DH4 ~Battle Cinderella~
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DH4 ~Battle Cinderella~
ja
2014-01-28T22:00:40+09:00
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Battle Cinderella~sea side episod06【業と才】~
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*Battle Cinderella~sea side episod06【業と才】~
●招待
しかし、なんという十日間だったのだろう。
少年は嘆息する。
思えば最初からクライマックスだった。そして最後まで”とんでもない”展開だった。
ある日訳も判らないまま浚われたのを皮切りに、見張りのお姉さんに逃がしてもらい脱走、
仲間たちとの合流もままならないまま
学園の先輩に助けられ、病院でひとりの少女に出会った。そして離れ離れに。
そして彼女は再び彼の前に現れた。
その彼女は着衣の乱れを治すと改め、こちらをくるりと向うとくすりと笑った。
『蹴り』が突きましたよ、そんな顔だった。
たぶん今のが最後の戦いだったのだろう。
周りにはその決着を見届けようと、たくさんの女性達が集まってきていたからだ。
決着はどこかの誰かを彷彿とさせるひざ蹴りだった。
(なお、この場に男性はいない、軽く運命淘汰された)
そして自分へと歩を踏み出す出会いの少女。
対戦相手の女医さんとそこに慌て駆けよる看護師さんの姿。
少し距離を置き壁に手をつき、何かを思慮気に呟く、彼の妹。
横になんか凄い水着姿で駆けて来るシスター。
まるでスローモーションのようだった。
その全ての動きがまるでコマ送りの映像のように、少年の眼には酷くゆっくり鮮明に映っていた。
あまりに唐突で衝撃過ぎる、その最後の出会いによって
『じゃ ラストステージにご案内するか、少年少女 』
少年へと皆駆けよる中、全員の中心点に、まるで割り込むような形で、頭から真っ逆さまに、
少年の『同級生』が天上から落ちてきた。
「へ?のもっ…」
いや死んじゃうでしょて落下シーンの彼女と視線が合った瞬間、彼は笑いを含んだその言葉を確かに聞いた。
――――――― ☆ ☆ ☆ D P 戦 略 ☆ ☆ ☆ ―――――――――
と。
ポーポー。
どこかで汽笛のなる音が聞こえてきた。
●間奏曲『Dangerous crossover』
Dange-rous crossover!
Dange-rous crossover!
Beyond this point.no life is in danger ahead!!
☆!Ole!☆
TOKYOのとある夜~ ”彼”が倒れた時から
オレ達はひとつ 同じ夢を追いかけ始めた
宗教者も政治家も 科学者も予言者も~
もう誰も明日さえ見通せなっている、暗い暗い闇の時代が続くけど~
だけど、だから、「少年(おまえ)」に愛に行く。
Rock!Rock! ROCK in the heart
Rock!Rock! ROCK in the heart
☆☆☆
Dange-rous crossover!
Dange-rous crossover!
Beyond this point.no life is in danger ahead!!
さあ!南から北まで さあ!東から西まで、右も左も関係ねぇ~
オレと楽しまないか?
心に不満を抱いて ため息も飲み込んで
ただ、このまま だらだら Choro-in(おちて)いくつもりかい?
熱く熱く燃えてお前と踊りたい
夢を夢を抱きよせ踊りたい。
Rock!Rock! ROCK in the heart
Rock!Rock! ROCK in the heart
運命を!サダメを!塗りつぶせーーーーー!
Rock!Rock! ROCK in the heart
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2014-01-28T22:00:40+09:00
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リミラヴが使い魔になった日のこと
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*魔技姫ラクティ☆パルプ・エピローグ「リミラヴが使い魔になった日のこと」
「まだ終わっていません!」
バーン! 謎の襲撃者を操っていた真犯人、大納言蘭の病室に現れたのは……
「ハルコ!!」
瑠璃奈と静穂が同時に叫び、パルプのもとに駆け寄って我先にと飛びついた。
【魔技姫ラクティ☆パルプ・エピローグ「リミラヴが使い魔になった日のこと」】
「心配したんだよ!」
「本当に……。どこで何をしてたの……?」
2人とも涙声だ。
帰ってきた友人を二度と失うまいと、強く強くすがりついている。
「ごめんね。実は……ホテルで寝てたの」
パルプは決まり悪そうに答えた。
「なんだよ! なんなんだよその理由は!」
「えー……寝てたって……」
2人は口々に非難の言葉を述べるが、嬉し涙はとめどなく、しがみついた腕は固く離さない。
「みんなも見たかな? 私、未来の姿になったんだけどね、それがとてもキツかったらしくて、ぐっすり寝たなーって思ったら4日も経っててもうビックリ!」
「ホントにビックリだよ!」
「良かった……戻ってきてくれて……!」
言われて見ればパルプの姿は〈未来支配者〉ではなく、見慣れた魔技姫ラクティ☆パルプだ。
「ごめんなさい……ハルコちゃん……私のせいで辛い思いをさせてしまって……」
蘭は涙ながらにパルプへ謝罪した。
「えっ、どなた様……でしょうか?」
見知らぬ美人に突然謝られて、パルプは驚き聞き返した。
蘭は傍らのフルフェイスヘルム型を手に取って見せる。
「あっ、大納言先輩! いいんです。先輩のお陰で、私は素晴らしい出会いを得ることができましたから」
そう言ってパルプは、ラクティ☆ロッドを掲げた。
ロッド先端の星形のレリーフが輝き出す。
「謎の襲撃者は、先輩自身が生み出した神足光璃さんのコピーでした」
「……はい。……その通りです」
ロッドの光が強まり、神妙な顔をした蘭のことを照らす。
「先輩は言われました。『仇を討って』と」
「……はい。……えっ?」
更にロッドの光が強まる。蘭は嫌な予感がして表情を曇らせた。
「ラクティ☆パルプがばっちり解決致します!」
「えっ? えええっ!?」
パルプは光輝くロッドをラクロススティックのように振り下ろす!
ロッドの先端から光弾が放たれ、ベッド上の蘭に目掛けて飛び……命中炸裂!
「シャイニング☆ピュリフィケイション!」
光に打たれた蘭の身体から、線虫様の生物が弾き出され病室の木の床に落下した。
「クリスタル☆アクアリウム!」
そして光のケージが赤白い虫を捕獲する。
「この虫は一体……?」
気味悪がる蘭の疑問に、パルプが答える。
「これはマジカニアの魔法生物『リンガ虫』。人の弱い心を増幅して操る厄介な生き物です」
「この虫のせいで私は……ううん、違う。悪いのは私。悪かったのは私の弱い心……」
「人は誰しも弱い心を持ってます。でも、自分の心としっかりと向き合えば、弱さは弱さではなくなります。先輩はいつも自分自身を見つめ、技を磨いてきました。だから大丈夫。これからも」
パルプは長くて短かった世界格闘大会を振り返る。
戦いを通じてパルプは自分自身の弱さを何度も思い知らされ、遂には心折れ倒れた。
しかし、絶望の淵でパルプは心の奥底にある強い想いに気付き、立ち上がることができた。
強い想いがあれば、誰だって変われるし、何度負けても決して負けない。
「でも……なんでこんな虫が妃芽薗に……?」
静穂が問う。その胸は中学生としてはかなりのものだが、大納言先輩はもっとすごかった。
「心当たりがあります。――これから、その虫を先輩に寄生させた真の黒幕に会おうと思います」
パルプは毅然として言った。
「また危ないことする気なの! ダメ! 行かせない!」
瑠璃奈が血相を変えてパルプの腕を掴み、引き止めようとした。
一度言いだしたら誰もパルプを止められないことは解っていたが、それでも引き止めようとした。
瑠璃奈の胸についてはノーコメントにしてあげるのが優しさだろう。
脱皮して成長したパルプにちょっと負けてる気味なのだから。
「心配しないで。危ない相手じゃないから。あのね、黒幕はね……」
◆ ◆ ◆ ◆
妃芽薗の森の中にある大きな池。
下弦の月に照らされた静かな水面に向かってパルプは呼び掛ける。
