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とあるお嬢の中指直立(とあるおじょうのファックですわよ)~~7ターン目『夢(たったひとつのおもい)』


(おとうさま、おとうさま)
(どうしたんだい? 緒子?)
(おこは、おおきくなったら、■■■■になりたいですわ)
(緒子ならきっとなれるよ。 でもね、緒子。 そのためには、緒子は強くならなきゃいけないよ?)
(つよく……?)
(ああ、そうだとも)
(だったら、おこは、つよくなりたいですわ。せかいでいちばん、つよくなりたいですわ)
(おこは。 おこはつよくなって、■■■■になりたいですわ)

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~~とあるお嬢の中指直立(とあるおじょうのファックですわよ)~~

7ターン目『夢(たったひとつのおもい)』

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天井一面に広がる真っ白なタイル。
身を包む毛布は、冷え切った身体を優しく抱きしめてくれる。
少しだけふらつくのは、差し込む光のせいだろうか。
朦朧とした意識の中、再びまどろみの海へ落ちそうになるが、
頬を撫でる隙間風がそれを許さなかった。

(懐かしい夢を見ましたわ……)

幼い頃の自分。
純粋に、無垢に。
絵空事のような夢を信じていた自分。
自分は……何になりたかったんだっけ?

「おー。起きたか、シノミヤ」

ふいに投げかけられた言葉は、冷水を浴びせられたかのように意識を覚醒させる。
声はすれど、その姿は見えず。
申し訳程度におかれた簡易カーテンを挟むように、声の主は居るらしい。
どこか、どこか聞いたことのある声だった。

「鏑木さん……ですの?」
「おー。大正解、私だ」

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「ビックリしたぞ。シノミヤが運び込まれてきた時はな」
「ここは……?」

「病院だな。それすら覚えてないの?」
「……」

そうだ、自分は敗北したんだ。
分かっていたはずだ。
気づいていたはずだ。
自分が討ち倒されたことを。
少年はもう、傍に居ないことを。

「全く。肩を並べて戦った二人が、同じ部屋で横になってるとはなー。 知ってるか? あたしら、バカ1号と2号って呼ばれてるらしいぞ?」
「……ふふふ。 返す言葉もありませんわ」

その通りだ。
自分は大バカだ。
約束したのに。
”守ってみせる”という、たった一つの約束も守れずに。

「転校生を守るとか、確かに真っ当な考え方じゃないよなー」
「でもなー、シノミヤ。 私はバカでいいと思ってる。 この性格は生まれつきだからな。 変えるつもりもない」

「どうせなら、世界一かっこいいバカになってやるさ。 なんたって私は、ヒーローだからな!」

……
…………
………………
……ああ。
そうか、そうだったんだ。
何でこんな簡単な事を忘れていたのだろう。
幼い頃の夢だけれど。
幼いからこそ純粋で。
幼いからこそ真っ直ぐで。
その思いは、決して間違っているわけなんか無いと信じていたから。

「鏑木さん……ありがとう、ですわ」
「おー。……なんだもう行くのか? 良かったら今度、うちの店に来てよ。ラーメン奢ってやるよ」
「ふふ。楽しみですわ」

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ゆっくりと閉められた扉。
音は、やけに廊下に響き渡った。
長く、冷たい廊下を歩く。
でも、決して下は向かず。
真っ直ぐに、前だけを見て。
きっとこの道は、間違っていないと信じているから。


紫ノ宮 緒子、最後の戦いへと足を運ぶ。



(おとうさま、おとうさま)
(おこは、おおきくなったら――――)

(――――ヒーローになりたいですわ)