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Battle Cinderella『女王』の敗北 ~姫騎士たちの散華~part4


――地下カジノ跡地  最終日――


「今更、何をおっしゃってるのです!聞く耳持ちませんわ!どきなさい!」
『何言ってるかわかんね―けど、お前、端から人の話きかね―じゃないか』

優勝候補たる上位ランカー達が激しくぶつかり潰し合うこととなった最終日
その幕開けは奇しくも互いに聴覚喪失に陥ったこの二人だった。

偶発的な遭遇。そして戦いは―

火力で勝る紫ノ宮 緒子が超時空軽空母『綾鷹』を順当に下し、そのコマを進めた。


†††

………。

『やれやれ、負けた負けた。最後はみんな大好きおこちゃんとのバトルか。
最後まで噛みあわなかったが、お互い耳が聞こえない現状じゃそこはしゃーねか。』

地に伏した彼女は、対戦相手が、次の相手を求め、移動するのを確認するとゆっくりと起き上る。
まず自身の身体の状態をチェックし、深刻なエラーが発生していないかを確認。
ついで、ぐーとの身体を反らし、ついで清々しくひとのびをした。
それは肉体ダメージだけでなく精神ダメージまでもまるで感じさせない動きだった。
この大切な優勝決戦戦、初戦で敗退し脱落することとなった立場にしては…

『おーし、最後は気持ちよく負けたことだし。わらわもラストミッションいこう。よっと。』

全然堪えてなさそうだった。

『強めの気配を幾つか感じるな。こちらの戦いの推移を慎重に伺ってる感じだ。目的は少年の確保…。
恐らくは運営側の人間だな。主催者にも内緒で…案の定、運営側も腹に一物あったってことか』

主催者側と運営企画側は一枚岩の存在ではない。ある意味当然の成り行きであるともいえる。
もし手をこまねいてそれに云い様にやられるとしたらそれはされたほうが悪いのだ。
そして、それは”運営”側にも”主催者”側にもいえることなのだ。だからこそ彼女もそのラストに
備え、歩を一歩踏み出す。

その眼の前に突如、羽根を生やした少女が、ぽむっと擬音を立てて現れた。完全に血相を変えている。
現れた暇もなく彼女に向かいこう叫んだ。

「女王つつつつ、大変大変~へんたいへんたい~で、エライことに」

それはマリーの夢の中でファルコネンの聖霊を名乗っていた綾鷹そっくりの少女だ。
そのまま軽空母の頭上をぐるりと飛び回る。
綾鷹はその様子に軽く顔をしかめると素早く周りに目をやる。周囲に人の気配はない、それを
確認してからゆっくりと口を開いた。

『たく落ち付け。わらわは今耳が聞こえない設定だ。急に会話しだしたら、変な奴に思われるだろうが。
で、どうした?緊急通信てことは依頼人(クライアント)の”じじい”がついにくたばったとかの朗報か?』

今更、世間体を気にするキャラでないだろうに女王と呼ばれた軽空母『綾鷹』は余裕綽々の態度で
全然洒落になってない冗談を言う。依頼人に対する敬意が足りてないんじゃなかろうか。

その軽口に対して妖精はこう真顔で答えた。

「いや、それだったら、まだ世話ないんけど。違うの。」

お前のほうもそれはいいのかよ。依頼人に対する敬意が足りてないんじゃなかろうか。

「大変申し上げにくいんですが…実はこっち方面でね。大会選手の誰かが、”ラバースーツの痴女”に
ちょっかいかけたみたいでして…。その魔人能力の発動の影響でですね。今度は病院地域一帯が陥没しは…」

反応は劇的だった。妖精さんが云い終える間もなく、強烈な怒声と舌打ちがニトログレスリン級の威力を
持ってあたり一面になり響いた。

『ッ~~どこのアホウの仕業だッ! 状況は!」

私にいわないでよー。
頭ごなしに怒気を喰らうことになった妖精さんはその衝撃にふらふら揺れながらも端的に答える。

「依頼人のほうのセキュリティーは端から万全だから問題なし。
ただエルザさんの一般病棟の状況は不明。
私も手が離せられないから、そっちのほうがどうなってるかまで掴めてないデス。」

その返事を聞きながら、綾鷹は再度舌打ちを行う。
今からマリーをつれ、おっとり刀で戻ったとして間にあうとも思えない。完全に予測外の事態であった。
綾鷹は頭の中で素早く計算を組み立てる。ならば取る手段は一つだ。

『どーせ最後だ。こうなりゃ纏めて片づける。
まず賞品の少年を連れて”そっち”に跳ぶ。んで”二人”を会わせた後、エルザの元に駆けつける。
それが一番早いはずだ。
連チャン使用になるからな。準備しっかりしておけよ、お笑い二等兵』
「アラホラサッサー。」

勇猛果敢な上官のこの命令に妖精さんは最敬礼で答えた。