「大納言先輩に虫を仕込んだ理由を、聞きに来ました」
……返事はない。
「《未来視》からは逃げられませんよ。姿を現しなさい。私の使い魔、リミラヴよ!」
池に細波が起き、観念したマリンモンキーがゆっくりと姿を現した。
「教えて。大納言先輩に虫を仕込んだ理由を」
「……」
「教えて。私が財前さんに負けたとき、どうして私を置き去りにしたのか」
「……」
「教えて。なぜ臨海学校にクラーケンを呼び寄せたの」
「……」
「教えて。五月病の呪いを私に掛けた目的を」
「……言わなくてもわかっとるんやろ? それに、《未来視》で視たらええやん?」
「うん。だいたいわかってる。でも、リミラヴから聞きたいの」
「しゃあない。じゃあ言うで。ぜんぶ姫はんに絶望を味わってもらうためや。人間界修行で絶望を乗り越えてはじめて、女王になる資格を得られる決まりやねん」
「やっぱり、そうだったんだ」
「そのために一番の理解者ヅラして近くに居り、裏でコソコソ試練を招き、そんで最も辛いタイミングを狙って裏切る。これがリミラヴの役目や」
「……」
「姫はん、なかなかしぶとかったから難儀したでホンマ」
リミラヴは精一杯冷淡ぶって笑って見せた。
「……大変だったね。辛い仕事だったでしょう」
パルプはしゃがみこみ、リミラヴをぎゅっと抱き締めた。
「やめてや! 裏切り者に優しい言葉なんかいらへん! それにな、リミラヴは姫はんの使い魔ちゃうねんで!」
「えっ……!?」
「びっくりしたやろ、リミラヴは宮内庁直属の特務ファミリアや! 姫はんに絶望を与えたらそれでオサラバ! 最初っからぜーんぶウソだったんや!」
「……リミラヴのウソつき」
「その通りや!」
「ぜんぶウソだなんて、そんな下手なウソ信じないよ。あの時リミラヴは言ったもん。私のこと大好きって」
「う……あれはやな……」
「許さない。もう私の前から消えるなんて絶対に許さないんだから。マジカニア第一王女、パルピューラ・マジカニア・レガリスの名において命じます――汝リミラヴ、我が使い魔として仕えるべし!」
「ほんまに……ほんまにええの……? ウソつきで……裏切り者やのに……」
「私にはリミラヴが必要なのです。それに、あの人を狙うライバルを蹴落とすためには……あなたの悪知恵が役に立ちます」
「おおきに……姫はん……ほんまおおきに……!」
こうして、リミラヴはパルプの本当の使い魔となりました。
少年を巡るパルプの戦いはこれからが本番ですが、これにてひとまずばっちり解決です。
(おしまい)
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2014-01-28T21:59:48+09:00
1390913988
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さようなら、六九さん
https://w.atwiki.jp/holyland4/pages/614.html
*さようなら、六九さん
ごめんなさい。私はあなたを救えない。
私は、あなたが消え失せようとも構わないと思った。
それが、愛するあの人を護るただ一つの道だったから。
あなたは私の友達、静穂と瑠璃奈の危機を救ってくれた恩人なのに。
たとえ任務の一環だったとしても、恩人であることに代わりはないのに。
私は、《未来視》の力によってマッチングに介入し、最適な展開を紡いだ。
平和な未来のために? ……それもないわけじゃない。
でも、一番の理由は、私自身の想いのため。愛する人を護るため。
私は、あなたに、最後の戦いの場すら与えず、惨めに消えてもらうことを選んだ。
さようなら、六九さん。
あなたは、私の友達を救ってくれた恩人です。
感謝しています……でも、さようなら。
――《未来支配者》パルプは、己の手の平を見つめた。
最終ターン、二人の選手を打ち倒し、六九から任務達成の機会を奪って滅ぼした。
酷く汚れてしまったこの手は、あの人と繋ぐのに相応しくないとパルプは思った。
(だから、今は見逃してあげる)
賞品の少年と手を取り合って去っていく優勝者の後ろ姿を、パルプは黙って見送った。
胸のチクチクする痛みにこらえ、襲い掛かって略奪したい気持ちを抑えつけながら。
(でも、いずれ奪いにゆきます。マジカニアの未来と、私のために)
かくして、魔技姫ラクティ☆パルプの世界格闘大会は終わりを迎えた。
パルプは何度も傷つき、倒れ、絶望も味わった。
しかし、それを乗り越え、大きく成長し、そしてなにより大切な想いを手に入れた。
これからも、少年を巡るパルプの戦いは続くだろう。
だが、ひとまずは、お疲れ様でした。
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2014-01-28T21:57:36+09:00
1390913856
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天王星ちゃんエピローグ-side Pluto-
https://w.atwiki.jp/holyland4/pages/613.html
*天王星ちゃんエピローグ-side Pluto-
「ただいまー」
「おかえりなさい!」
天王星ちゃんが帰ってきた。右腕骨折という怪我を負いながらも、それでも元気に帰ってきた。
「結局再起不能にならずに済んだね―。お疲れ様!」
「わわっ。またそうやって抱きしめる―」
「だって可愛いんだもんー。」
殺そうだなんて思っててごめんなさい。
殺さなくても、私がずっと地球で養えばいいんだもんね。
私のとりあえずの目標は、天体としての彼女を宇宙にいさせないことだから。
「もー。賞金、10万円しか稼げなかったよ―」
「じゃあそれは骨折の治療に使おうか。普通のお医者さんなら10万も使わずに済むでしょ。」
「えー。じゃあ余ったお金は焼き肉にでも使おっか。」
「お?焼き肉かー。行っちゃう?」
「行っちゃお行っちゃおー!」
こんなに自然に笑えたのはいつぶりだろう。
吹っ切れたからかな?
あぁ、焼き肉楽しみだなぁ。
【END】
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2014-01-28T21:56:27+09:00
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とあるお嬢の中指直立最終話『とあるお嬢の中指直立』
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*とあるお嬢の中指直立(とあるおじょうのファックですわよ)~~最終話『とあるお嬢の中指直立(とあるおじょうのファックですわよ)』
物語も終わりを迎える。
これは、少女達の戦いの軌跡。
少女は戦う。勝利の美酒に酔いしれるまで。
少女は戦う。敗北という泥を啜ってまでも。
ある者は欲望のため
ある者は名誉のため
そしてある者は、誰かのため
これは、とある少女の物語
===============================
~~とあるお嬢の中指直立(とあるおじょうのファックですわよ)~~
最終話『とあるお嬢の中指直立(とあるおじょうのファックですわよ)』
===============================
勝利を確信したのは、膝に確かな手応えを感じたからだった。
零距離からの膝蹴りが、女王蜂の膝蹴りが。
超時空軽空母『綾鷹』DEATHの顎を撃ち貫いた感覚が確かに残っていたからだ。
「貴方は強く、聡明で。 確かにランカー1位に恥じない方でしたわ」
「それでも……。それでも、”女王”を名乗るには、些かおこがましいのではなくて?」
糸の切れた人形のように力無く崩れ落ちる、超時空軽空母『綾鷹』DEATH。
一瞥も無く彼女に背を向けたのには理由があった。
『綾鷹』に、問いに返答する意思も意識も無い事も理由の一つではあったが――――。
乱れた髪を。
乱れた服を。
乱れた呼吸を整える間も無く。
――――見知った少女が眼前に立ちふさがっていたからだ。
「おー。シノミヤ。また会ったな」
「……ええ。随分と早い再会でしたわ。鏑木さん」
「ははは。そう言うなって。それじゃ、始めようか? 最強のバカ決定戦だ」
荒い呼吸を隠そうともせずに、眼前の少女は続けた。
乱れた髪。
血で塗れた服。
ひしゃげた岡持ち。
彼女もまた、数多の傷を負っているのだろう。
――――恐らく自分よりも。
きっと、これが彼女の最後の戦い。
だから、きっと、これが彼女の最後の一撃。
だから、私は、彼女の一撃に真正面から応えなければならない。
「ははは。流石シノミヤ。やっぱりバカだなー。 ……サンキュ」
