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魔法騎士 ラ・ピュセル 第五十六話



――――――


「ラ・ピュセル――――推参(おしてまいる)!」

空に、白銀の鈴を思わせる声が朗々と響き渡る。

都会の喧騒に囲まれながら、そこだけは緑に切り取られた憩いの空間として残り続ける公園。
普段ならば周囲の忙しない空気を寄せ付けず、そこだけはゆっくりと時の流れる場所である。
しかし、その日は事情が違っていた。

「やっぱり来たか、ラ・ピュセル!」
「鏑木諒子(かぶらぎりょうこ)……私(わたくし)は貴女を止めなければならない」

今日、そこに立つのは小さな子供達を連れた母親でもなければ、森林浴を楽しむ老人達でもない。
片や、半袖の白い調理服に身を包んだ岡持ち片手のラーメン屋(?)。片や、銀の鎧に身を包んだ女騎士。
女騎士の背後を、幾人かの人影が駆け去っていった。

「あんたが止めようっても、私は退く気はないよ!」
「貴女を言葉で止められない事は分かっています。ですから――」

鏑木諒子と呼ばれたラーメン屋然とした方の人物が、空気を震わせんばかりの闘気をまき散らして言葉を吐く。
ラ・ピュセルと呼ばれた女騎士が、静かに、凛としてその闘気を受けて立つ。
既に、互いに言葉は尽くした後。両者が臨戦態勢に入る。

それは、譲ることのできない思いのぶつかり合い。
原因は、日常の背後に蠢く巨大組織の陰謀。
涼春機関(すずはるきかん)という、世界征服を企む組織の暗躍。

地上に生きる全ての人間を洗脳し、意のままに操ろうという計画。
その尖兵としてこの街に派遣された強化戦闘兵士。
それを知り、その企みを打ち砕くべく集った正義の戦士達。

だが、そこに異を唱える者がいた。
鏑木諒子。普段はラーメン屋として働きながら、身近で困った人がいれば自慢の拳で何でも解決する街のお助け屋。
彼女の竹を割ったような性格は、どんな理由があれども、複数人で一人を倒そうという戦法が許せなかった。

公園では、ラ・ピュセルと鏑木諒子の闘いが始まっていた。
動きを見極めようと身構えた鏑木諒子の身体が、ラ・ピュセルの投げによって宙を舞う。
だが、鏑木諒子は受身を取ってすぐに立ち上がる。

「宇宙一のバカだって言われたって私はいいさ! 私は私自身の生き方を貫く!」
「私も、皆がその生き方を貫こうと生きられる世界のために!」

だから、鏑木諒子は闘う。
だから、ラ・ピュセルは闘う。
互いに、この場は譲れない。

「ぶっ飛べぇーっ!」

思いを乗せた一撃が、それぞれの拳に委ねられ。

「煌け! コスモビィーム!」

二人の身体が、光の矢となって激突した。


――――――