パラキパ回想記


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The Golden Lore「パラキパ回想記」より
「アバンダンド、プリーズド、ブレインウォッシュド、ファイアド」 #1 - Abandoned, Pleased, Brainwashed, Fired -


黄金暦211年 4月  (運勢:100 情熱:1000)
+はじめての冒険
難しい仕事じゃない。素人でもやれるはずだ

長年の仕事でくたびれたのであろう、垢で白んだ洗い場に立ちながら、
その男は、こちらに目をくれることもなく言い放った。
ぞんざいな態度を隠そうともしない横顔が、掃いて捨てるほどいる駆け出し冒険者の価値を正鵠を射るように物語る。

 ―――――

ヴヂウッ!
ネズミを囲んで叩き伏せるのは、今日で2度目の出来事。
ところどころに群れをなす、肥えたネズミは非常に攻撃的だが愚かでもあった。
私がランタンの火種を枯れ木に分け与えると、若者たちはそれを手に取りネズミを追い立て、
叩き、斬り、あるいは焼き……いずれにせよ最後には惨たらしく殺してゆく。
まるで己が運命に選ばれた超人であるかのような錯覚が、たぎる戦意を後押ししているようだった。

若者たちは岩窟の中で高らかな声を響かせながら歩いているようで、
しかし私にはその内容が聞き取れなかった。
私は岩窟にいながら天に、地に、深く耳を澄ませていた。

岩窟の外。木々の木擦れに息遣いを感じる。
岩窟の中ほど。私の手の中でランタンの灯火が揺れる。
そして岩窟の最奥……岩の鳴る音を糸巻きのように手繰り寄せていると、突如音の糸がほつれた。
異様に思わず眉をひそめ、周囲を確かめると――それは一見して小男のような――異形の鬼が足音高く、迫ってきていた。

こちらへ猪突のごとく飛び込んだ鬼が、みにくく歪んだ刃を振りかざす。私はこれをブレーサーで受け止める。
斬撃は防げども、刃の打突が衝撃を伝える。腕が震える。
防具として機能不十分! 今の衝撃が棍棒……金属塊によるものであったならば、
この片腕はとうに大衆料理の下ごしらえめいて無様な可食化挽肉となっていたことだろう。
鬼に背を向けて岩窟を逆送し、おそらく同様に不足な防備であったろう若い男の影に隠れる。
ヤッサーラー!」「ワーアアアアアー!
勇猛果敢か向こう見ずか、およそ屈強とは言いがたい体躯の若者達が、口々に咆えながら剣を交えはじめた。

手をこまねいて、あなぐらが死臭に満ちるのを待つ余裕はない。私も加わらなくては。私みずからの妙法にて。
経絡を呼び覚ませ。呼気を整えよ。
ヒトならざる者に向けて『占い』を試みるのは初めてのことだったが、間違いなく占いが果たされる事を確信していた。
そして――

――見えた。
Pyromancy.

眼前での乱闘……その先になおも深く伸びる洞穴めがけて炎を投げかけると、
炎に誘われるかのように、洞窟の入り口から激しい追い風が吹き荒れる。
若者らは突風にたじろぎながらも、なおも燃え盛る炎に向けて鬼を押し込む!「イヤーッ!
火炎の舌が鬼を包み、見る間にその身を浄化してゆく!「グワーッ!
イヤーッ!」火炎舌!「グワーッ!」「イヤーッ!」火炎舌!「グワーッ!」「イヤーッ!」火炎舌!「グワーッ!」「イヤーッ!」火炎舌!「グワーッ!
炎の中に、死相が浮かんでは消えてゆく様を感じる。これが冒険者としての、初めての『占い』となった。

使い古した油で焼いたような異質な臭いをはなつクズ肉の向こうに、その小部屋はあった。
ヤッター!」「お宝バンザイ!」「こんなに楽な生業は他にないですね!
財宝と呼ぶにはあまりに寂しい金属類をつかみ上げ、嬉々として喜ぶ若者を……
おそらくは自嘲的に眺めていたように思う。

私も、よろこばなくてはならない。
しなびた宝をこの手につかむことを。
明日もこの煉獄を生きられることを。



黄金暦211年 5月  (運勢:1 情熱:1000)
+人型の怪物討伐依頼
生ける屍だって、おかしいねェ! だって屍って死体でしょ?」「死体じゃないかもよ」「ナンデ?」「死体かもしれない」「ナンデ?
若い男女がカラカラと笑い合いながら先頭を歩いている。
話のセンスについていけず、先頭集団から5,6歩引いて追従する形をとっていた。
先日の仕事と同じくさしたる脅威もない仕事とのことで、
また若者ばかりの中に放り込まれることを覚悟していたものの
私と同じか……あるいはそれ以上に年老いたであろう粗野な偉丈夫が混じっていることに驚かされた。