岡持ちを握る手が。
鞘に納められた足刀が。
僅かな沈黙。
抜かれるは同時。
ぶつかり合うは一瞬。
決着もまた――――。
===============================
傍らで眠る少女に、僅かばかりに頭を下げる。
気を失っているのだろう。
だが、その顔は満足そうだ。
見入る気持ちを邪魔するかのようにかけられた声は、酷く、
「緒子…………?」
酷く、懐かしく感じられた。
「え……緒子? どうして……?」
「えー、えー。 緒子ですわよー。 緒子ちゃんですわよー」
弾む心を抑え、冷静ぶろうとする自分が、今は怨めしい。
本当は――――。
「まったく。 いつの間にかどこかに行ってるだなんて。 ファックですわ、マジファックですわ」
「あ、あはは……。お、緒子、怒ってる?」
「激おこですわ。全く」
――――本当は、泣きそうな位に嬉しいのに。
「緒子……。ただいま」
「う”…………」
全く。
こいつは。
可愛い顔して。
女の子みたいな顔して。
でも、強くて。
そこはやっぱり男の子で。
いつの間にかドアをノックしてきて。
いつの間にか心に入り込んできて。
トランプが強くて。
トランプが楽しくて。
一緒に居ると楽しくて。
それでも、一緒に居たいと感じさせて。
それでも――――。
「……約束しましたものね。”守る”って」
「ふふ……。それじゃ、帰りますわよ。もう一つの約束……私達と天奈さん、3人でおにぎりを食べるんでしょう?」
「…………うん!」
そういうと少年は。
子犬のような笑顔で手を差し出してきた。
「……なんですの?」
「えへへ。手、繋いで帰ろう?」
「ふぇっ!? な、何言ってますの!?」
「……だめ?」
お願いだから。
お願いだから、そんな捨て犬のような目で見ないで欲しい。
「……急にそんなこと言われても、あ、いや、ダメって訳では無いのですがそれでも……」
「ふふふ……えいっ!」
胸の前で弄んでいた指を強引に掴まれる。
少年の、その見た目には似つかわしくない強引さで。
「ふぇえっ!」
「嫌だったら、振りほどいてもいいからね」
卑怯だ。
この少年は卑怯だ。
答えなど、分かりきっているくせに。
熱い。
顔がやけに熱い。
こんな顔、見られたくない。
だから。
だから、ふいに投げかけられた言葉は、冷水で顔を洗ったみたいに頭をスッキリさせてくれた。
「せんせー。こっちも手、つなぎますー?」
「この戦いが終わったらね」
ランカー2位。アン・ラクシー。
かつて、緒子に敗北を植え付け。
かつて、緒子の左足を破壊した女医。
「どうやら勝ち残ってるのは私達だけみたいだからね。ラストバトルだ」
震える。
手が震える。
勝てなかった。
勝つことが出来なかった。
「……緒子」
強く。
繋いだ手が、強く握られるのを感じる。
そうだ、今は違う。
今は――――2人だから。
繋がれた手が解かれ。
硬く握られた拳から、真っ直ぐに中指がそそり立つ。
そして、その手を包むように、少年の手もまた、ゆっくりと中指が――――。
これが紫ノ宮 緒子の最後の試合
これが紫ノ宮 緒子の最後の戦い
これが最後の――――
「ファックですわよ!」
~~これは、とある少女の物語~~
~~これは、とある少女と少年の物語~~
<完>
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2014-01-28T21:55:31+09:00
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Battle Cinderella『女王』の敗北 ~姫騎士たちの散華~part4
https://w.atwiki.jp/holyland4/pages/611.html
*Battle Cinderella『女王』の敗北 ~姫騎士たちの散華~part4
――地下カジノ跡地 最終日――
「今更、何をおっしゃってるのです!聞く耳持ちませんわ!どきなさい!」
『何言ってるかわかんね―けど、お前、端から人の話きかね―じゃないか』
優勝候補たる上位ランカー達が激しくぶつかり潰し合うこととなった最終日
その幕開けは奇しくも互いに聴覚喪失に陥ったこの二人だった。
偶発的な遭遇。そして戦いは―
火力で勝る紫ノ宮 緒子が超時空軽空母『綾鷹』を順当に下し、そのコマを進めた。
†††
………。
『やれやれ、負けた負けた。最後はみんな大好きおこちゃんとのバトルか。
最後まで噛みあわなかったが、お互い耳が聞こえない現状じゃそこはしゃーねか。』
地に伏した彼女は、対戦相手が、次の相手を求め、移動するのを確認するとゆっくりと起き上る。
まず自身の身体の状態をチェックし、深刻なエラーが発生していないかを確認。
ついで、ぐーとの身体を反らし、ついで清々しくひとのびをした。
それは肉体ダメージだけでなく精神ダメージまでもまるで感じさせない動きだった。
この大切な優勝決戦戦、初戦で敗退し脱落することとなった立場にしては…
『おーし、最後は気持ちよく負けたことだし。わらわもラストミッションいこう。よっと。』
全然堪えてなさそうだった。
『強めの気配を幾つか感じるな。こちらの戦いの推移を慎重に伺ってる感じだ。目的は少年の確保…。
恐らくは運営側の人間だな。主催者にも内緒で…案の定、運営側も腹に一物あったってことか』
主催者側と運営企画側は一枚岩の存在ではない。ある意味当然の成り行きであるともいえる。
もし手をこまねいてそれに云い様にやられるとしたらそれはされたほうが悪いのだ。
そして、それは”運営”側にも”主催者”側にもいえることなのだ。だからこそ彼女もそのラストに
備え、歩を一歩踏み出す。
その眼の前に突如、羽根を生やした少女が、ぽむっと擬音を立てて現れた。完全に血相を変えている。
現れた暇もなく彼女に向かいこう叫んだ。
「女王つつつつ、大変大変~へんたいへんたい~で、エライことに」
それはマリーの夢の中でファルコネンの聖霊を名乗っていた綾鷹そっくりの少女だ。
そのまま軽空母の頭上をぐるりと飛び回る。
綾鷹はその様子に軽く顔をしかめると素早く周りに目をやる。周囲に人の気配はない、それを
確認してからゆっくりと口を開いた。
『たく落ち付け。わらわは今耳が聞こえない設定だ。急に会話しだしたら、変な奴に思われるだろうが。
で、どうした?緊急通信てことは依頼人(クライアント)の”じじい”がついにくたばったとかの朗報か?』
今更、世間体を気にするキャラでないだろうに女王と呼ばれた軽空母『綾鷹』は余裕綽々の態度で
全然洒落になってない冗談を言う。依頼人に対する敬意が足りてないんじゃなかろうか。
その軽口に対して妖精はこう真顔で答えた。
「いや、それだったら、まだ世話ないんけど。違うの。」
お前のほうもそれはいいのかよ。依頼人に対する敬意が足りてないんじゃなかろうか。
「大変申し上げにくいんですが…実はこっち方面でね。大会選手の誰かが、”ラバースーツの痴女”に
ちょっかいかけたみたいでして…。その魔人能力の発動の影響でですね。今度は病院地域一帯が陥没しは…」
反応は劇的だった。妖精さんが云い終える間もなく、強烈な怒声と舌打ちがニトログレスリン級の威力を
持ってあたり一面になり響いた。
『ッ~~どこのアホウの仕業だッ! 状況は!」
私にいわないでよー。
頭ごなしに怒気を喰らうことになった妖精さんはその衝撃にふらふら揺れながらも端的に答える。
「依頼人のほうのセキュリティーは端から万全だから問題なし。
ただエルザさんの一般病棟の状況は不明。
私も手が離せられないから、そっちのほうがどうなってるかまで掴めてないデス。」
その返事を聞きながら、綾鷹は再度舌打ちを行う。
今からマリーをつれ、おっとり刀で戻ったとして間にあうとも思えない。完全に予測外の事態であった。
綾鷹は頭の中で素早く計算を組み立てる。ならば取る手段は一つだ。
『どーせ最後だ。こうなりゃ纏めて片づける。
まず賞品の少年を連れて”そっち”に跳ぶ。んで”二人”を会わせた後、エルザの元に駆けつける。
それが一番早いはずだ。
連チャン使用になるからな。準備しっかりしておけよ、お笑い二等兵』
「アラホラサッサー。」
勇猛果敢な上官のこの命令に妖精さんは最敬礼で答えた。
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2014-01-28T21:54:06+09:00
1390913646
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SS
https://w.atwiki.jp/holyland4/pages/121.html
*ホーリーランド4 SS
