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Love Guardian


(前回までのあらすじ:スズハラ機関の元工作員『忘却の影』の暗躍により炎を失い戦線離脱を余儀なくされた数胴兵香。だが、逃走した賞品の少年との出会いをきっかけに彼女は復活。彼のために戦うことを誓い、再び立ち上がった。そんな彼女の前に現れたのは恐るべきケジメマネジメントの女社長財前倉持であった。)


魔人一家前道路。某少年の悪影響で脱衣力が高まっているこの地で財前倉持と数胴兵香が戦闘していた。周囲にはそれを見ようと集まってきたギャラリーの姿がみえる。

「何なんだよこいつは!」

財前は執拗に兵香の服を狙ってくる。先程からずっとこの調子だ。
そもそも彼女は狂気の魔女討伐に向かっていたのではないのか!なのに、なぜこちらを襲ってくるのか!
秩序の守り手に倒されたことの意趣返しか。いや、彼女は自分と秩序の守り手の関係を知らないはずだ。第一それならもっと前に襲ってきただろう。
それともビルを失い魔女が見つからないショックで精神がおかしくなってしまったのだろうか。
少なくとも、あれではまるでただの脱衣機械だ!

そして二人の戦いを見て盛り上がるギャラリーたち。以前に戦っていたときよりもギャラリーは増えている。
操女作の映像が流された結果彼女の人気は爆発的に高まった。メイド姿が流されるというのは全く嬉しくない出来事ではあったのだが。
もはや彼女は人気者というよりアイドルといっても良いだろう。
脱落し大会では最早見ることはないとと思われた彼女の戦闘が見れるのだから、盛り上がりを見せるのは不思議なことではない。
さらにこの場は脱衣の可能性が高まっている。とすれば以前の神藤振子との戦闘の再現を期待している人間がいてもおかしくはない。

(これ以上醜態を晒してたまるか)

既に彼女は大会参加者ではないが、どうせこれも中継されることになるのだろうということは想像に難くない。
なら以前のような展開はごめんだ。
兵香の両腕が炎を纏う。ひらひらと周囲に舞い散る桜の花弁。これこそが強化された彼女の魔人能力天狐の炎手である!

燃え盛る拳が財前を直撃する。だが、財前はまだ倒れない!
再び兵香に接近し、彼女の巫女服をつかもうとする!
また、乙女の柔肌が全世界にさらされてしまうのか!青少年の何かが危ない!

だが、兵香は財前の腕を振りほどく。そして財前が体勢を崩した。チャンスだ!
兵香の前蹴り!体制を崩した財前にカウンターでヒット!
そして更にそのまま後ろ回し蹴りを繰り出す。脚が財前の顔面に直撃!ワザマエ!
蹴りの直撃を受けた財前が回転しながら吹き飛んでいく。そしてバウンドしながら地面に叩きつけられた財前はそのまま意識を失い活動停止!

湧き上がる歓声!戦いを終えた兵香は財前との戦闘で乱れた着衣を直そうとする。
人気者の勝利に魔人一家前のギャラリーは大盛況だ!
そして服装を整えた兵香はカメラで撮影をしている操女たちののもとに向かう。

「いやー、恋する乙女は強いですねー」
操女がニヤニヤしながらいった。
「からかわないでくれ」
「違うんですか?」
「いや…」
そう言った兵香の言葉は歯切れが悪い。
きっと今抱いているこの気持ちはそうなのだろう。それは否定できない。だがそれはつまり…。
「ああ、そうですよね。兵香的にはそれってまずいですよね。うんうん」
一人で納得した様子を見せる操女。
「でも、先輩と後輩が繰り広げる仁義なき恋の戦い。これは運命の悪戯としか言いようがありませんね」
一人で盛り上がる操女。

そうなのだ。きっと、先輩もクラスメイトである彼のことが好きなのだろうと思う。
だから、彼女も参加者ではないにもかかわらず闘いに参加していたのだろう。
そして、だから、心苦しい。とても辛い。胸が痛い。
だって自分は彼女のことも好きなのだから。
だから、きっと自分は彼にこの気持ちを伝えることはできない。


少なくとも今は。




「大丈夫ですって、私は兵香を応援しますから」
「その話はもういいよ。ところで本当なのか?主催者から選手に賞品捕獲の指示が出たっていうのは」
一人で盛り上がる操女を無視するように兵香が言った。
「私の情報が信用できませんか」
「いや信用しているさ」

大会の賞品とされた少年は現在逃走し行方不明だ。
退会運営としては表沙汰にするわけには行かない以上、どこにいるかわからない彼を選手自身に探させるのは合理的といえるだろう。

では、兵香はどうするべきか。他の選手のように賞品の少年を捕まえる?
いや、彼女はまだ大会への参加を継続していたとしてもそうはしなかっただろう。
まして、彼への想いに目覚めた今、誰かに渡すわけには行かない。先輩ならまだしもどこの馬の骨かもわからない人間など。

ならば取るべき選択肢はひとつ。他の大会参加者から彼を守る。
そう考えれば、大会から排除されたのはむしろ好都合かもしれない。

そして焔の狐の戦いの炎は再び燃え上がった。