 ―――――

さて。
星の巡りが悪いことに気づいたのは、遺跡までの旅路でのこと。
穏当に旅程を引き伸ばす手立ても思い浮かばず、旅程どおり実に順調に、目的の遺跡まで辿り着いてしまった。

石造りの古びた遺跡に、呪術めいた超自然によって生きながらえる生なき命がたむろする。
最後に磨かれた日も窺い知れぬような、ひび割れた岩盤に覆われた遺跡が炎の延びを妨げるばかりか、
尽きた命の持ち主からは死相のあらわれも読み取れない。

振りかぶるようにして叩き付けられる大振りの爪。
どけ!
咄嗟にブレーサーを構えたが、それはこちらに届くことなく千切れて落ちた。
声の主――老いさらばえた偉丈夫が、
片腕を喪失したばかりの生ける亡骸から私をさえぎるようにして立ちはだかる。
……いけない、明らかに集中力を欠いている。

長い戦い……というよりも、永い戦いに私は疲弊しきっていた。
これほど肉体を酷使するのは久方ぶりだった。
無数に群がる亡者、亡者、亡者。
ひとたび傷を作ったが最後、血気はやる若者の合間を縫ってまで執拗に血の色めがけて集まる姿さえ
深き川で血をすする魚群を思わせてひどく不快感をもよおさせた。

すべてが終わるも……
……所詮は意思なき命の残滓。
結局遺跡にはびこる亡者をみなまで浄化し終えるまでに、めぼしい宝を見つけることもなかった。
出るは紅血ばかりなり、調子も出ねば褒美も出ない。
やはり、星の巡りが悪かった。

 ―――――

依頼の完了を報告し、風味の貧しい酒に浸って店を出ると、
店の脇に、見るからに急ごしらえの棺が並んでいるのが目に留まった。
いずれも中はうかがえないが、どうやら空室ではなさそうだった。
浄化し終えたばかりの『人型の怪物』が脳裏をよぎる。

帽子を目深にかぶった黒ずくめの若い男が、火焼けしたような顔の少年を抱えて目の前を横切ってゆく。
おそらくは、遺体がまたひとつ。
空いた墓地が見つかるまでと置かれているのだろう、
細い通りを申し訳程度に避けて居並ぶ遺骸の姿は酷薄さに満ちた光景だったが、胸中にはさしたる感慨は湧かなかった。

――冒険者の半分はベテランになるまでに死ぬ。
――――もう半分はベテランになってから死ぬ。

地獄の釜には、まだ薪がくべられたばかり。



黄金暦211年 6月  (運勢:17 情熱:981)
+鉱脈捜索依頼
鉛色の空から降り注ぐ雨が、私を宿の中に押し込める。
窓越しに、半日と経たずに雨がやむのを感じたが
私の心は雨の牢獄に鎖で繋がれたように深く暗く沈んでいた。

先月受けた傷は浅くありながら深刻で、不浄の傷が長らく身体を蝕んでいた。
絶えずジクジクと血をにじませ続けていた傷口は先日ようやく塞がったものの
調子を取り戻すには今しばらく時間を要するだろうことを実感していた。
連日の星の動きも、依然としてこの身に暗雲が付きまとう様子を暗示する。

命は投げ捨てるものではない。少なくとも、今は無為に危機にさらす理由がない。
落ち目の調子を整えるためにも、安穏確かな仕事で復調を待ちたい。

『店』で旨を伝えると、いつもの男は眉をひそめて顎を撫で……
情報が少なくて、あまり当てにはならない話だが
と前置き、ほど近い川上の洞窟にまつわる与太話を切り出した。

 ―――――

炎に風を吸い込まれ、息も絶え絶えのままに身体をひくつかせる子鬼の
無防備な首筋に男の刃が差し込まれる。絶滅。

それらを踏み越え、わずかに湿り気の残る袋小路を尺棒で打ち据える。岩の声が返ってくる。
……これで、すべてハズレ。
気だるい疲労感が怒涛のように湧き上がる。
神は都合の良い運命介入者ではなく、褒美も苦難ももたらすことなく万人を等しく見守る存在だというが……
それにしても図ったかのように与えられた辛酸に、仕掛け人の存在をすら疑いかけた。

支払いは成功報酬のみ……鉱脈がなければ店から手ぶらで帰されることは事前に知らされ、承諾もしていた。
だから報酬はなし。
唯一の収入と呼べるものすら、子鬼の懐中に残されていたこの薄汚い被り物ひとつ――
よこせ!
幼さの名残を見せる男が力任せに汚れた被り物を奪い取ると、そのまま数歩退いて切っ先を突きつけてきた。
とんだイディオットだよ、お前らッ! アアッ!」「んだッコラー!?」「非常に不公平な!
数人の男が互いに得物を向け、にらみ合う。
それぞれが怒りの火種をくすぶらせ、己自身をその火で焦がし、向けるべき矛先も定まらぬままに暴れようとしている。