・【行:○T】表記があるものはSS付きの行動提出です。○ターン目の内容をそのまま掲載しています
|BGCOLOR(lavenderblush):&b(){タイトル}|BGCOLOR(lavenderblush):&b(){書き出し}|BGCOLOR(lavenderblush):&b(){著者}|BGCOLOR(lavenderblush):&b(){GP}|
|[[『日缶ハコワレ』本日のトップ記事(10月20日号)>ss01]]|『Battle Cinderella、ついに開幕!!|超時空軽空母『綾鷹』DEATH|6点|
|[[迷ド探偵たまき第0推理・ある女の誓いと始動と停止]]|「何も知らねえガキを賞品扱いってのが|迷ド探偵たまき|7点|
|[[【決勝戦開始直前】紫ノ宮 緒子]]|「ついに始まった世界格闘大会!|紫ノ宮 緒子|8点|
|[[魔技姫ラクティ☆パルプvsルガー@公園 開戦SS]]|綺麗に手入れされた園道を離れ、|ラクティ☆パルプ|5点|
|[[世界格闘大会の異常な環境 または私は~>世界格闘大会の異常な環境 または私は如何にして困惑するのを止めて全力逃走するようになったか]]|「どうしたものか・・・私ではこの大会を|庵 白彩|6点|
|[[雪合戦部観戦模様]]|希望崎学園、雪合戦部部室。|ぎり|6点|
|[[菊一文字 朱蓮の大会0日目]]|ピピピッ、電光掲示板には選手の|菊一文字 朱蓮|6点|
|[[脱衣四天王SS]]|めがみ「トラロックが脱落したか……」|ラクティ☆パルプ|3点|
|[[第1T パルプvsルガー]]|パルプの心が恐怖に染まってゆく|ラクティ☆パルプ|7点|
|[[Ready]]|とあるテレビ局の前で屋良励子と|屋良励子|6点|
|[[菊一文字 朱蓮の大会1日目 vs迷ド探偵たまき]]|「ピギャ!ピギャ!ピギャー!!|菊一文字 朱蓮|6点|
|[[トラロックVSラ・ピュセル]]|ラ・ピュセルが会場の一、公園に|トラロック|8点|
|[[迷ド探偵たまき第1推理・アナルと脱臼と有限推理]]|「うう~、あ、あのオバサンめ|迷ド探偵たまき|5点|
|[[睡拳使いの邂逅]]|大会開会式前、控室に向かいながら|天王星ちゃん|8点|
|[[菊一文字 朱蓮の大会1日目 vsめがみ]]|「ピギャー!!ビギャヤヤヤ!!!|菊一文字 朱蓮|4点|
|[[菊一文字 朱蓮の大会1日目 vsリオレイア希少種]]|「ピギャー!!ビギュル!!!|菊一文字 朱蓮|5点|
|[[and Ladies]]|「励子さん!」急にのしかかってきた|屋良励子|5点|
|[[菊一文字 朱蓮の大会1日目 vs鏑木諒子]]|「ピギャ!ピギャス!!|菊一文字 朱蓮|5点|
|[[天王星ちゃんの冒険]]|これは、世界格闘大会が始まる|天王星ちゃん|7点|
|[[ライク・ア・カレーのゲーム日記>ダンゲロスホーリーランド4 ~Battle Cinderella~ ライク・ア・カレーのゲーム日記]]|「………………」|ラ・ピュセル|4+5+6点|
|[[【行:1T】 林 紅虎]]|「わわっ、遂に始まったー!!|林 紅虎|7点|
|[[【行:1T】 鴻畔]]|光差さぬ場所。|鴻畔|7点|
|[[【行:1T】 玖波瀬ぎり]]|一人の少女が、机の前で仁王立ちして|玖波瀬ぎり|6点|
|[[【行:1T】 数胴兵香]]|とあるテレビ局の一角。そこに二人の|数胴兵香|5点|
|[[【行:1T】 生方キリエ]]|「やあ、生方君。また会ったね。」|生方キリエ|5点|
|[[【行:1T】 クェル・クス]]|がやがや ざわざわ 人の波|クェル・クス|6点|
|[[【行:1T】 ラ・ピュセル]]|世界格闘大会の本戦がいよいよ開幕|ラ・ピュセル|6点|
|[[推理の間に・アナニー封印の理由は]]|世界格闘大会一戦目終了時の深夜、|迷ド探偵たまき|3点|
|[[【退場SS】生方キリエ]]|どうやって部屋まで帰ってきたか、|生方キリエ|9点|
|[[総合メディア研究会の参加者研究]]|大会開催前夜、都内のとあるホテル。|数胴兵香|6点|
|[[推理の合間に・ファック野郎とゾーさんと~>推理の合間に・ファック野郎とゾーさんと無駄に洗練された無駄のない無駄な動き]]|魔人一家の屋根の上、迷ド探偵たまきは|迷ド探偵たまき|5点|
|[[Battle Cinderella~sea side episod01【業と才】~]]|―浜辺・特設会場 1ターン目 ―|超時空軽空母『綾鷹』DEATH|6点|
|[[鏑木諒子 一ターン目終了後SS]]|「んー・・・うーん・・・・・・んあっ!?」|そーラン|4+7点|
|[[トラロックエピローグSS]]|「……それでは、『転校生』化は拒否する|トラロック|7点|
|[[リオレイア希少種SS]]|ナレーション「ここはよくある拳と能力の|レズ・ナイト|7点|
|[[ラ・ピュセル&トラロック、転校生クエストに挑む>世界格闘大会二日目、ラ・ピュセル&トラロック、転校生クエストに挑む]]|「ラピちん本当にやるんだ……」|ラ・ピュセル|8点|
|[[しずるり探偵団の推理]]|ばーん! ハルコの部屋の扉が勢いよく|ラクティ☆パルプ|6点|
|[[オバサンが怖いのでなんとかするんですぅ~]]|「う~、当面の問題はやっぱりアレ|迷ド探偵たまき|4点|
|[[オバサンが怖いのでなんとかするんですぅ~2]]|「う~、依然として当面の問題はやっぱり|迷ド探偵たまき|7点|
|[[鏑木諒子 二ターン目開始SS]]|「これで・・・よし!と・・・」|そーラン|5点|
|[[ Battle Cinderella~sea side episod02【業と才】~]]|葦原美代子 VS 超時空軽空母|超時空軽空母『綾鷹』DEATH|8点|
|[[【1ターン目決戦】レズ・ナイト]]|私はレズ・ナイト!|レズ・ナイト|7点|
|[[Dear my senior]]|「世界格闘大会で先輩を見かけた?」|数胴兵香|7点|
|[[秩序の守り手ハード]]|ぼっち狩りの為に公園に潜入する|数胴兵香|3点|
|[[10秒でわかるMartina Murrilエピソード]]|ここはとある山奥の研究所|Martina Murril|4点|
|[[【逸脱者認定】菊一文字 朱蓮]]|ざわざわ「あ、あんなところに逸脱者が|菊一文字 朱蓮|5点|
|[[2ターン目マッチング後、何故か同位置にいる約2名]]|(2ターン目マッチング後、何故か|しらなみDEATH|1点|
|[[第2T 魔技姫ラクティ☆パルプvs宇多津泡沫 開戦前]]|クリムゾンロータスはパルプからの対戦を|ラクティ☆パルプ|5点|
|[[虎虎虎]]|「え~~い! もういいや! 泳いじゃえ~~!」|屋良励子|6点|
|[[第2T ラクティ☆パルプ VS 宇多津泡沫]]|ゆらりと立ち上がりながら、泡沫は|ラクティ☆パルプ|7点|
|[[財前さんと愉快な仲間たち(?)]]|その闘いを偶然目撃した近所の住民は、|天王星ちゃん|7点|
|[[その名はラ・ピュセル]]|~~2週間前~~|ラ・ピュセル|7+8点|
|[[迷ド探偵たまき第2推理・完全勝利と怒りと新たな容疑者]]|「めがみー!神藤ー!くそ、|迷ド探偵たまき|7点|
|[[脱衣四天王Aチーム Bチームは別にいません]]|世界格闘大会で鳴らした俺達|数胴兵香|2点|
|[[【2ターン目前SS】リオレイア希少種]]|魔人一家前の道路。そこで彼女は|リオレイア希少種|5点|
|[[潰えた希望]]|大会が始まるちょっと前のこと。|天王星ちゃん|6点|
|[[クェル・クス 2ターン目終了後SS]]|大会本部が 用意した|クェル・クス|7点|
|[[【行:2T】 アン・ラクシー]]|…気がついたら砂浜にブッ倒れていた|アン・ラクシー|3点|
|[[【行:2T】 林 紅虎]]|師、トラーからの指示を待ち、砂浜で|林 紅虎|2点|
|[[【行:2T】 シスター・マリー]]|「ありゃりゃ、ご多忙ですかい」|シスター・マリー|3点|
|[[【行:2T】 数胴兵香]]|都内の公園。ボールや遊具で遊ぶ|数胴兵香|2点|
|[[【行:2T】 クェル・クス]]|「どうかな? どうかな? 似合うかな?」|クェル・クス|3点|
|[[【行:2T】 超時空軽空母『綾鷹』DEATH]]|『ふうう、やれやれ。今回は追跡者に|超時空軽空母『綾鷹』DEATH|3点|
|[[【行:2T】 紫ノ宮 緒子]]|賢い選択とは言えない。正しい選択とは|紫ノ宮 緒子|3点|
|[[【行:2T】 庵 白彩]]|「初戦から挑発に気を取られ攻撃に|庵 白彩|3点|
|[[【行:2T】 墓森アラシ]]|伝言掲示板にて助けを求めていた|墓森アラシ|3点|
