悪意の残滓、凍れる孤影 > オープニングフェイズ

オープニングフェイズ(ダイジェスト版)

シーン0

  • シーンプレイヤー:なし(マスターシーン)

天月市郊外、路地裏にて、季節外れの吹雪が吹き荒れる(※1)。
その吹雪が止み、後に残ったのは痛いほどの静寂と、樹氷のようになった男たち。
そして──一人の少女。

「……この人たちも……違う。どこ──」

覚束ない足取りで表通りへと歩む彼女は、足を縺れさせその場へ倒れ込む。
立ち上がる事も出来ぬ少女の、瞳の端からは一筋の雫。
痛いのは傷よりも、この心。あなたがここにいないから。

「どこ……、どこにいるの……。──くん……」


※1: 吹雪が吹き荒れる
サラマンダーの変異種専用エフェクト《コキュートス》の効果。尚、和樹PLは描写のみでエフェクトを見抜いた。

シーン1


晩春の空には冴え冴えとした月が輝く夜。
部活を終わらせて帰途へとつく火浦・和樹(ひうら・かずき/PC1)は不意に違和感を覚える。
体内のレネゲイドが不快を示すかのようにざわめき始めた。

和樹「この感覚、ワーディング!?」

ワーディングの発生地点へと駆け出そうとした和樹は、路地の隅に倒れている少女を見つける。
少女は真新しい傷を複数負っていた。

和樹「大変だ、怪我してる……どっちにしても連絡しないと」

ワーディングの発生源を気にしながらも携帯を取り出し、連絡しようとした所で和樹は彼女が這いずり始める事に気付いた。
慌てた様子でそれを静止する和樹。そこで少女は漸く和樹の存在に気付く。
無事かを問う和樹。怯えた様子で返答をする少女。

和樹「良かった。えーっと、僕は火浦・和樹。君は?」
少女「あ、……わたし、霜月・雪(しもつき・ゆき)と、言います……」

雪を立たせながらどこに向かっているのかを問うと、彼女は人を探しているのだ、と答えた。
その人は私にとってとても大事な人なのだ、だから守らなくてはいけない、とも。
その返答を受け、探すのを手伝うと申し出る和樹。
しかし彼女は、私が助けなくては意味がないという風に続ける。

和樹「それじゃあさ、僕はその人を助ける雪ちゃんを助けるよ、それじゃダメかな?」

彼の言に言葉を失う雪。程無くして、彼女は泣きだす。
その様子を見て変な事を言ったかとおろおろ慌てだす和樹。

雪「でも……ごめんなさい。あなたを、巻き込むわけにはいかないから……だから、……ごめんなさい……!」

そう言うと同時に巻き起こる激しい風雪。視界を奪われ、怯んだ和樹の隙を付き(※2)雪は場を立ち去るのだった。


※2: 怯んだ和樹の隙を付き
この時、判定があったが和樹のダイスロールはファンブルとなった。

シーン2

  • シーンプレイヤー:Drache(PC2)

時間は少し遡り、夕刻前。
電子の妖精とでも言うべき彼は、いつもの通りのんびりと電子の海を渡り歩いていた。
自動巡回プログラムを作り直さなくては──などと思案しているそんな時、通話の着信を示すアラートが鳴り響く。
相手はDrache(どらっへ/PC2)の古い友人である、他都市──藤篠市で活動するUGNエージェント(※3)だった。
発生練習の後、応答するDrache。

Drache「>はい、もしもし、ドラッケン。何か用かな?」
友人「……実はお前に頼みたい案件があるんだ」

友人は『涯ての静寂』と呼ばれる存在を追ってほしい、と彼に言った。しかしどうにも様子がおかしい。
何しろ、解っている情報を問えばそれは言い澱まれ、更に此方の支部には連絡を入れないでくれ、との事。
何か事情があると察したDracheは、深く追求はしない事にした。