その姿はなんて……そう、なんて稚気にまみれた愚かしさを思わせただろう。
踵を返して洞窟を後にする。
先月は、あまりに長く疲れる戦いを強いられて。
今日は、あまりに短く疲れる戦いを強いられた。

空を仰げば、赤らんだ茜色の夕空にせっかちな星明りが我先にと光を灯し始めている。
まばらに輝く星々を辿ると、やはり我が身の禍患を告げていた。



黄金暦211年 7月  (運勢:91 情熱:948)
+ゴブリン討伐依頼
燭台の上で炎が揺れる。 粗悪な蝋が灯火を明滅させている。
うわずったように揺れる赤熱は、私を見つめる姿見のよう。

長く身体を侵していた不浄の病魔は、ようやくその影を潜めすっかり快癒していた。
一方で、先月はついに一切の益も得ることなく今という日を迎えており、
残された路銀もゆるやかに……しかし確実に底を尽きようとしている。
今度は空手で戻れない。
はした金欲しさに、私はふたたび命をテーブルに置く。

 ―――――

商人たちを悩ませる鬼退治に駆り出される。
金払いは芳しくないが、商隊を狙うようなら光り物を集めているのだろう。
似たような考えをしたか、いかにも物入りといった風体の者が集まり……集まり――
――その中でも一際、悪目立ちする男がそこにいた。

もともと汚れた身なりの者も少なくない仕事ではあるが、
布をかぶせたケモノのような姿の男はとりわけ異彩を放っていた。
他の者はさほど気に留めていない様子だが、わずかに異臭も放っていたように思う。
干物のように乾いた髪束を揺らして、どこか幼い言動を取るその男は出会い頭にレミフェンと名乗った。
よくしゃべり、よく笑い、息のかかりそうなほどの距離に身体を寄せてはにかむ姿はほとんど落ち着きのない子供のそれで……
手に持つ穂先のねじれた槍が、申し訳程度に戦意を主張していた。

一見して無垢なそれに見えるレフェミンの立ち居振る舞いに、思わず頬が持ち上がる。
齢はもちろん背丈も顔立ちもまるで違うのに、実の息子を見ているようで。
しかし、大地を踏みしめ突き出される槍は紛れもなく、戦士の放つ射殺す槍で。

誰かに他人の影を重ねるなど、どうしようもなく無礼でおこがましいこと。
炎の中に浮かぶ死相の前で、誰にでもなく詫びを入れ、言葉を炎に溶け込ませる。
赤い揺らぎは、鬼の死骸だけを残して消えていった。

 ―――――

ガラクタの山をかきわけて金品を探し出し、しがない宝を各々の手に分ける。
ガラクタに混じって、いやに小奇麗に紡織を施された帽子が見つかると
誰から言い出すでもなくレミフェンに分配することになった。
帽子を投げ渡すと、もたついた手つきで腕の中にそれを収め、男は……はまた、はにかんだ笑顔を作った。

それは、なあなあの旅路。
生傷を舐めあうように無為でからっぽな虚飾の友情を、フェイクと分かりながら確かめる。

たまには、こうして贋作を手に取るのも悪くないのかもしれない。



黄金暦211年 8月  (運勢:53 情熱:1019)
+狼討伐依頼
狼が近くに巣を作ったので、みなまで殺して欲しい。
最初は鬼で、次は狼。 つくづく火種には困らないところだと思う。
お宝が眠ってるって噂もある
いまいち思いやりに欠ける気休めの言葉も含めて、それはいつも通りの仕事だった。

 ―――――

ウェー……
道中、狼が食い散らかしたのだろうクズ肉の香りが、生暖かい風にのって醜く存在を主張する。
しきりに不快感を訴える女を見かね、換気でもしようと袋小路に炎を灯すと炎が風を誘い込む。
ひとつ誤りがあったとすれば、風が臭気をも乗せて訪れたことだろうか。
飽和しきった肉本来の臭みを受け、大きくえずいて口元を押さえたかと思うと
おそらく朝食だったろう豆粥の成れの果てを撒いた。
殴られた頬は翌日までひどく痛んだ。

すべての狼を浄化し終えて、最後にたずねたその部屋に、クズ肉は転がっていた。
当然のことながら宝などなかったが、手ぶらで帰ることも躊躇われ
肉に寄り添うように転がった機弓を、鼻を押さえて拾い上げる。
黒ずんだ血と黄ばんだ体脂を塗りたくられて、鈍い輝きを放つそれを誰が持ち帰るか……
面倒だが決めねばなるまいと思って振り返ると、皆、かぶりを振ってすばやく後ずさった。

