銀の絆と小鳥の夏恋 > オープニングフェイズ

オープニングフェイズ(ダイジェスト版)

シーン0

  • シーンプレイヤー:なし(マスターシーン)

──某市、UGN支部。
そこでは少年と少女が打ち合わせを行っていた。

概要はこうだ。
天月市支部で人員が刷新され、模擬戦を行いたいので人員を借りたい。
尚、当方の指名は「狂殲の銀穿(クルーエル・シルバー)」である。

指名されたのは、その少女「霧生・葵」であった。
あからさまに面倒臭そうな態度を見せる彼女に、少年は伝家の宝刀を抜く。

少年「ほら、帰って来たら夏季限定の銀薔薇ジュレ(※1)おごりますから」

その言葉を聞きしぶしぶ了承をする少女なのであった。


※1:銀薔薇ジュレ
遠方LH市で商品展開されている銀薔薇スイーツの一商品。この少女は甘味に目がないのである。

シーン1


夏の陽は長く、ホームルームが終わった時間でもまだ空は青く澄み渡っている。
玲は帰宅すべく荷物を纏めていると、クラスメイトが興じている噂話が耳に入ってきた。

クラスメイトA「ねえねえ知ってる? ……先輩ってば、彼女がいたんだって!」
クラスメイトB「え、そうなんですか? てっきり特定の人にはなびかないとばかり……」
クラスメイトA「最近いつも一緒にいるロングヘアの清楚な子いるでしょ?」
クラスメイトB「え、あの子が彼女さんなんですか?」
クラスメイトA「みたいだよ。毎日送り迎えとかしてるんだって!」
クラスメイトB「なん、ですって……。さすが王子様……」

玲(王子様……まさかね。いや……いやあの人しかいなくね?)
誰の事を話しているのか、何となくではあるが推測(※2)できてしまった玲は、遠い目をしながらそのまま彼女らの話にひっそり耳を傾ける。

クラスメイトB「それにしても毎日送り迎えしてくれる彼氏さんですかぁ……。羨ましいですね」
クラスメイトA「私は羨ましいとは思わないけど……真砂はそういうのに憧れるクチ?」
クラスメイトB「憧れ……ないことはないけど……まあ……ほら、この身長ですから……」

少女たちを見ながら物思いに耽る玲は、彼女たちが出ていく間際に交わしていた会話を耳にする。

クラスメイトB「でも、そしたら風祭先輩、ちょっとかわいそうですね」
クラスメイトA「そうよね。あんなにずーっと先輩のこと見てたのに」

またもや玲にとっては聞き覚えのある名前がでてきた。
風祭・詩子。「やせいのおうこく」のメンバーで、金髪ロリロリファッションが特徴的な、玲にとっては先輩である。

玲「……風祭先輩、火浦先輩のことスキ、なのかな」

ぼそりと呟く玲に一人のクラスメイトが話しかけてきた。玲は和樹の交際関係について探りを入れるが、有益な情報は得られず、
そのまま帰途につくことにする。

帰宅途中、玲の携帯にメールが届く。差出人は同僚である天河・颯
珍しいな、と思いながら内容を確認する。
『折り入って君に頼みたいことがある。近くの喫茶店で待ってます』との文言と共に、地図が添付されていた。
その案内に従って喫茶店に到着、颯と合流、少し言葉を交わすと、いきなり泣き出しながら、
「他都市のUGNイリーガルを支部長に会わせずに帰らせてほしい」と依頼してきたのである。
直ぐに妹の事と直感的に把握する玲。
なるほど支部長に会わせるのは色々な意味で不味いだろうと判断した玲は、その依頼を快諾するのであった。


※2:何となくであるが推測
火浦・和樹の事。この様な比喩をされるような人物が何人もいる訳がない。

シーン2


日が徐々に傾き始めた夕刻。夏と言う事もあり、結構良い時間を指している。
和樹は部活を終え、霜月・雪と共に帰宅途中だった。
早足で和樹についてくる雪を見、ペースを落とす和樹。

学校の事についての会話に興じていると、和樹は気配を感じた。雪はどうやら気付いていない様子。
和樹が振り向くとそこには[[風祭・詩子]の姿があった(※3)。
彼女は、気付かれると同時に逃げ出す様にその場を立ち去る。
その様子にようやく何かあった事に気付いた雪。

雪「? ……火浦くん、なにかあったんですか?」
和樹「え、あ、いや、こっち見てた子がいるんだけど、目があったらどこか行っちゃって……何だったのかなぁ?」
雪「……火浦くんって、割といつも女の子に見られてませんでした……?」
和樹「えー?そんなことないよ?」
雪「……たぶん、気付いていないだけかと……」

苦笑しつつ答える雪。二人は彼女の事は特に気にせず、帰宅していくのであった。


※3:姿があった
ここでは和樹と詩子の対決が行われたが、和樹の勝利となった。

シーン3


長い陽も山間に沈もうかという時間帯。
七海は、数名の「やせいのおうこく」構成員と共に、本拠地である学園駅前付近にある雑居ビルへと集まっていた。
この辺りは学生向けの飲食店や娯楽施設等もあるため、特に用事がなくても立ち寄る構成員は多い。
勿論、ただ雑談に興じる者も少なくなく、そうした風景はここの風物詩でもある。