Drache「>分かった。あ、こちらで独自のコネクションを使って調べるのはありかい?」
友人「ああ、そっちの独自のコネを使ってくれるのは大いに結構だぜ。とにかくうちの支部に情報が入らないようにだけ気を付けて欲しい」
友人「突然無理を言ってすまんな。大した情報も出せないが、『涯ての静寂』を頼む──できるなら、救ってやってくれ」

それはどういう意味か、と問う前に通話は切れてしまう。
Dracheは依頼内容を整理しながらその意味を考え始めた。

Drache「>藤篠市支部で何かあるのかな? 後でデモリッシャー(※4)に聞いてみよう」

一通り情報の整理を終えると、彼はまた電子の海へと戻っていくのだった。


※3: 藤篠市で活動するUGNエージェント
彼には後のシーンで真北・昭憲と言う名前が明かされるが、この段階では名前がなかったものと推測される。
※4: デモリッシャー
神谷・幸一(PC3)の英名コードネーム。
Dracheは原則、相手の事を英名コードネームで呼称する(解っている場合)。

シーン3


夜半過ぎ、天月市の若年UGNイリーガルの集団「やせいのおうこく」の長を務める西九条・七海(にしくじょう・ななみ/PC4)の元に一本の電話が入る。
相手は同集団の構成員である佐原・曜子
取り乱した様子で電話をしてきた彼女に何があったのかと問う。
曰く、大変なものを見たかもしれない、との事。

曜子「……七海。”暗躍者”って、覚えてるよね」

座りながら電話をしていた七海は、椅子を引っくり返さんばかりの勢いで立ち上がると驚愕の声を上げる。
「暗躍者」とは嘗て、七海たちがUGNからの依頼を請け、追い詰めた相手だった。
しかしながら、その時は逃亡を許してしまっていた。

曜子は更に続けて、遠目にみただけだが、と付け加え、件の人物が数人のエージェントと思わしき人間と連れ立っていたという。

曜子「具体的に何をしていたかは、ごめんね、ちょっとわからなかった。あんまり近づいたら、気付かれてしまいそうで……」
七海「ううん、十分だよ。何だか……また何か企んでる様子だね。今日はもう遅いし、明日から洗ってみようと思うよ」

今度こそ、彼の者の企みを止めようと決意する二人。
曜子は七海に無理はしないでね、と言ったが、七海はそんな言をスルーするかのように、
嘗て対峙した時の記録を漁るため資料を引っ張り出すのだった。

尚、この後、七海が寝落ちてしまったのは言うまでもない(※5)。


※5: 言うまでもない
更に翌朝、アラームでびくっとしながら目覚めるであろう事が述べられた。

シーン4


早朝、UGNの天月市支部。
朝から情報収集活動に余念がない神谷・幸一(かみや・こういち/PC3)の元に一本のビデオ通話が入った。
相手はUGNの日本の元締めである霧谷・雄吾
ディスプレイを確認し電話を取る幸一。すかさず冗句を飛ばす。
それに、発信先を間違えたと思って切る所でしたよ、といつも通りの調子で冗句を飛ばす霧谷。
その様なやり取りを終えた後。

霧谷『あなたの支部で、緊急に対応して頂きたい案件があるのです』

概要はこうだ。
天月市内でオーヴァードによるものと思われる事件が発生、どうやらFHのエージェントが噛んでいる模様。
被害者となったのは近隣都市のUGNエージェント三名。目立った外傷はなく、低体温症による死亡と推定。
個人的な事情が含まれる為、事件が大事に発展する前に至急対応したい。

幸一「あー……アレか。他の支部に知られる方が不味いパターンか」
霧谷『君は察しが早くて、本当に助かりますよ』

宜しくお願いしますね、と霧谷は続け、幸一は2,3情報を問うと電話を置く。
続け様に電話を掛ける。相手は彼の部下である四十九院・玲(つるしいん・れい/PC5)。
寝起きを叩き起こされた挙句に逆撫でするような発言に一旦は電話を切られたものの、
急を要する案件である事を伝え、支部へ出頭して貰う事となった。

更に幸一は他のイリーガルにも連絡を取るのであった。

→→→ミドルフェイズへ続く