|[[【行:2T】 迷ド探偵たまき]]|公園のトイレの屋根の上、ラジカセで|迷ド探偵たまき|1点|
|[[【2ターン目終了後】林紅虎]]|耳元から響く、師の声。独特の|林紅虎|7点|
|[[黒幕会議SS]]|生方キリエさんに捧ぐ――――|立川&白金&仲間|2点|
|[[Clothes Destroyer]]|都内のとある公園。今日も爽やかな|数胴兵香|7点|
|[[ライク・ア・カレーのゲーム日記(2)> ダンゲロスホーリーランド4 ~Battle Cinderella~ ライク・ア・カレーのゲーム日記(2)]]|~~前回のあらすじ~~|ラ・ピュセル|3+4+4+3点|
|[[でらファーマーズと推理の整理]]|ここは愛知県のとある農村。|迷ド探偵たまき|8点|
|[[2人はキグルミ]]|都内総合病院。2F女子トイレにて。|トラロック|3点|
|[[Battle Cinderella~sea side episod03【業と才】~]]|葦原美代子 VS 超時空軽空母『綾鷹』|超時空軽空母『綾鷹』DEATH|8点|
|[[しらなみDEATHのゲーム日記>ダンゲロスホーリーランド4 ~Battle Cinderella~ しらなみDEATHのゲーム日記]]|「まずは、君にはまた無理を|超時空軽空母『綾鷹』DEATH|6点|
|[[風紀マスター秩序の守り手]]|最終話 希望を胸に すべてを|数胴兵香|3点|
|[[第3T チョコ魔女クエストまた失敗]]|「パルプ君! 今こそ君に秘められた|ラクティ☆パルプ|5点|
|[[STRIPPED GIRL]]|部屋に日差しが差し込む。窓から見える|数胴兵香|7点|
|[[ラ・ピュセル&トラロック、バニースーツにて戦場に立つ>世界格闘大会三日目、ラ・ピュセル&トラロック、バニースーツにて戦場に立つ]]|世界格闘大会二日目の全試合が終わり、|ラ・ピュセル|6点|
|[[第3T 再戦!狂乱の吸血鬼]]|「ルガーさん! どうしたんですか!?|ラクティ☆パルプ|7点|
|[[ラクロス部に入った理由]]|ラクロスなんて、あんまり興味はなかった。|ラクティ☆パルプ|4点|
|[[大納言蘭]]|妃芽薗学園ラクロス部、中等部の|ラクティ☆パルプ|4点|
|[[しずるり探偵団の再推理]]|真木ハルコの学友、つまりラクティ☆|ラクティ☆パルプ|4点|
|[[パルプの直感は否定する]]|真木ハルコ――ラクティ☆パルプは|ラクティ☆パルプ|4点|
|[[マスコットキャラクター]]|二日目の天王星とヴァッファローヴェルの|天王星ちゃん|7点|
|[[I'm loser]]|私、天王星は三日目の試合で負けた|天王星ちゃん|5点|
|[[退場SSの代わりに]]|こんな夜更けに、闇と風の中に|数胴兵香|4点|
|[[ライク・ア・カレーのゲーム日記(3)>ダンゲロスホーリーランド4 ~Battle Cinderella~ ライク・ア・カレーのゲーム日記(3)]]|~~前回のあらすじ~~|ラ・ピュセル|5+4+4+3点|
|[[【行:3T】 ルーシー]]|「何かガ足リナい・・・・。」|ルーシー|2点|
|[[【行:3T】 墓森アラシ]]|墓森アラシが病院で戦闘を行ったことは|墓森アラシ|2点|
|[[【行:3T】 アン・ラクシー]]|ナス子「プーwクスクスww」|アン・ラクシー|2点|
|[[【行:3T】 玖波瀬ぎり]]|洋々と戦果報告にあがった玖波瀬ぎり、|玖波瀬ぎり|2点|
|[[【行:3T】 数胴兵香]]|「お化粧しましょう」|数胴兵香|2点|
|[[【行:3T】 紫ノ宮 緒子]]|喧騒の中、目が覚めた。|紫ノ宮 緒子|3点|
|[[【行:3T】 林 紅虎]]|「……で、お嬢さんはつまり着るものも|林 紅虎|3点|
|[[【行:3T】 クェル・クス]]|寄せては返す 白い波|クェル・クス|3点|
|[[第3推理・迷ド探偵とガチなレズと再考察]]|(前回のあらすじ)|迷ド探偵たまき|5点|
|[[Battle Cinderella~sea side episod04【業と才】~]]|その選択は一種の賭けだった。|超時空軽空母『綾鷹』DEATH|8点|
|[[【2ターン目決戦】レズ・ナイト]]|ナレーション「ここはよくある普通の|レズ・ナイト|7点|
|[[DH4暫定ランキング]]|失格 マタンキ 中年男性,肥満体|ラクティ☆パルプ|5点|
|[[マジカニア人の乳房について]]|卵胎生の甲殻類であるマジカニア人が|ラクティ☆パルプ|5点|
|[[天王戦隊サテライト]]|「あーあー、テステス。皆聞こえてる―?」|天王星ちゃん|6点|
|[[地上最強のファックユー]]|我が愛娘・緒子は幼い頃から|トラロック|8点|
|[[SAN値直葬ですぅ!]]|「何だあれは!上を見ろ、鳥か、|迷ド探偵たまき|5点|
|[[恵比原静穂はレズかもしれない]]|「あらあら……こんなにベトベトに|ラクティ☆パルプ|5点|
|[[ラ・ピュセル&トラロック、メイド服にて戦場に立つ>世界格闘大会四日目、ラ・ピュセル&トラロック、メイド服にて戦場に立つ]]|「おつかれさまー!」|ラ・ピュセル|7点|
|[[天奈瑞VS天王星]]|「やぁ、来てくれたんだね。大量出血に|天王星ちゃん|7点|
|[[SAN値直葬! アラシvsパルプ!]]|墓森アラシは願った。TV局前で|ラクティ☆パルプ|7点|
|[[【行:4T】 魔技姫ラクティ☆パルプ]]|妃芽薗の森の奥深く。|魔技姫ラクティ☆パルプ|3点|
|[[【行:4T】 超時空軽空母『綾鷹』DEATH]]|転校生クエスト「忘却の影」討伐|超時空軽空母『綾鷹』DEATH|1点|
|[[【行:4T】 アン・ラクシー]]|ナス子「また空き缶の娘にまけちゃい|アン・ラクシー|1点|
|[[【行:4T】 墓森アラシ]]|ランキング最下位こと、墓森アラシは|墓森アラシ|2点|
|[[【行:4T】 林 紅虎]]|もう何も……。見えない。聞こえない。|林 紅虎|2点|
|[[【行:4T】 紫ノ宮 緒子]]|掲示板。参加選手たちが唯一交流|紫ノ宮 緒子|2点|
|[[【行:4T】 宇多津 泡沫]]|「んん~……なんか転校生を狩るとか|宇多津 泡沫|1点|
|[[処女改体、あるいはオサレ空間より聖女は飛翔する]]|マリーの日記より抜粋|シスター・マリー|7点|
|[[相利共生]]|パルプには神足先輩が闇討ちをするような|ラクティ☆パルプ|5点|
|[[Love Guardian]]|(前回までのあらすじ:スズハラ機関の|数胴兵香|7点|
|[[その名はラ・ピュセル2]]|~~13日前~~|ラ・ピュセル|5+5+5点|
|[[ラ・ピュセルのパワーアップイベント]]|「ねえラピちん、向こうで大会参加選手に|ラ・ピュセル|5点|
|[[天文学会の混乱]]|「どういうことだ……! ついに天王星まで|天王星ちゃん|6点|
|[[ライク・ア・カレーのゲーム日記(4)>ダンゲロスホーリーランド4 ~Battle Cinderella~ ライク・ア・カレーのゲーム日記(4)]]|~~前回のあらすじ~~|ラ・ピュセル|4+5+5+3点|
|[[考察・襲撃者の目的]]|転校生・忘却の影との戦いが終わって|迷ド探偵たまき|6+6点|
|[[迷ド探偵たまき第4推理・終わりとはじまりと目的]]|「ただいまーと言ってもだれも|迷ド探偵たまき|6点|
|[[超時空軽空母『綾鷹』DEATH VS 転校生(忘却の影)]]|少女は走る。ガラスの靴もなく少女は|軽空母『綾鷹』DEATH|4+4点|
|[[パワーアップイベントSS]]|『……のうせい……天王星……|天王星ちゃん|5点|
|[[第5T:再々戦]]|謎の光を身に纏い、目指すは魔人の|ラクティ☆パルプ|4点|
|[[DH4 Battle Cinderella 外伝]]|―DH4 Battle Cinderella 外伝 ―|軽空母『綾鷹』DEATH|4点|
|[[マジカニカの導き]]|身に纏ったドレスが変わっている。|ラクティ☆パルプ|5+5+5点|
|[[公園と睡拳と睡拳と睡拳。(前編)]]|「ん~~~~。宣言通り、転校生|天王星ちゃん|6点|
|[[公園と睡拳と睡拳と睡拳(後編)]]|>宇多津 泡沫の必殺技『夢幻泡影』発動。|天王星ちゃん|6点|
|[[恵方巻を食べよう!]]|「これ本当にボクが一口で頬張らないと|数胴兵香|7点|
|[[鏑木諒子 5ターン目終了SS]]|「私ってヤツは本当に……」|そーラン|6点|
|[[勝った!ホーリーランド4完!]]|この大会では賞品として少年が手渡される|迷ド探偵たまき|4点|
|[[【行:5T】 シスター・マリー]]|「あ゛ぁぁぁ~~~~~~|シスター・マリー|3点|
