06:03.78 ID:uounG5y10
唯「うーい、なく、だめ(゚q゚)」
憂「そうだね、ごめんね。じゃあご飯の用意するから」
憂はやっとのことで涙を隠して立ち上がり、キッチンへ向かう。
キッチンへ向かう間、何度も唯の手紙らしきものを見ては涙ぐんだり微笑んだりした。
憂「額に入れて大事にしなきゃ」
408 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] : 2011/08/28(日) 15:06:49.57 ID:CAbWc+Fh0
泣けるでえ・・・
409 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします: 2011/08/28(日) 15:08:00.88 ID:uounG5y10
実はこの手紙は、唯がなかよし学校に入学してすぐに行われた授業の一環だった。
「いつもお世話になっている人にお礼のお手紙を書きましょう」という課題だ。
同級生の池沼たちは一生懸命普段世話をしてくれる家族に手紙を書いたが、
唯は池沼の中の池沼なので字を書くことができずにぐしゃぐしゃの落書きを紙に書いた。
しかしなかよし学校でも、字を書くことができない池沼のための特別なカリキュラムが組まれていた。
410 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします: 2011/08/28(日) 15:10:04.44 ID:uounG5y10
自分が書いたその手紙のようなものを見るたび「ありがとう」と言えるようにすり込むのだ。
謂わば条件反射である。
字が書けない程の池沼でも皆すぐに出来るようになったが、池沼の中の池沼である唯がそれを覚えるのには数ヶ月を要した。
411 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします: 2011/08/28(日) 15:11:46.51 ID:uounG5y10
そして今日やっと刷り込みが完了したので、なかよし学校の先生は唯の連絡帳に手紙らしきものを挟んで持たせてやったのだった。
そして唯はきちんと条件反射することが出来た。なかよし学校の取り組みは実を結んだと言えるだろう。
412 :忍法帖【Lv=21,xxxPT】: 2011/08/28(日) 15:11:47.98 ID:bIDjCWN60
いいぞいいぞ
413 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] : 2011/08/28(日) 15:13:08.94 ID:UpQCDhCz0
作者の前作からしてカタストロフィは避け得ないだろう
414 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします: 2011/08/28(日) 15:13:25.22 ID:m9Cckyj10
おいこれは・・・
415 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします: 2011/08/28(日) 15:13:33.90 ID:uounG5y10
いきさつはともあれ憂はかつてないほど優しい気持ちになった。
憂「ご褒美にアイスをあげなくちゃ」
いつもならご飯の前に唯がアイスをねだると激しいお仕置きを加える憂だったが、今日だけは唯の希望を叶えてやろうと思った。
憂「お姉ちゃーん!ご飯の前に、1個だけならアイスを食べてもいいわよ!」
…返事がない。
416 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします: 2011/08/28(日) 15:14:42.72 ID:VkFxkBpX0
(゜д゜)
417 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします: 2011/08/28(日) 15:14:57.24 ID:uounG5y10
いつもなら「あいす」という単語を聞いただけで涎を垂らしながら駆けてくるのに。
憂「まだぎいたに夢中なのかしら…お姉ちゃん?」
リビングに唯の姿はなかった。ぎいたも見当たらない。
そして玄関からは、唯のお気に入りの豚の柄の靴がなくなっているのだった。
418 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] : 2011/08/28(日) 15:16:18.16 ID:joxF91PS0
なん…
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