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とあるお嬢の中指直立(とあるおじょうのファックですわよ)


『神酒(パワーアップイベント)』
※使用アイテム:ヨーグルト

 ようこそ旅のお方。
こんな夜更けに神聖なる我が社にどんなご用件でしょうか?

 今までどおり怪我の治療なら昼間に病院の方に来られたでしょうし。
こちらに立ち寄られたという事は、更なる力をお望みですね?
でしたらこちらのお神酒を一献、飲み干し下さい。
傷はたちどころに癒え、或いは眠れる力が目覚めるかもしれません。
(「あの……」)

 ──────────話が旨すぎて胡散臭いですか?
 ご心配には及びません。
このお神酒は神便鬼毒酒と申しまして、平安の世より伝わる由緒正しき霊酒です。
鬼が呑めば死に至る猛毒となりますが、正しき人が呑めば力が湧いてくる霊験あらたかな代物です。
ですからご安心下さい。
(「あの……もしもし?」)


 ──────────”鬼(いつだつしゃ)”が呑まぬ限りは。
(「あの……ちょっと宜しくて?」)


「ん?ああ、はいはい。どうしましたか?」
「ノリっノリの所申し訳無いのですが、その、私……、まだ未成年でして……」
「……ああ、なるほど。お酒は飲めない、と。 そんな方のために、こちらを用意してあります」

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 ゴトリ、と置かれたのは500mlジョッキ。
白くドロついた液体で満たされたそれは、あまりイメージの良いものでは無い。

「……これは?」
「お神酒です」

「……ヨーグルトのように見えますが」
「お神酒です」

「……お神酒って普通、お猪口一杯だけ飲めば良いんjy」
「お神酒です」

「……正確に言えば、お神酒の元、と言った所でしょうか」
あからさまに怪しんでいる緒子の警戒を解くべく、月の巫女は続ける。

「こちらの白い液体。これを醸造、発酵し、濃縮したものが霊酒となります」
「それら過程を省いている訳ですから、同様の効果を得るためには、その分、多量に摂取する必要があるという事です」

「理屈は分かりましたが……」

理解は出来ても納得は出来ないのであろう。
ジョッキを掴む緒子の手は重かった。
無理も無い。
白い。ドロドロしている。あとなんだか変な臭いもする。
見た目はヨーグルトのようにも見えるが、明らかに美味しくは無さそうである。
花も恥らうお嬢様の緒子で無くとも、これを飲み干せと言われれば躊躇もするであろう。

「悩んでいれば、その分ハードルも上がりますよ? ささっ、ぐいっと」
「う……」

「鼻を摘んで一気に。腰に手を当てるとなお良いですね」
「う、うう……」

「緒子ちゃん!」「緒子ちゃん!」「グイっと!」「グイっと!」「これからも!」「これからも!」「月の巫女を!」「月の巫女を!」「よろしくね!」「よろしくね!」
「ふ、ふぇえ……」

「……所詮、お嬢さまには無理な話でしたね。どうぞお引取r」
「やってやりますわ!」
チョロい。

「んっん ぶぁ」
粘度のある液体が緒子の喉に注がれる。
口中を埋め尽くす咽返る臭いは、より一層緒子へ拒絶の感情を抱かせる。
瞳には薄っすらと涙を浮かべ。
白い液体は、はしたなく口元から零れる。
緒子の首筋を伝い、ゆっくりと。
ワンピースは、ゆっくりと汚されていく。

「んー んっんぅー」
どれほどの時間が経っただろうか。
数秒?数分?数時間?
緒子には、刹那であり永劫にも感じられた時間。
ゆっくりと、ただ確実に。
ゴキュリ、ゴキュリ、と、喉を鳴らしながら、
白い液体は確実にその量を減らしていった。

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「~~ぷはっ! の、飲み干しましたわ……」
「……お見事です。どうです?お代わりなd」
「結構ですわ!」
「ふふふ、そうですか。それでは、どうぞ、お気をつけて。貴方の活躍を祈っております」
「……ありがと、ですわ」

そう言って、緒子は振り返らずに、部屋を後にする。

緒子は、再び戦場へと足を運ぶ。
彼女にどのような結末が待っているのか、それは未だ分からない。
彼女は歩く。
彼女は出会う。
そして、彼女は交差する。新たな好敵手と。
物語は始まる。
物語は紡がれる。
物語は続いていく。
物語は――――。

「今は、ゆっくりと見守らせてもらいましょう。貴方の物語を」
月の巫女は、誰に言うでもなく呟く。
その語気はいささか楽しそうだ。

「それに――――」

「それに――――。 私もまた、物語の登場人物の一人なのですから」

――――物語は佳境を迎える。