|[[【行:5T】 アン・ラクシー]]|アン先生「ナス子、私は少しわかったよ、|アン・ラクシー|2点|
|[[【行:5T】 庵 白彩]]|「こんなことしてて大丈夫なのです?」|庵 白彩|2点|
|[[【行:5T】 天王星ちゃん]]|足音が聞こえる。近づいてくる。|天王星ちゃん|2点|
|[[【行:5T 】玖波瀬ぎり]]|〈報告はこれで終わりですか?〉|玖波瀬ぎり|3点|
|[[テレビキョクマエ・インフェルノ]]|奇声を喚きながら逃げ惑い破壊の限りを|ラクティ☆パルプ|6点|
|[[負けた!ホーリーランド4続く!]]|もうこの少年このまま拉致して大会から|迷ド探偵たまき|6点|
|[[ラ・ピュセル&トラロック、メイド服にて公園に立つ>世界格闘大会五日目、ラ・ピュセル&トラロック、メイド服にて公園に立つ]]|「ラピちんってさー、大会の優勝は|ラ・ピュセル|7点|
|[[魔法騎士 ラ・ピュセル 第五十六話]]|「ラ・ピュセル――――推参|ラ・ピュセル|6点|
|[[Battle Cinderella ~『女王』の敗北 ~]]|彼女は己の恥じていた。己の至らなさに|超時空軽空母『綾鷹』DEATH|5点|
|[[ライク・ア・カレーのゲーム日記(5)>ダンゲロスホーリーランド4 ~Battle Cinderella~ ライク・ア・カレーのゲーム日記(5)]]|~~前回のあらすじ~~|ラ・ピュセル|6点|
|[[ラ・ピュセル&トラロック、猫耳にて公園に立つ>世界格闘大会六日目、ラ・ピュセル&トラロック、猫耳にて公園に立つ]]|「ラピちん、今日も気合い入ってるね」|ラ・ピュセル|7点|
|[[~姫騎士たちの散華~>Battle Cinderella『女王』の敗北 ~姫騎士たちの散華~]]|(前回までのあらすじ)|超時空軽空母『綾鷹』JAKE|4点|
|[[八・一九の謎:パルプのこたえ]]|迷ド探偵たまきからの謎めいた|ラクティ☆パルプ|5点|
|[[怪盗マタンキの適当推理]]|「おーい、こっちですぅ~」|迷ド探偵たまき|8点|
|[[地形四天王]]|病院「地下カジノが破壊されたか……」|数胴兵香|2点|
|[[魔法騎士 ラ・ピュセル 第五十七話]]|「お師匠さまぁー!」|ラ・ピュセル|7点|
|[[~姫騎士たちの散華~part2>Battle Cinderella『女王』の敗北 ~姫騎士たちの散華~part2]]|ぶいくしょん。。。。。ん、風邪か。|超時空軽空母『綾鷹』JAKE|3点|
|[[彼女と彼女の事情]]|鴻畔を乗せて運ばれていく担架を|シスター・マリー|5+5+5点|
|[[やったねマリーちゃん! 連勝おめでとうSS]]|そしてマリーは傷ついた身体に鞭を打ち、|ラクティ☆パルプ|5+5+6点|
|[[危険なイベント世界格闘大会>ちょろいん化したい人にお薦めの危険なイベント世界格闘大会]]|・合気道上がりの転校生なら大丈夫|数胴兵香|3点|
|[[【行:6T】 鏑木諒子]]|私は気づき始めていた。|鏑木諒子|2点|
|[[【行:6T】 天王星ちゃん]]|「前回の寝取られの聖女さんに|天王星ちゃん|2点|
|[[【行:6T】 庵 白彩]]|庵 白彩は再び悩んでいた。|庵白彩|3点|
|[[【行:6T】魔技姫ラクティ☆パルプ]]|「あれは、三九六(さくら)さんの|魔技姫ラクティ☆パルプ|3点|
|[[【行:6T】アン・ラクシー]]|ナス子「先生、なんか素早くなりましたね」|アン・ラクシー|2点|
|[[【行:6T】鴻畔]]|魔人派遣会社ハンキレンは、一夜にして|鴻畔|2点|
|[[パルプ出生の秘密]]|人間界にやってくるすこし前のことです。|ラクティ☆パルプ|8点|
|[[とあるお嬢の中指直立『神酒』]]|ようこそ旅のお方。|紫ノ宮 緒子|7+8点|
|[[パルプ最後の戦い]]|値の張りそうなスーツを上品に|ラクティ☆パルプ|7+7+7+7点|
|[[七日目の朝 -side Uranus-]]|「お、おかわりちょうだーい」|天王星ちゃん|7+7点|
|[[~姫騎士たちの散華~part3>Battle Cinderella『女王』の敗北 ~姫騎士たちの散華~part3]]|○ 病 院 |超時空軽空母『綾鷹』JAKE|5点|
|[[ラ・ピュセル&トラロック、終末に向けて歩を進める>世界格闘大会七日目、ラ・ピュセル&トラロック、終末に向けて歩を進める]]|貴方は守るべき者の在る男子でしょう。|ラ・ピュセル|6+7点|
|[[Battle Cinderella~姫騎士たちの散華~]]|「――――」|超時空軽空母『綾鷹』JAKE|5+5点|
|[[Wire-puller]]|いつもなら閑散とした時間も近づいた|数胴兵香|7+7点|
|[[Battle Cinderella~sea side episod05【業と才】~決戦前夜]]|―――― 病院 7日目 ―――――|超時空軽空母『綾鷹』DEATH|8+5点|
|[[ライク・ア・カレーのゲーム日記(6)>ダンゲロスホーリーランド4 ~Battle Cinderella~ ライク・ア・カレーのゲーム日記(6)]]|~~これまでのあらすじ~~|ラ・ピュセル|5+5+3点|
|[[七日目の朝 –side Pluto-]]|「お、おかわりちょうだーい」|天王星ちゃん|7+6点|
|[[とあるお嬢の中指直立『少年』]]|カツッ カツッ カツッ|紫ノ宮 緒子|7+9+7点|
|[[【第7ターン2戦目終了】シスター・マリー]]|「不死の霊薬?」|シスター・マリー|7点|
|[[とあるお嬢の中指直立『休息』]]|「ふむ。コンビニのおにぎりと言えど、|紫ノ宮 緒子|9+8点|
|[[【行:7T】魔技姫ラクティ☆パルプ]]||魔技姫ラクティ☆パルプ|3点|
|[[【行:7T】 天王星ちゃん]]||天王星ちゃん|1点|
|[[【行:7T】 庵 白彩]]||庵白彩|2点|
|[[【行:7T】アン・ラクシー]]||アン・ラクシー|1点|
|[[【行:7T】シスター・マリー]]||シスター・マリー|2点|
|[[黒幕会議]]|光量の抑えられた灯りが、|ラ・ピュセル||
|[[怪盗マタンキの最後]]|ガチャリ。|ゆとりのぽこぺん||
|[[さらば怪盗マタンキ!>さらば怪盗マタンキ!だがその雄姿は少女たちの胸に刻まれた!永遠に!]]|二人の手から、ティーカップが滑り落ち|ラクティ☆パルプ||
|[[ライク・ア・カレーのゲーム日記(7)>ダンゲロスホーリーランド4 ~Battle Cinderella~ ライク・ア・カレーのゲーム日記(7)]]|西暦2013年、平成25年の12月9日。|ラ・ピュセル||
|[[最終ターンSS>5回しかガチャしてないのに81が2回出るのはおかしいと思うんですよ最終ターンSS]]|「清々しいほどに無理だったな、|庵 白彩||
|[[ラ・ピュセル&トラロック&ベル、大会に星を咲かす>世界格闘大会最終日、ラ・ピュセル&トラロック&ベル、大会に星を咲かす]]|中庭に設えられた特設のバトルフィールドが、|ラ・ピュセル||
|[[謎の襲撃者、その正体]]|真木ハルコは帰ってこなかった。|未来支配者||
|[[とあるお嬢の中指直立『夢』]]|(おとうさま、おとうさま)|紫ノ宮 緒子||
|[[Battle Cinderella『女王』の敗北 ~姫騎士たちの散華~part4]]|――地下カジノ跡地 最終日――|超時空軽空母『綾鷹』DEATH||
|[[とあるお嬢の中指直立最終話『とあるお嬢の中指直立』]]|物語も終わりを迎える。|紫ノ宮 緒子||
|[[天王星ちゃんエピローグ-side Pluto-]]|「ただいまー」「おかえりなさい!」|天王星ちゃん||
|[[さようなら、六九さん]]|ごめんなさい。私はあなたを救えない。|ほまりん||
|[[リミラヴが使い魔になった日のこと]]|「まだ終わっていません!」|魔技姫ラクティ☆パルプ||
|[[Battle Cinderella~sea side episod06【業と才】~]]|●招待|超時空軽空母『綾鷹』DEATH:||
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2014-01-28T21:52:53+09:00
1390913573
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とあるお嬢の中指直立『夢』
https://w.atwiki.jp/holyland4/pages/610.html
*とあるお嬢の中指直立(とあるおじょうのファックですわよ)~~7ターン目『夢(たったひとつのおもい)』
(おとうさま、おとうさま)
(どうしたんだい? 緒子?)
