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SAN値直葬! アラシvsパルプ!


墓森アラシは願った。TV局前で上位互換キャラを倒して人気獲得ッス!
ラクティ☆パルプは誓った。神足先輩の仇は私が討って見せます!
しかし――
「終わっちゃったッスねぇ……」
「うん……終わっちゃったね……」
二人の出番を待たずして、転校生<忘却の影>は敗れ去ったのであった。

「それじゃパルプちゃん、仕方ないから二人でやるッスよー!」
「うん……」
「あー、浮かない返事ぃー。ひょっとしてアラシちゃんがゾンビだから嫌ッスか? 傷ついちゃうなー」
「あ、別に嫌じゃないんだけど、吸血鬼とかシェイプシフターとか、ファンタジーな対戦相手ばっかりで、これって本当に格闘大会なんだろうかって」
「魔法使いのパルプちゃんがソレ言うかなー」
「あはは、それもそうだね。それじゃ、ラクティ☆パルプがばっちりお相手します!」
「派手に行くッスよー!」

テレビカメラを意識しながら、アラシは飛びかかるのに丁度よい間合いを取って構える。
輝くドレスに身を包んだパルプは、ラクティ☆ロッドを掲げて呪文を詠唱。
詠唱は一瞬で完了し、白い光の球体が杖から放たれる! 速い!
新しい魔法少女服の効果で未来の力を手にしたパルプの詠唱速度は、昨日までとは次元が違う!

「アイテムパワーッスね! ならこっちもファンデーションの効果で防ギャーッ!?」
飛来する光球を防ごうとしたアラシだが、光球は腕に触れた瞬間に爆発!
これは防御不能の魔法発勁グローリアス☆ボマー!

しかしゾンビは痛みを感じない! 怯まない!
被弾した直後にアラシは外見に似つかわしくない敏捷性で高く跳躍!
上空から体力任せの体当たりだ!

(転校生対策で上空からの攻撃を避ける練習はしてきた! 私にはかわせる!)
落下してくるアラシを見上げ、回避しようとするパルプ!
しかしパルプの顔に生暖かい液体が降り注ぎ視界を一瞬奪う!
アラシは自らの腹を割き、噴き出す血で目潰しを行ったのだ!
パルプ回避不能!
押し潰され、冷たいタイルに全身を痛打する!
やはり付け焼き刃の回避戦術は通用しないのか!?

「……パ……ル……プ……☆」
アラシの下に押さえ込まれたパルプが、ゆっくりと、力強い声で詠唱する。
――この大会に参加している選手は誰もが私より強い。
だからもう出し惜しみはしない! 私は唱える! 私だけの真魔法を!
「……マジカニカ!」

282 :ラクティ☆パルプ:2013/11/14(木) 21:50:40 パルプのロッドがひときわ強い光を放った。
転がるように離れて警戒するアラシの全身を違和感が包み込む。
舗装された路面がグネグネとうねり、立ち並ぶビル群の姿も波に翻弄される海藻のごとく揺れる。
パルプとアラシの周囲で空間が歪んでいる。

「なんなんスかこれ!?」
「ロマンティック☆カラミティ――私の持つ最大の魔法です。因果の紐を手繰り寄せ、時空を越えて戦いの結末だけをこの場に引き寄せる! 私とアラシさん、どちらの運命の力が強いか勝負です!」
未熟な魔法使いであるパルプには過ぎたる超時空魔法!
その発動率は低いが、研ぎ澄まされたパルプの集中力によって遂に発動成功!
未来よりパルプとアラシ、いずれかが勝利した世界が今まさに引き寄せられようとしている!

ミシミシミシ。
パルプの上空の空間に亀裂が入る。
アラシが指差して叫ぶ!
「ああ、あれは! あれは! 一体なんなんスかあれ!?」
「えっ? 私のマジカニカ……!?」
見上げたパルプも想像外の異常事態に顔を蒼白にする!
「なに……これは……なにが起きたの……!?」


おお、時空の狭間から這い寄りしそのモノの姿を私は正確に描写することができない。
ジャーナリストとしては敗北にあたるだろうが、これは祝福である。
そのモノを正しく理解してしまったら、私は正気では居られなかっただろうから。
幾百本もの蟹に似た脚の蠢き、冥府の焔を思わせる穢れた赤い輝き、嵐に揺れる廃屋が泣き叫ぶような不快な軋み音。
私が思い出せるのはそれだけだ。

戦っていた当事者の二人、周囲で見守っていた観客、大会運営スタッフ、そして生中継を見ていた数億人の視聴者と同じく、私の意識もそこで途切れている。
幸いにも、この大規模放送事故による死亡者は確認されていない。
また、不思議なことに録画にその姿は映っていないため、二次被害拡大の虞もない。
試合は、両者気絶による引き分けという裁定となった。

魔技姫ラクティ☆パルプの魔法は失敗だったのか?
そうではない。むしろ彼女は――成功し過ぎたのだ。
成功し過ぎた結果、勝敗を超えたおそるべき存在を時空の狭間から呼び寄せてしまったのだと私は考える。
そして、あのモノが人類への敵意を持っていなかったことに感謝を捧げたい。

(とある特派員の手記より)