 ―――――

換金し損ねた機弓を抱えていつもの店を出ると
細い通りの小脇に、墓所での深い眠りを待ちわびている棺が並ぶ。
もはや珍しさも感じなくなっていたが、今日はその端に一際大きな棺が転がっていた。
墓石を詰めるものかと疑いたくなるようなその棺は
収まるべき家主に待ちぼうけを食わされたのか、使われていないままのようだった。
棺は家主に嫌われたのか……あるいは、家主の恋人が連れ去りでもしたか。

戦士は皆、勝利が悲しみを癒してくれると信じている。
みずからが矢を受けて、馬上から転げ落ちるその瞬間までは。
誰かに愛されているのなら、こんな生業を選んではならないのに。
命のツケを払うのは、残された者たちだというのに。

がらんどうの棺に往時をしのび、乾いて久しい目頭にハンカチをあてる。
通り雨が降り出した。ハンカチが雨粒に濡れた。



黄金暦211年 9月  (運勢:76 情熱:963)
+ゴブリン討伐依頼
朝露に濡れた葉が、光を受けて輝いている。
夜半の雨にぬかるんだ川べりを迂回して、草の根がめぐる丘陵を6人ばかりの列をなして踏みしめる。
雨天を予期した際は旅程の大きな遅延も覚悟していたが、なかなかどうして聞き分けよく従ってもらえたおかげで
さほど余計な疲れの色も見られぬまま、目的地へとたどり着いた。

雨水が流れ込んだのだろう、ところどころに濁った水をたたえた暗がりが出迎える。
ランタンに灯した火が、いつものように探索の始まりを告げる。
先頭の男は、その身を覆う鎧の重厚さによるものか、一際深い足跡を作りながら歩みを進める。
左目に差した墨がよく目立つその男……エースはほどなくして立ち止まり、通路の先を指し示した。
餓えた鬼の群れもとうに見慣れたもの、他の者もそれは同じようで動揺もなく、しかし油断なく身構える。
エースが一振りの刃を握り締めて前に出ると、続くように私を含める5人が並んで杖を突きつけた。

――――"5人"?

目を見開いて顔を見合わせる。 5人の表情が一様にこわばる。
凍りついた一瞬の間に、鐘の音より鈍く短い金属音が響いた。

なんと形容すればいいのだろう。
それはたとえば、命を吹き込まれた岩山のようだった。
鬼の凶器を剣で、籠手で、鎧で押し止めながら、地を踏む足は深く根を差しているかのように頑として退くことを拒む。
抑えもらした鬼が、屈強な山を潜り抜けてこちらに飛び込んできたが
泥を蹴りつけ仕切りなおす。そして着火。
鬼を焚き木に、反撃の狼煙があがった。

 ―――――

頭目と思しき、いっとう華美で醜悪な装飾を施された鬼が炎の中でうめき、息絶える。
これで終わり。大きく息を吐いて呼吸を整える。
確かに主要な討伐対象は事前に知らされた通りのもの。
故に、とんだ食わせ物の依頼だった。

鬼の巣窟の中に突如姿を表した形ある液体。
ゼラチンめいて不可解な柔軟さを持つそれは、しかし強靭な膂力を秘めていた。
金属鎧を歪めて転げるエースをかばうように炎を巡らせ、巡らせ、そして巡らせる。
乾ききったゼラチンがくず折れた後も気が抜けず、部屋に片っ端から炎を灯して回った。
幸いゼラチンはそれきりだった。
すべてが終わった今。余さず放たれた火影が必要十二分に洞穴を暖め、じっとりと気味の悪い汗が肌に張り付いていた。

洞窟を出て周囲の安全を確かめた後、傷を確かめようとに寄り添い腕を取る。
男は気を損ねたのか、視線を外すようにわずかに顔を背ける。痛みと火影の熱気にあてられたのだろう、いたく頬が紅潮していた。
……決して軽い怪我ではないものの、鎧が添え木の役を果たしてくれている。
それ以上は触れずに、防具を着せ直して身を離す。いたずらに刺激しないように。
お互い、怒りや嘆きをぶつけ合う間柄ではない。慰めの応酬もいらない。

 ―――――

街に戻ると、棺に遺品を納める瞬間に出くわした。
悪縁も縁かと思い、立ち会ってみたものの、そこに遺品の持ち主の姿はない。
おそらく、棺の主は冒険者。連れ帰るだけの余力もなかったのだろう。

主人に代わって眠るように横たわる黒ずくめの衣装に、私は妙な既視感を覚えていた。
既視感というよりはどこかで持ち主の顔を見ていたのかもしれない。
言いようのない哀れを感じて、耳飾りをひとつ外して棺にしまう。
渡し守の運賃には足りないだろうか?
いっそ足りないままならば、こちらに帰されてくるかもしれない。

棺の蓋に楔が打たれた。
男どもが抱えて運ぶ棺は、水面に浮かぶ小船のように揺れて遠ざかる。
死者の船出を、立ち尽くして見送った。
船が向こう岸まで渡れるよう、その姿が見えなくなるまで。



