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マスコットキャラクター


二日目の天王星とヴァッファローヴェルの試合は相打ちに終わった。
ヴァッファローヴェルのバットによる強打と天王星のタックルが見事に同時にヒットしたのだ。
現在、二人はそれぞれ道路の反対側で倒れていた。

「いたた……」

打撲を負ったヴァッファローヴェルが先に立ち上がる。
身体を動かしてみて、特に支障がないことを確認すると、天王星の方に歩み寄っていった。

「あの、大丈夫ですか?」
「うーん……頭が」

呼びかけられた天王星は半身を起こし頭を揺する。
脳が揺さぶられたかのような頭痛と目眩――脳震盪だ。

「ちょっと数分動けないかも」
「そうですか。ではしばらく私も待ちますよ」
「……ありがとう」

思わぬ気遣いに、天王星は驚きつつも謝辞を述べた。
戦闘中は勇猛果敢というか、凶暴でタガが外れたようだった。対して、今は非常に優しい声音でこうして天王星の回復を待ってくれている。
疑問を持ちつつも、しばらくじっとしていると症状が落ち着いてきた。

「……よし、動けるかも。」
「お、良かった良かった。手を貸しますよ」
「ありがと。優しいんですね」
「そんなことないですよー。戦闘中なんか、その、手加減できなくなっちゃうんですよね。思いっきり殴ってすみませんでした。」
「い、いえ格闘大会なんですしそこは遠慮しなくていいと思いますよ。私も思いっきりタックルしちゃってすみませんでした」

(言い方からして、何か事情があるんだろうな。ちょっと気になるけど詮索はしちゃまずいか。それよりも、この人の優しい一面が見れた分得したかも?)
疑念を振り払い、天王星はまっすぐヴァッファローヴェルを見据えた。

「試合ありがとうございました。転校生討伐に誘っておいて、結局いなかったのは申し訳なかったですけど……。また戦う機会があったらよろしくおねがいします。」
「はい、こちらこそありがとうございました。」

太陽を背に、二人はがっちりと握手をした。

「では、また」
「はい!」

お互いそれぞれ帰ろうとして――。

「――あ! あの、ヴァッファローヴェルさん!」
「は、はいなんでしょう!」
「ずっと気になってたんですけど、その、中の人っているんですか!?」
「そりゃあもちろん、いますよ」
「な、なんだってー!」

天王星は落ち込んだ。マスコットに中の人なんていない信者だったのだ。「中の人なんていないよ!」と言って冥王星ちゃんに笑われたこともある。

「……そ、そうだったんですか。」
「え? あれ、もしかして夢を壊しちゃいました…? だったら、その、ごめんなさい!」
「いや、私が夢見がちな馬鹿だったってだけです……。あ、でも中の人がどんな人なのか気になります! 見せてくれませんか?」
「え!? それはちょっと、恥ずかしいなぁって……。」
「この大会に出たってことはそれなりに美少女なんですよね!? 見せて下さいよ―。」
「えー? だめですよぉ」
「いいからいいから~。私の夢を壊したお詫びだと思ってさ―」
「それを言われると、申し訳ないけど……ってきゃあ、首触らないでくださいよ!」
「えー被り物とるのに首触らないなんて、無理な話だよ―」
「だ、ダメですって、ちょっあははっ、くすぐったいです。私、首弱いんですからー」
「へぇー!いいこと聞いちゃったなぁー!」
「あ、やばい。スイッチ入っちゃったっぽい。ってやめっあははっ、もー仕返しですよ!」
「ふふーん、私の弱点は首じゃなくて脇だからってやばっ、脇はダメって…きゃはははははっ」

くすぐり合いは組んずほぐれつの様相を呈し、苛烈を極めていった。

◇◇◇

「……天王星ちゃん、もう満足しましたか?」
「はぁ……はぁ……わ、笑いすぎて息が……」
「満足したようなので、そろそろ私帰りますよ?」
「は、はぁーい。」

途中からは完全にヴァッファローヴェルの優勢になり、天王星ちゃんが一方的にくすぐられる展開になった。

「じゃあ、今度こそさようならー。お互い大会頑張りましょう!」
「はい、首位争いなんてできたらいいですね。さようなら!」

もう一度握手して、それぞれ逆の方向に歩き出す。
しばらくして天王星が。

「あー! 結局中の人の顔みてない!」
「あ、バレた。有耶無耶のまま流せてたとおもったのにー!」

ヴァッファローヴェルは走りだし、続いて天王星が追い始めた。

【END】