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怪盗マタンキの適当推理


「おーい、こっちですぅ~」

やって来たパルプに手を振りマタンキはゆうくりと歩む。
一歩、二歩、ダッシュ。
一瞬で距離を詰めパルプの胸に顔をうずめグリグリと動かす。

「ですぅ~ですぅ~」

グリグリグリグリグリ。

「ちょ!たまきさん何してるんですか!」
「このまま話を聞いて欲しいですぅ~。たまきもこんな事したくないけどぉ~、
犯人に聞かれないように戦ってるフリをして耳打ちするですぅ~、
勝利を譲ってやるから安心するですぅ~」
「は、はい。そういう事なら」

密着した状態から気弾やら色々打ち込みながらパルプはたまきの話を聞いた。

「最初に謝っておきますぅ~、以前犯人はマタンキじゃないかって言ったけど
推理しなおした結果、今一番怪しい人は女装者である可能性は低いんですぅ~、
なので襲撃者はマタンキと別にいるという前提でお願いするですぅ~」
「はい、まあ私も変態オカマと色々やりあったりするのは正直嫌なので
それは寧ろ良い事です。所で賞品の少年と勝負したのはどうして・・・」
「行動直前に少年の情報を聞いて、少年という事は男子、マタンキがすり替わったり
利用したりするには都合のいい存在と反射的に思いそっちに行ってしまいましたぁ~」
「ああ、そうだったんですか」

マタンキは今度は両手でパルプの胸をもみながら推理を語りだす。
正面から脱がせるのはそう得意ではないマタンキの攻撃ではパルプの服は一向に脱げず
逆に抗う勢いでマタンキの方の服が徐々に乱れていった。

「それで、あのメッセージはルガーさんの事を示してたんですか?」
「そうですぅ~、ちゃんと伝わってたみたいで話が早いですぅ~」
「でも、あの人と何度かやりあったけど、とても襲撃犯とは思えませんでした。
ううん、ルガーさんだけじゃない。今残っている選手全員襲撃者とするには
何かしら違和感があります」
「たまきもそれには賛成ですぅ~、でも犯人に自分が襲撃者だと自覚がなかったら?」
「えっ?」
「思い出すですぅ~、ルガーとの砂浜戦、そこで別人の様になった彼女と
出会ってるはずですぅ~」

確かにパルプは砂浜での勝負で別人の様に凶悪になったルガーと対峙している。
そしてルガーはその時の事をハッキリとは覚えていなかった。

「血液不足の飢餓状態で意識が混濁し、大会開催前に偶然出会った参加者を
襲ってしまった。そんな所ではないかというのがたまきの推理ですぅ~。
ちなみにこの推理はぁ~少年を追って別人の様になった参加者と出会った事で
閃いたんですぅ~」
「そ、そんな・・・だったら私はどうすれば」
「ルガーが犯人という証拠を探し突きつけるも、彼女を許し捜査を切り上げるも、
たまきの推理以外に真相があると考え別の人物を追うのも自由ですぅ~。
たまきに言えるのは『もし襲撃の実行犯が現在の未敗退者の中にいるとすれば、
それがルガーである可能性が他より高い』という事だけですぅ~」

パルプは頭の中で要点を確認する。
1. 襲撃者の正体は無意識の内に血液を欲したルガー?
2. だとすると彼女がマタンキの可能性は低いから襲撃者とマタンキはイコールではない。
3. 今の所襲撃者本人だと思われる素振りをしている人物はルガー含め皆無。
4. マタンキが誰かは依然として不明。

「まあこんな所ですぅ。それじゃあこのあたりで決着としましょうかぁ~。
正直立ってるのもつらいですぅ~」

会話に夢中になってる間、パルプは気づかなかったがマタンキの足は
既にズタズタになっていた。

「あっ、ごめんなさい!やりすぎちゃいました!」
「八百長に見られるよりはマシですぅ~。たまきはこの大会の賞金には興味ないしぃ~
これまでの賞金でなんとか払えそうだから気にしないでほしいですぅ~。
それじゃあたまきは引き続きマタンキを探すですぅ~。パルプちゃんもガンバですぅ~」

パルプが見えなくなるまで手を振るマタンキ。
彼女と別れた後は公園の茂みに入りゆっくりと倒れこんだ。

「痛いー!これ右足の神経切れてる絶対!借金無しに大会を終えるには
後一勝は必要じゃない!私引き続きピンチー!」

もし借金を払えずに大会を終わったら、何をされるかわからないが
少なくともその拘束期間でマタンキの正体がばれるのは確実である。

「でも身体はった甲斐はあったわ。取りあえずあの子の疑いは逸らせたし。
ルガーが襲撃犯ならそれでよし、違ったとしても私の推理を信じる前提で動けば
彼女の行動が私にマイナスな影響を与える事はない。でも・・・」

マタンキはパルプとの会話中に新に思いついた可能性について考察する。
マタンキはこう言った『実行犯がいるならルガーの無意識の行為の可能性が高い』と。
逆に言えば『ルガーの無意識の行為という無理目な推理がでるぐらい実行犯がいる可能性が低い』という事だ。

パルプは占いの様な自身の能力と襲撃犯の捨てセリフでこの大会に襲撃者がいると
考えたが、その襲撃犯はこの大会には来ていないのではないか。
この大会に見え隠れする犯人の気配、それは実行犯のソレではなく襲撃を計画し
指示した人物のものではないのか。

では、その人物は何の為に襲撃をさせた?
決まっている、パルプをこの大会に参加させる為だ。
数々の事件を解決してきた魔法少女、この大会に参加させるにはうってつけの存在だ。
だが、正体不明であり住所不定な上に正義の為にしかその姿を現さない彼女に
招待状を送る事は不可能と考えた犯人はパルプの活動領域にいる大納言に目を付けた。
適当な変身能力者を使って大納言を負傷させ、その現場をパルプにあえて発見させる。
そうすれば『大切な人達の為に卑劣な敵を追う魔法少女が大会参戦』。
大会の目玉の一つとして十分なイベントの完成という事である。

だが、マタンキはこの推理はパルプには黙っていた。
もしこっちが真実なら、対処はほぼ不可能。
気づかずにいるか知らないフリをしていた方がマシだからだ。

「こっちの推理が正解なら『計画者』はこの大会の流れを操作している人物。
一番怪しいのは、おっと」

思わず口にした推理をマタンキは切り上げ、誰も聞いている気配が無い事に
ほっと胸をなでおろした。

(続く)