黄金暦211年 10月  (運勢:90 情熱:1047)
+ゴブリン討伐依頼
墓が暴かれているのに気づいたのは、月が変わって間もない明け方のこと。
乱暴に、そして執拗に砕かれた墓石からは墓碑銘はおろか墓の主すら窺い知ることができない。
広範にわたって掘り返された土くれが、湿って崩れた板切れや骨片とない交ぜになり
そこに何人が眠っていたかも判然としなくなっていた。

土くれの山のそばに、朝日に輝く粒が転がっている。拾い上げてあらためる。
それは棺にしまったはずの耳飾りだった。

 ―――――

近くの森に鬼が出た。
まだろくに悪さもしていないようだが果樹園への通り道に巣を張り迷惑しているらしい。

……半年ほどの仕事の成果を買われて、新参者の先導を任せられた。
特別手当なし。
裏の畑に観光ガイド? こんな児戯のために冒険稼業に足を踏み入れたわけではない。
体よく雑務を押し付けられたような気分がどうしても抜けなかった。

木々のまばらな薄明るい森の中、開けた場所を道なりに歩く。
…手に馴染まぬ様子の剣を鞘の内でしきりに握りなおし感触を確かめる者、
……いかにも着心地が悪そうに鎧を正す者、
………きょろきょろとせわしなく周囲をうかがいながら荒く鼻息を吐く者、
いずれもいかにも不慣れな風情で緊張した様子を隠さない。
せいぜいこれから長生きしてくれればいいが、そんなものは自分の僥倖を確かにしてから改めて願ってもいいだろう。
まずは手際を見るために、目端に留まった狼の巣穴に火をかけた。

イヤーッ!」「キエーッ!」「ドッソイオラー!
なかなかどうしてスジはいい。
毛皮を焦がしながら暴れる狼を、皆が囲んで叩き伏せていく。
それらが四肢を引くつかせて身動きを取らなくなったところで私は狼を掴みあげ、下アゴを思い切り踏み抜く。アゴがにわかに裂ける。
金属ブレーサーを目元に叩きつけると、中で瞳の色が混濁した。
万に一つでも、息を吹き返して手を煩わされては困る。
街にごく近い場所だからこそ、始末は徹底しておきたかった。

新参者は狼をけしかけたことに対して物言いたそうな様子を見せていたものの、
ケモノの何らかの体液がしたたるブレーサーを見るとそろって押し黙った。
引っ込みがちではこの先あまり得をしないと思うのだけど。

周囲の荒げた息が収まるのを待ちながら、ゆるりと散策にいそしむと
聞いていた通りの場所で、作りかけのずさんな巣を見つけた。
周りを見やれば、みな悲痛なまでに緊張した面持ちで固唾を呑んでいる。
場違いなほど硬く身構える姿をいさめようかと考えるも
あくびを噛み殺すほどリラックスされるよりは上等だろうと思い直し、タイミングを見計らわせる。
合図の炎を投げ入れると、燃える小鬼に皆が殺到した。

……まだ出来上がってもいない巣穴を申し訳程度にあらためる。
当然のことながら中にはガラクタすらろくに転がっていない。
新参者らはひどく悔しがっているが、さして珍しい事ではないことに気づくのはそう先の話でもないだろう。
もっとも、決して慣れていい出来事ではない。
年若い男が情動をもてあまして、焼けた鬼を森の奥深くに蹴り転がす。
その表情は口惜しさを隠しもしていなかったが、不思議と生き生きとしているようにも見えた。

はじめは誰もが輝いているが、そのほとんどが齢を重ねるうちに錆付いてゆく。
絶えず磨いてやらねば、いずれそれは曇ってしまう。

あの『店』は私にこれを磨かせようとでもいうのだろうか。自分の手のひらを眺めて思索する。
……錆付いた手で磨いても、錆がうつるだけだろう。
無垢な原石たちに、よりよい磨き手が現れることを想いながら森を後にした。



黄金暦211年 11月  (運勢:22 情熱:981)
+狼討伐依頼
冬を迎える狼たちが、餌食を求めて村へ降りてきている。
そこかしこの家畜の庭が、連日屠畜場と化して血肉にまみれる。
それはけっして珍しい光景ではない。
だからこそ、珍しい、夢でしか見ないような出来事になって欲しいと願われているのだろう。

狼狩りの季節がやってきた。
多くの農夫が、あるいは商人が、冷厳なる殺戮者を求めてエントリーする。
人里に増える狼に呼応するように、駆除依頼が山となる。
農夫の依頼はその大半が報酬に乏しく、わずかながらより羽振りのいい商人の依頼が率先して解決されていた。

