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魔技姫ラクティ☆パルプ・エピローグ「リミラヴが使い魔になった日のこと」


「まだ終わっていません!」
バーン! 謎の襲撃者を操っていた真犯人、大納言蘭の病室に現れたのは……
「ハルコ!!」
瑠璃奈と静穂が同時に叫び、パルプのもとに駆け寄って我先にと飛びついた。

【魔技姫ラクティ☆パルプ・エピローグ「リミラヴが使い魔になった日のこと」】

「心配したんだよ!」
「本当に……。どこで何をしてたの……?」
2人とも涙声だ。
帰ってきた友人を二度と失うまいと、強く強くすがりついている。
「ごめんね。実は……ホテルで寝てたの」
パルプは決まり悪そうに答えた。
「なんだよ! なんなんだよその理由は!」
「えー……寝てたって……」
2人は口々に非難の言葉を述べるが、嬉し涙はとめどなく、しがみついた腕は固く離さない。

「みんなも見たかな? 私、未来の姿になったんだけどね、それがとてもキツかったらしくて、ぐっすり寝たなーって思ったら4日も経っててもうビックリ!」
「ホントにビックリだよ!」
「良かった……戻ってきてくれて……!」
言われて見ればパルプの姿は〈未来支配者〉ではなく、見慣れた魔技姫ラクティ☆パルプだ。

「ごめんなさい……ハルコちゃん……私のせいで辛い思いをさせてしまって……」
蘭は涙ながらにパルプへ謝罪した。
「えっ、どなた様……でしょうか?」
見知らぬ美人に突然謝られて、パルプは驚き聞き返した。
蘭は傍らのフルフェイスヘルム型を手に取って見せる。
「あっ、大納言先輩! いいんです。先輩のお陰で、私は素晴らしい出会いを得ることができましたから」
そう言ってパルプは、ラクティ☆ロッドを掲げた。
ロッド先端の星形のレリーフが輝き出す。

「謎の襲撃者は、先輩自身が生み出した神足光璃さんのコピーでした」
「……はい。……その通りです」
ロッドの光が強まり、神妙な顔をした蘭のことを照らす。

「先輩は言われました。『仇を討って』と」
「……はい。……えっ?」
更にロッドの光が強まる。蘭は嫌な予感がして表情を曇らせた。

「ラクティ☆パルプがばっちり解決致します!」
「えっ? えええっ!?」
パルプは光輝くロッドをラクロススティックのように振り下ろす!
ロッドの先端から光弾が放たれ、ベッド上の蘭に目掛けて飛び……命中炸裂!
「シャイニング☆ピュリフィケイション!」

光に打たれた蘭の身体から、線虫様の生物が弾き出され病室の木の床に落下した。
「クリスタル☆アクアリウム!」
そして光のケージが赤白い虫を捕獲する。

「この虫は一体……?」
気味悪がる蘭の疑問に、パルプが答える。
「これはマジカニアの魔法生物『リンガ虫』。人の弱い心を増幅して操る厄介な生き物です」
「この虫のせいで私は……ううん、違う。悪いのは私。悪かったのは私の弱い心……」

「人は誰しも弱い心を持ってます。でも、自分の心としっかりと向き合えば、弱さは弱さではなくなります。先輩はいつも自分自身を見つめ、技を磨いてきました。だから大丈夫。これからも」
パルプは長くて短かった世界格闘大会を振り返る。
戦いを通じてパルプは自分自身の弱さを何度も思い知らされ、遂には心折れ倒れた。
しかし、絶望の淵でパルプは心の奥底にある強い想いに気付き、立ち上がることができた。
強い想いがあれば、誰だって変われるし、何度負けても決して負けない。

「でも……なんでこんな虫が妃芽薗に……?」
静穂が問う。その胸は中学生としてはかなりのものだが、大納言先輩はもっとすごかった。
「心当たりがあります。――これから、その虫を先輩に寄生させた真の黒幕に会おうと思います」
パルプは毅然として言った。

「また危ないことする気なの! ダメ! 行かせない!」
瑠璃奈が血相を変えてパルプの腕を掴み、引き止めようとした。
一度言いだしたら誰もパルプを止められないことは解っていたが、それでも引き止めようとした。
瑠璃奈の胸についてはノーコメントにしてあげるのが優しさだろう。
脱皮して成長したパルプにちょっと負けてる気味なのだから。
「心配しないで。危ない相手じゃないから。あのね、黒幕はね……」

◆ ◆ ◆ ◆

妃芽薗の森の中にある大きな池。
下弦の月に照らされた静かな水面に向かってパルプは呼び掛ける。

「大納言先輩に虫を仕込んだ理由を、聞きに来ました」
……返事はない。
「《未来視》からは逃げられませんよ。姿を現しなさい。私の使い魔、リミラヴよ!」

池に細波が起き、観念したマリンモンキーがゆっくりと姿を現した。

「教えて。大納言先輩に虫を仕込んだ理由を」
「……」
「教えて。私が財前さんに負けたとき、どうして私を置き去りにしたのか」
「……」
「教えて。なぜ臨海学校にクラーケンを呼び寄せたの」
「……」
「教えて。五月病の呪いを私に掛けた目的を」
「……言わなくてもわかっとるんやろ? それに、《未来視》で視たらええやん?」
「うん。だいたいわかってる。でも、リミラヴから聞きたいの」

「しゃあない。じゃあ言うで。ぜんぶ姫はんに絶望を味わってもらうためや。人間界修行で絶望を乗り越えてはじめて、女王になる資格を得られる決まりやねん」
「やっぱり、そうだったんだ」
「そのために一番の理解者ヅラして近くに居り、裏でコソコソ試練を招き、そんで最も辛いタイミングを狙って裏切る。これがリミラヴの役目や」
「……」
「姫はん、なかなかしぶとかったから難儀したでホンマ」
リミラヴは精一杯冷淡ぶって笑って見せた。

「……大変だったね。辛い仕事だったでしょう」
パルプはしゃがみこみ、リミラヴをぎゅっと抱き締めた。

「やめてや! 裏切り者に優しい言葉なんかいらへん! それにな、リミラヴは姫はんの使い魔ちゃうねんで!」
「えっ……!?」
「びっくりしたやろ、リミラヴは宮内庁直属の特務ファミリアや! 姫はんに絶望を与えたらそれでオサラバ! 最初っからぜーんぶウソだったんや!」
「……リミラヴのウソつき」
「その通りや!」
「ぜんぶウソだなんて、そんな下手なウソ信じないよ。あの時リミラヴは言ったもん。私のこと大好きって」
「う……あれはやな……」
「許さない。もう私の前から消えるなんて絶対に許さないんだから。マジカニア第一王女、パルピューラ・マジカニア・レガリスの名において命じます――汝リミラヴ、我が使い魔として仕えるべし!」
「ほんまに……ほんまにええの……? ウソつきで……裏切り者やのに……」
「私にはリミラヴが必要なのです。それに、あの人を狙うライバルを蹴落とすためには……あなたの悪知恵が役に立ちます」
「おおきに……姫はん……ほんまおおきに……!」

こうして、リミラヴはパルプの本当の使い魔となりました。
少年を巡るパルプの戦いはこれからが本番ですが、これにてひとまずばっちり解決です。

(おしまい)