(おこは、おおきくなったら、■■■■になりたいですわ)
(緒子ならきっとなれるよ。 でもね、緒子。 そのためには、緒子は強くならなきゃいけないよ?)
(つよく……?)
(ああ、そうだとも)
(だったら、おこは、つよくなりたいですわ。せかいでいちばん、つよくなりたいですわ)
(おこは。 おこはつよくなって、■■■■になりたいですわ)
===============================
~~とあるお嬢の中指直立(とあるおじょうのファックですわよ)~~
7ターン目『夢(たったひとつのおもい)』
===============================
天井一面に広がる真っ白なタイル。
身を包む毛布は、冷え切った身体を優しく抱きしめてくれる。
少しだけふらつくのは、差し込む光のせいだろうか。
朦朧とした意識の中、再びまどろみの海へ落ちそうになるが、
頬を撫でる隙間風がそれを許さなかった。
(懐かしい夢を見ましたわ……)
幼い頃の自分。
純粋に、無垢に。
絵空事のような夢を信じていた自分。
自分は……何になりたかったんだっけ?
「おー。起きたか、シノミヤ」
ふいに投げかけられた言葉は、冷水を浴びせられたかのように意識を覚醒させる。
声はすれど、その姿は見えず。
申し訳程度におかれた簡易カーテンを挟むように、声の主は居るらしい。
どこか、どこか聞いたことのある声だった。
「鏑木さん……ですの?」
「おー。大正解、私だ」
=================================
「ビックリしたぞ。シノミヤが運び込まれてきた時はな」
「ここは……?」
「病院だな。それすら覚えてないの?」
「……」
そうだ、自分は敗北したんだ。
分かっていたはずだ。
気づいていたはずだ。
自分が討ち倒されたことを。
少年はもう、傍に居ないことを。
「全く。肩を並べて戦った二人が、同じ部屋で横になってるとはなー。 知ってるか? あたしら、バカ1号と2号って呼ばれてるらしいぞ?」
「……ふふふ。 返す言葉もありませんわ」
その通りだ。
自分は大バカだ。
約束したのに。
”守ってみせる”という、たった一つの約束も守れずに。
「転校生を守るとか、確かに真っ当な考え方じゃないよなー」
「でもなー、シノミヤ。 私はバカでいいと思ってる。 この性格は生まれつきだからな。 変えるつもりもない」
「どうせなら、世界一かっこいいバカになってやるさ。 なんたって私は、ヒーローだからな!」
……
…………
………………
……ああ。
そうか、そうだったんだ。
何でこんな簡単な事を忘れていたのだろう。
幼い頃の夢だけれど。
幼いからこそ純粋で。
幼いからこそ真っ直ぐで。
その思いは、決して間違っているわけなんか無いと信じていたから。
「鏑木さん……ありがとう、ですわ」
「おー。……なんだもう行くのか? 良かったら今度、うちの店に来てよ。ラーメン奢ってやるよ」
「ふふ。楽しみですわ」
=======================
ゆっくりと閉められた扉。
音は、やけに廊下に響き渡った。
長く、冷たい廊下を歩く。
でも、決して下は向かず。
真っ直ぐに、前だけを見て。
きっとこの道は、間違っていないと信じているから。
紫ノ宮 緒子、最後の戦いへと足を運ぶ。
(おとうさま、おとうさま)
(おこは、おおきくなったら――――)
(――――ヒーローになりたいですわ)
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2014-01-28T21:42:21+09:00
1390912941
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謎の襲撃者、その正体
https://w.atwiki.jp/holyland4/pages/609.html
*謎の襲撃者、その正体
真木ハルコは帰ってこなかった。
魔技姫ラクティ☆パルプは帰ってこなかった。
病院で財前倉持に敗れ、転校生〈未来支配者〉として再び姿を見せた後、どこに行ったのかはわからない。
静穂と瑠璃奈は、自分たちだけで事件の幕を引く決意を固めた。
追い詰められた真犯人が口封じを図ったら――?
その可能性は低いと思われたが、もしそうなったら2人の命はないだろう。
だが、2人はパルプの意志を引き継ぎ、危険を冒すことにしたのだ。
パルプの思いが人を動かし、誰かが最終的に未来を切り拓く。
それが、パルプの『ばっちり解決』なのだから。
夜。2人は病室の扉を開き、解決編を宣誓する。
「犯人は――」
「あなたです……!」
まだ戦いの傷が癒えず、左腕に点滴をつけた『犯人』はゆっくりと半身を起こして2人を迎えた。
「やっと――辿り着いてくれたのですね。もっとも、来るのはラクティさんだと思っていましたが……」
その声は悲しげだった。
「ラクロスと格闘技に取り組む、先輩の真摯な姿勢は尊敬しています」
「でも……あなたは『やりすぎた』。そうですね……大納言先輩」
「なぜ私自身が犯人だと考えたのか、聞かせて貰えるかしら?」
襲撃事件の『犯人』、大納言蘭は努めて平静を装って尋ねた。
だが、フルフェイスヘルム型アイガードの奥から響く、その声は震えていた。
「パルプさんがいくら調べても、参加選手の中に犯人らしき人物はいませんでした」
「先輩の言葉に嘘がないなら……犯人は『選手なのに大会に参加していない選手』」
「『被害者自身が真犯人』――私たちは迷ド探偵たまきさんの正体を知って、この発想に至りました」
「大納言先輩、あなたの真の能力は『コピー能力』……違いますか?」
「正解よ。よくわかったわね」
「先輩は、毎晩遅くまで独りで熱心に練習をしてました。でも、先輩の練習には不自然な点があったのです」
「フェイント、パスワーク、対人格闘……先輩の得意技は、独りだけで練習するのは難しいものばかりです」
「先輩の能力は――『望む人物のコピーを作り出し練習相手とする能力』!」
445 :未来支配者:2013/12/11(水) 08:19:06 「そうです。能力名『シャドウ蘭にゃん'sメイト』。孤独な私が生んだ寂しい能力――誰にも知られたくなかった……」
「あの夜。光璃さんと別れた先輩は、腕試しがしたくなり光璃さんのコピーを作り出し戦った」
「でも……光璃さんは想像以上に強く、先輩は大怪我をしてしまう……」
「そこに勘違いしたパルプさんが現れて先輩を助けた」
「能力を隠したい先輩は咄嗟に被害者のフリをして……そのまま本当の事を言い出せなくなってしまった……」
「全部……全部あなたたちの推理通りです……」
大納言蘭は、フルフェイスヘルム型アイガードを脱ぎ、静穂と瑠璃奈に素顔をさらした。
ユノハナガニのように白い肌。ユビワサンゴヤドカリのように可愛らしい瞳は涙に潤んでいた。
大納言先輩の素顔は、2人がしばらく言葉を失うほどに美しかった。
「私のせいで……私が本当の事を言えなかったせいでハルコちゃんは……」
大納言先輩はぼろぼろと涙を流した。
煌めく涙が頬を伝い、白いシーツを濡らしてゆく。
「先輩! 泣かないでください!」
「大丈夫……きっと、ハルコは大丈夫です……!」
「先輩も見たでしょう?〈未来支配者〉のことを。大人の姿になってたけど、あれは間違いなくハルコだった!」
「あの強さ……気品あふれる毅然とした振る舞い……」
「たぶん、格闘大会の中で、ハルコは大切なものを見つけ出したんです!」
「だから大丈夫……! 先輩も、そんなに気に病まなくていいんです……!」
「そうなの……かしら……?」
そうなのだろう。