椅子に腰掛け、穏やかな北西の風を受けながら指先を遊ばせる。
歯の表面をぬらぬらと光らせた商人に手を預け、うやうやしく口づけさせる。
例年にも増して、狼が多い。
飽和しきった狼の数……急迫した依頼の数……こと狼退治に限れば、冒険者が依頼を悠々と吟味できるほどの状況になっていた。
今この瞬間の脆くはかない優越感に、かつての栄華がしばし蘇るよう。
狼憎しの意念の砂が、広い広い砂漠をつくる……金貨を得るには砂粒をひとつまみ掬い取るだけ。
私は順風満帆を錯覚していた。
輝く未来が、そう都合よく転がり込むはずがないというのに。

 ―――――

先ほどの狼もやはり弱敵、怪我も疲れもないわ
朽ちて久しい坑道を歩く中、壁の土を撫でながら男がひとりごちる。
確かに駆け出しを返上した身分の者からすれば、人里の獣などさほど脅威も感じない。気を大きくするのも無理はないだろう。
ただ、この日は土の音が不思議と震えていた。私はそれが漠然と……しかしひどく気がかりになっていた。
今思えば、より深く遠くに聞き入ろうと耳を研ぎ澄ませていたのがどれだけ迂闊だったことか。
男たちが獣の通り道を空けながら堆積した廃材を蹴り崩したとき、土が悲鳴をあげた。
いともあっけなく組み木がくず折れる。土砂流!
人の悲鳴もうめきも、土くれがすべて飲み込んだ。

 ―――――

……結論から言えば、生きて、仕事を果たして、街に帰ってきていた。
そう、もろ手を挙げて万々歳の成果に……もろ手を挙げたまま寝床に伏せる。
包帯でキツく締め上げた両脚の削傷がじくじくと痛みを訴える。
廃材も土もすべてかきだした傷口が、開いた隙間を痛みで塞ごうとしているようだった。

無能、慄然、虚偽、浅慮。いずれをとっても命取り。
重々承知していたつもりだったが、他人のそれに同じく気を回せなかった未熟にひどく恥じいった。
良かれ悪しかれ独りではないというごく基本的なところを見落としていたように思う。

出立前まで腰の低かった商人は、この怪我を見るや待っていたとばかりに手のひらを返し
いかにも足元を見るように薬をちらつかせた。 おおかた廃坑の脆さを先んじて知っていたのだろう。
あの顔を思い返すだけで物々しい苛立ちがわきあがる。
苛立ちを向けるべき矛先は私自身のはず。言い聞かせて、まどろみを呼び寄せようと毛布に手を伸ばす。
つとめて静かに寝返りを打った。鞭打つような激痛に悶えた。



黄金暦211年 12月  (運勢:32 情熱:1163)
+狼討伐依頼
いまだ傷跡の残る脚を装飾めかした包帯で覆い隠したまま、『店』でひとりグラスを傾けていた。
相席の向かいから立ち込める泥臭い雄のニオイをかわしながら、
テーブルに立てた水煙タバコの管をくわえて甘ったるい果実の余韻に浸る。

ほどよく弛緩させた思考のなか、先月と変わらず殺到する狼殺し依頼の数々を所在なげに眺めていると突然男に手を握られ覚醒を促された。
なあ、あんた占い師さまだろ、見りゃわかる。 俺を助けてくれ!
握りこむ手は木の幹のようにごつごつとして、ささくれ立っていた。 畑仕事の従事者の手だ。
手を振りほどいて教会の方角を指差すが、かぶりを振って食い下がる。
助けてッて! 3日も粘って誰も依頼を受けてくれないんだよォー……もうなんなんだよ……
男から長い嘆息がもれる。
短い嘆息を返して依頼報酬をたずねると、落ち着かない手つきで鞄から袋を取り出した。

熟しきって落ちた果実のように悲しくしぼんだ小袋……かと思いきや、
その辺のケチな商人の報酬の倍ほどもある、袋の中で肥えに肥えた金貨の山が顔をのぞかせた。
たりねえかもしれねぇが、これで家中かき集めたんだ。 どうか頼むよ占い師さま、どうか!
なるほど、おそらく相場の分からぬ田舎の小金持ちなのだろう。
重苦しく主張する金の音色に、口角がゆるむのを感じる。

水煙タバコを脇にどけ、顎に指をかけて男を引き寄せる。
腰にまわした腕が金貨袋を捕まえる。
――ドン!
けたたましく音を立ててテーブルに座った袋が衆目を集めると、瞬く間にごろつきが群がる。
唖然とした依頼人が我に返ったのは、依頼の参加者が決まった後のことだった。

 ―――――

狼の討伐は既に手が余らぬほどの数をこなしている。
習性を肌で感じているうちに縄張りのつくり、役割、群れを統率する狼の見分け方……いろいろなことが漠然と理解できてきた。
余計な手間をかけるまいと、足跡を探って頭目の狼を仕留める。
……遅めの昼食が街で間に合ってしまうほど、あっけなく終わった。