家に帰ると勉強しろと煩いので帰りたくないとぼやく佐原・曜子にじゃあ勉強教えようかと変化球を投げる七海。
助けを求めるかのように東雲・紗を見るも、あたしも解らないよと言われ、七海はようやく詩子を宥めにかかる。そんな他愛無いやり取り。
と、次の瞬間、けたたましい足音がビル内に響く。誰のものなのか、大体予想がつく3人。
そしてその期待を裏切る事なく、現れた人物は、先程来和樹の『素行調査』をしていた詩子だった。
涙目になりながら物凄い剣幕で七海に詰め寄る詩子に、周囲はどうしたものかと勘案しだす。
どうやら、その原因は雪と和樹の下校風景を見てしまった事によるもののようだが……。

混乱した状況を収束させるべく、紗は一計を案じた。それを一任する七海。
その一計とは次のようなものだった。

紗「玉砕覚悟で告白すればいいじゃない」
詩子「 」
紗「それがいいって。決まり、決まり。あたしセッティングしておくから! まかせて!」

そう言い残し颯爽と立ち去る紗。当然のように詩子は先刻までとは別の意味で、蜂の巣をつついたように騒ぎ出す。
加えて七海もそれに乗っかり詩子を煽る。

七海「うーん、詩子に訊きたいんだけどさ。キミは彼とどうなりたいわけ?」
詩子「!? ど、どうってその、えーと…………えーと」
七海 「ずっと見ててー、別の子とー……なんてなってもいいの??」
詩子「よ、よくないっ。今もう既になってるみたいなもんだけどよくないっ」
七海「じゃあ今からやるべきことは?」
詩子「う、ううう。七海せんぱいの笑顔がくろい……。こうなったら覚悟決めてやるんだからー! 曜子ちょっと傾向と対策練るから付き合って!!」

詩子は曜子の腕を取りそのまま対策会議と称してどこかに出ていく。
荒れ模様の状況を予期する七海。そこに一本の電話がかかってくる。
電話の相手は颯だった。先に玲に依頼した事と同じ内容を依頼、協力を要請する。
何か裏がありそう(※4)な感じではあったが、今はそれを追及する事なく受諾する七海なのであった。


※4:裏がありそう
颯はこの時「支部長に会わせたくない、というのだけが理由ではない」旨をぽろりと零していた。

シーン4


一方その頃、学校を終えた幸一は諸業務を行うべく支部入り。
幸一には気になる事があった。途中で玲を見かけたのだが、明らかに様子がおかしい。
隠し事はもう少し上手にやれよどこのドMだ、と一人悪態をつく幸一。

更に様子がおかしいのはそれだけではない。
要請したイリーガルとは連絡が取れず、普段なら支部に常駐しているはずのDracheとも何故が連絡が取れない(※5)。
一先ず颯の所へ向かいながら、LH市支部へと連絡を入れるが、其方でも件のイリーガルとは連絡がつかない様子。

颯に探りを入れるも、これと言った情報は得られない。
何かを隠しているとしても見破るのは困難だろうと判断した幸一は、次なる方策を考える。
そんな事を考えながら支部内を出ようとした時、鷲見・聖に遭遇した。
早速情報交換を試みるが、こちら推察に同意された程度で概ね空振りに終わる。
程々にしておけ、足並みが乱れているのは良くない、と聖。

それも尤もだと感じたのか、幸一は玲を捕まえて吐かせるのが一番の近道と判断、
早速支部を後にするとタクシーを捕まえて玲の追跡を開始するのだった。


※5:連絡が取れない
Dracheはそのキャラクター性から、UGNからの監視対象となっている事が推測されており、
連絡を向こうから切るとは考えにくい、と幸一は考えていた様子。

シーン5

  • シーンプレイヤー:Drache(PC5)

翌日早朝、Dracheは猫に乗り移り(※6)『オウドウテンカイ』(※7)について一人思考を巡らせていた。
そんな時、一人の来客があった。

少女「……あんた、レネゲイドビーイング?」
Drache「うん、僕はレネゲイドビーイングだよ。ところで誰?」
少女「ここの支部に呼ばれてきたイリーガル。……別都市の、だけど」

どうやらこの少女は支部長である幸一に呼ばれてここに来たらしい……が、彼は今学校に向かっている最中だった。
学生が支部長である事に少々驚く少女に、Dracheは学校の場所をパソコンで地図を開きながら説明する。

そしてブラウザを閉じると、丁度出しっぱなしになっていたイカがわしい画像が露わとなった。
それを見て狼狽する少女。詳しい説明をしようとしたDracheを静止すると、そのままどこかで出て行ってしまった。
仕方なくDracheは学校に向かおうとする。丁度その時、紗からメールが届いた。

『お昼からみんなで遊ぶよー。Dracheくんも一緒にこない?』

Dracheは二つ返事でそれを了承すると、人間観察をすべく学校に向かうのだった。


※6:猫に乗り移り
オルクスのエフェクト《ハンドリング》の効果による。
※7:『オウドウテンカイ』
和樹の周辺で最近繰り広げられている(?)事をDracheなりに表現したもの。

→→→ミドルフェイズへ続く
最終更新:2013年08月31日 21:15