〈未来支配者〉は、今までのパルプ以上に希望に溢れ輝いていた。
ハルコが何を見つけたのかはわからない。
でも、私たちがするべきことは、後悔ではなく応援なのだろう。
ハルコは、魔技姫ラクティ☆パルプは、きっと今もどこかで誰かのために戦っている。
たとえ遠く離れても、ハルコは妃芽薗の仲間だ。
「というわけで……」
「大納言先輩襲撃事件!」
「ラクティ☆パルプが……」
「ばっちり解決! だね!」
静穂と瑠璃奈は、ハイタッチした。
楽しげな2人の様子を見て、大納言蘭ももう泣くのはやめた。
そして、窓の外に輝く星空に目を移し、ハルコの幸福を祈った。
(おわり)
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2014-01-28T21:40:54+09:00
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世界格闘大会最終日、ラ・ピュセル&トラロック&ベル、大会に星を咲かす
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*世界格闘大会最終日、ラ・ピュセル&トラロック&ベル、大会に星を咲かす
中庭に設えられた特設のバトルフィールドが、病院というこの場所を考えるとひときわ異彩を放っている。
魔人格闘家が動きやすいよう充分なスペースをとった空間を中心に、円形に簡易の観客席が並び、マスコミ席もある。
退屈な入院生活に飽きた患者達が賑やかな客席の中にちらほらと混ざり、黒い群衆に白い患者服が点々と斑を作る。
これまでとは少し変わった客層の間を、賑わいの中心に向かってラ・ピュセルと雨衣は歩いていた。
ざわざわ、がやがやとした喧騒を右に避け、左に躱し、ほどなく二人は客席の最前列に辿り着いた。
雨衣はここで足を止める。ラ・ピュセルは軽く頷き、そのまま群衆の視線の中心へと進む。
世界格闘大会8日目。大会最終日。最後の大一番である。
雨衣は、戦場に向かうラ・ピュセルの背中を見送り、どうか格好良く勝てますようにと祈った。
頭の中での祈りを終え、さて席に座ろうと空席を探す雨衣に声がかかったのは、その時であった。
「雨衣さーん! こっち空いてます!」
聞きなれない少年の声。しかし確かに自分の名前を呼んだ。雨衣は首を巡らし、声の主を探した。
客席の最前列に、こちらに向かって手を振る少年がいた。年頃は小学校高学年か、せいぜい中学1年生といったところか。
改めて見ても見覚えのない相手ではあったが、雨衣はひとまず呼ばれるままに少年の元へ向かい、隣の空席に座った。
「この前はごめんなさい」
どなたでしたっけ、と聞こうとした雨衣の言葉に先んじて、少年が謝罪した。
はてな、と首をかしげる雨衣に、ああそうでした分かりませんよねと少年が頷く。
「僕が『ヘタレの方のラ・ピュセル』です」
照れくさそうにそう言った少年を見て、
「ああーーー!!」
雨衣は、得心がいったと大声をあげた。
「私の本当の名前は――」
「ベルよ。よろしくね、雨衣」
大会初日の夜。既に日の暮れた夜空が窓から臨める病室。
アニメや自身が手がける衣装の話で盛り上がっていた雨衣が、最後にラ・ピュセルに対して本当の名前を聞いた時。
囁くように、名前を名乗ろうとしたラ・ピュセルの背後から、突如としてもう一つの名乗りがあがった。
「あっ」
「えっ」
ラ・ピュセルと雨衣が同時に声をあげた。
ラ・ピュセルはまずい、といった面持ちで、雨衣は信じられない、といった面持ちである。
そこにいたのは、もう一人のラ・ピュセルであった。ラ・ピュセルの背後にラ・ピュセル。雨衣は混乱した。
「こんなところにいたのね」
「ご、ごめんなさい」
「覚悟を決めた相手には、相応の敬意と、覚悟を持って相対するべき――なんて、もう言われてしまったわね」
「はい……」
同じ顔が、同じ服装の相手に説教を始めた。
先ほど声をあげた時のまま、あんぐりと口を開けていた雨衣に、後から来た方のラ・ピュセルが頭を下げた。
「驚かせてしまってごめんなさい」
後から来た方――――頼りになりそうな方のラ・ピュセルが、それから現在の状況を語ってくれた。
ラ・ピュセルは姿を継承して、受け継いでいく『名前』である事。
自分がアニメのモデルになったラ・ピュセルで、もう一人は修行中の弟子であり次のラ・ピュセルである事。
「この変身装置を使って、ラ・ピュセルの記憶も少しは伝えてあったのだけれど……まだ未熟でね」
「あーそっかー! 道理でこのラピちんちょっとヘタレだなーとか思ってたんだー」
「あう……」
明日、改めて挨拶に来ると言って、ヘタレのラ・ピュセルを連れたラ・ピュセルが病室を出る際。
「あ! ショックで忘れてたけどいっこいいかな!」
「なんでしょう」
雨衣はグッとサムズアップして、ウィンクした。
「ベルって名前、すっごく似合ってるよ! 鈴みたいな声してるもんね!」
「それじゃ君が噂のファンの少年君だったんだー。だからラピちんってば私はすぐ会えるなんて言ってたんだね」
「僕の名前は岸颯太って言います」
「おーおー颯ちゃんかー。私の知り合いに同じ『そうちゃん』っているけど、君もなかなかイケメンじゃん」
一週間前からを振り返り、雨衣がそういえばと手を打った。
「そうだよ! それじゃお友達の女の子は大丈夫なの?」
「あ……えっと……」
颯太が上体を引くと、颯太を挟んで雨衣と反対側の席に座っていた女の子がこちらに首を伸ばし、会釈した。
「妃芽小雪って言います。あの、ラ・ピュセルといつも一緒にいる人ですよね!」
「おお! あなたが小雪ちゃん! あれ? って事は」
「手術が成功して、今は少しなら出歩けるくらいになりました!」
「わあお! おめでとー! えっ、ラピちんももう知ってるの!?」
「はい。僕がすぐに知らせたんで」
ざわざわとした観客の喧騒が、いっそう強く音色を高めた。
雨衣達が客席で話をしている間に、ラ・ピュセルの対戦相手が試合場に姿を表したのだ。
「ラ・ピュセルー! 頑張ってー!」
小雪の声援に、ラ・ピュセルが振り返る。
颯太と小雪の顔を見比べ、颯太に向かって声を返す。
「颯太! 困難は乗り越えられましたか!」
夏の風に、鈴の音が乗る。
ラ・ピュセルの問いに、颯太は頬を染めて照れながら、小雪の方を窺った。
小雪はそれに気付くと、にっこりと笑って颯太の紅い頬に唇を当てた。
「ひゅー!」
雨衣が歓声をあげ、
「宜しい! これからは貴方がラ・ピュセルです!」
ラ・ピュセルが祝福の言葉を投げかけた。
「なんだか賑やかでいいですねー」
「一部ではそれなりに有名人ですので」
「私も衛星……ゴホン、お友達が応援してくれてますけど、嬉しいですよねー」
「そうですね。励みになります」
観客席から、観る者と闘う者とに隔てられた闘技場の中心。
かつてラ・ピュセルと名乗っていた女騎士と、ほのぼのとした雰囲気を発散する大会最重量級選手、天王星ちゃん。
二人は大会最後を締めくくる闘いとして、互いに申し合い、この場に集った。
「それでは、大会の最後を飾るに相応しい煌めきを」
「よろしくおねがいしまーす!」
二人が向き合い、闘いの幕が開く。
その瞬間。
二人の選手を応援する観客達の大声援が、渦となって立ち昇る。
「せーの」
「「「ベルっちガンバ!!!」」」
割れんばかりの大声援の中。
それでも、ベルの耳には、応援してくれる友人達の声がしっかりと届いていた。
<世界格闘大会最終日、ラ・ピュセル&トラロック&ベル、大会に星を咲かす>
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