依頼人が、まるで大恩でも受けたかのように繰り返し頭をもたげる。
あんた家族の、村の恩人だよ! こう、なんていったらいいか……わかんねぇけど、助かったんだッて
両手を握り、腕ごと引き抜かれそうなほど強く上下に振られる。
男を救ったのは巡り巡った因果によるもの、誰が男を救おうと動いたわけでもないというのに。

姿見のように清い光をたたえる貨幣をつまみ上げ、表裏を繰り返し眺めながら、奇妙な不快感を孕んだ胸の内を思索する。
私に人の心は見透かせない。見えぬ水底からは彼らをすくえない。
もしも本来あるべき占い師の姿が、庶民の想う通りの運命の導き手・救人主だとするならば。
私は白鳥を名乗る、翼の色褪せたカラスに過ぎないのだろう。


The Golden Lore「パラキパ回想記」より
「アバンダンド、プリーズド、ブレインウォッシュド、ファイアド」 #1 終わり #2へ続く



The Golden Lore「パラキパ回想記」より
「アバンダンド、プリーズド、ブレインウォッシュド、ファイアド」 #2


黄金暦212年 1月  (運勢:99 情熱:1281)
+狼討伐依頼
テーブル席から行儀悪くはみ出したイスをかきわけ、カウンターに腰掛ける。
昼食時をまわった後の店内は比較的空席が目立っていたが、
かといって落ち着いた様相を呈しているかといえばそうでもなかった。

……おい! 探検の希望だしてたはずだろ! なんだよ討伐依頼って、ちょっと! 殿様商売いいかげんにしろよ!……
薄赤い長髪の女が身を乗り出してカウンター向かい側の男にまくしたてている。
男は長髪の女を意にも介さぬ素振りで、小汚い包みをこちらへ放る。
中の金貨をあらため、いくつかを男に放り返してグラスを催促した。

命の営みに対して年の境が与える影響はさほど大きくない。
年をまたいでも狼の数は一向に減る気配がなかった。
狼を含め、こと討伐依頼に限れば選り好みの余地が大いにあるが
それを望まぬ者たちは、群れなす荒事の中に埋もれた依頼を川底をさらうように探し回っているようだった。

……! 次もこうならこっちにだって考えがあるからな! おぼえとけっ
せわしない足取りで出て行く女をあくびを噛み殺して見送ると、ちょうど窓越しに荷車が横切ろうとしている。
きれいに剃髪した小男が引く荷車からかすかに漏れる炭のニオイは、妙に不快で私をひどく気がかりにさせた。

 ―――――

棺の中で、赤黒い染みのこびりつく布装束に包まれた黄色い肌の男が眠っている。
深く傷ついた頭頂部も泥や体液に汚し固められ、そこにあるのが頭髪か獣の毛かも判然としなくなっていた。
男の寝室に蓋がなされ、永い永い眠りの路につく。私はその様子を始終眺めて見送っていた。

――カランッ
朽木をぶつけたような音が響き、足元の寝床に目を落とす。
荷運びの男が炭の入った袋をひっくり返し、ゴソリゴソリと棺の中に流しこんでいる。
かろうじて痩せさらばえた四肢の破片を連想させる形の炭が、かつて人型をしていた名残を弱々しく主張している。
私にも、そしておそらくこの街の誰にも、炭の知り合いはいなかったことだろう。

生前はエースと呼ばれていたらしい。
名前から顔見知りを疑ったが、状況から身元が判断されただけで確かめる方法はない。
占術師として焼けた人間を山ほど見てきたが、それは異質と呼ぶほかなかった。
骨がない。粉々に崩れた炭に混じって、人間の片鱗めいた形を保った炭がいくつか残っている。
そもそも灰となるでもなくキレイな炭として燃え尽きる状況がまるで想像できない。
仔細は分からない、男を手にかけたモノの力だろうか。

……火遊びにかけては一家言あるつもりだったが、
私は炭の異常性に対し、筋道立てて結論付ける術を持たなかった。
まるでピースの失われたパズルのような、あるべきはずのものが見当たらない不快感に襲われる。
途方もないものに何かを阻まれている感触……触れえざるものに向けて伸ばしかけた手を、思い直して引き留める。
この先は、私が求めるべきではない。

どこだったかも分からぬ炭をとりあげて口付けする。唇が肌色より深く黒ずんだ。
炭の味はどこまでも炭で……これはもはや何者でもないのだろう。
奇妙な違和感を晴らさず秘めたまま、棺を後にする。
沈む夕日が、薄雲を透いてなお明るい光をにじませていた。



黄金暦212年 2月  (運勢:99 情熱:1175)



黄金暦212年 3月  (運勢:37 情熱:1265)



黄金暦212年 4月  (運勢:90 情熱:1379)



黄金暦212年 5月  (運勢:49 情熱:1436)



黄金暦212年 6月  (運勢:5 情熱:1225)



黄金暦212年 7月  (運勢:82 情熱:1234)
+狼討伐依頼
LOLLIPOP LOLLIPOP oh lolli lolli lolli...
男が呪詛のような祝詞を口ずさみながら微震する刃を押し付ける。ケモノの中で不快な音がくぐもる。

LOLLIPOP... "Pop!"
その唇が泡のような口音を鳴らすと、合わせるように狼の腹が裂け
爆ぜた中身が童話の赤ずきんのように地面に這いでた。

上等な毛皮だけど、レザーフェイスにはできないな
男は刃のうなり声をなだめ、それに代わるように言葉を吐き捨てる。針のような靴底が皮を、肉を、血を踏みしめて、地を穿つ。

華奢な体躯の男は、炎のように波打つ刃を無慈悲に振るう。
振るわれる刃が絶えず歌を紡いでゆくと、洞窟の岩肌がそれに呼応する。
この世の怨嗟をかき集めたかのような醜い歌声はさながら堕落した聖歌隊のようで、聞くに堪えるものではなかった。

強気に歩を進め、獣の首魁を決断的に首級へ落とす。
仕事は終わりだ。


……どれだけ狼を殺して回ったことだろう。
慣れきった仕事を早く、速く、疾くこなすことに執心してはいまいか。
あるいは命を放ち、さらなる艱難辛苦を追うべきか? ゆるりと小銭を積み立てている時間はない。

しばしの沈思黙考……
しかし思索は天啓をもたらさなかった。
問いの答えに果てはなし。言うなれば、問答は環状に巡る街路にも似ている。
我々は問い続けることに疲れたとき、路傍に転がる答えを拾いあげるのだろう。
あるいは……答えに触れることを恐れる限り、道の果てを探して問い続けるのだろう。



黄金暦212年 8月  (運勢:25 情熱:1099)
  • コボルド討伐依頼



黄金暦212年 9月  (運勢:2 情熱:1128)
  • 狼討伐依頼



黄金暦212年 10月  (運勢:84 情熱:897)
  • 狼討伐依頼



黄金暦212年 11月  (運勢:39 情熱:692)
  • 巨大蟻討伐依頼



黄金暦212年 12月  (運勢:48 情熱:846)
  • オーク討伐依頼



黄金暦213年 1月  (運勢:98 情熱:993)
  • 狼討伐依頼



黄金暦213年 2月  (運勢:64 情熱:1055)
  • 狼討伐依頼



黄金暦213年 3月  (運勢:55 情熱:1049)
  • 狼討伐依頼



黄金暦213年 4月  (運勢:12 情熱:1115)
  • ゾンビ討伐依頼



黄金暦213年 5月  (運勢:7 情熱:943)
  • 狼討伐依頼



黄金暦213年 6月  (運勢:37 情熱:790)
  • 狼討伐依頼



黄金暦213年 7月  (運勢:4 情熱:785)
  • 狼討伐依頼



黄金暦213年 8月  (運勢:** 情熱:624)
  • 狼討伐依頼



黄金暦213年 9月  (運勢:17 情熱:846)
  • コボルド討伐依頼



黄金暦213年 10月  (運勢:54 情熱:847)
  • 狼討伐依頼



黄金暦213年 11月  (運勢:81 情熱:872)
  • コボルド討伐依頼



黄金暦213年 12月  (運勢:66 情熱:860)
  • 狼討伐依頼



黄金暦214年 1月  (運勢:** 情熱:1061)
  • 狼討伐依頼



黄金暦214年 2月  (運勢:45 情熱:1051)
  • 狼討伐依頼



黄金暦214年 3月  (運勢:3 情熱:930)
  • 狼討伐依頼



黄金暦214年 4月  (運勢:** 情熱:875)
  • コボルド討伐依頼



黄金暦214年 5月  (運勢:6 情熱:950)
  • 狼討伐依頼



黄金暦214年 6月  (運勢:80 情熱:853)
  • 狼討伐依頼



黄金暦214年 7月  (運勢:10 情熱:764)
  • 狼討伐依頼



黄金暦214年 8月  (運勢:86 情熱:768)
  • 狼討伐依頼



黄金暦214年 9月  (運勢:** 情熱:844)
  • 狼討伐依頼



黄金暦214年 10月  (運勢:** 情熱:755)
  • 狼討伐依頼



黄金暦214年 11月  (運勢:** 情熱:635)
  • 狼討伐依頼



黄金暦214年 12月  (運勢:20 情熱:507)
  • コボルド討伐依頼



黄金暦215年 1月  (運勢:77 情熱:652)
  • 狼討伐依頼



黄金暦215年 2月  (運勢:73 情熱:746)
  • 狼討伐依頼