ヒキニート・シクスリヴス


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年齢 :18歳
性別 :男
出身地 :都会
冒険者になる前の生活 :学生
冒険者になったきっかけ :親に言われて

『義務教育を終えてからもう五年になる。
 俺は食っちゃ寝の平坦だが不安も無い生活を送っていた。
 しかし親がついにキレた。
 家を追い出された今、俺は強く思う』
『働きたくない――と』
『そして225の連中と一緒の冒険を終えた今、また強く思う』
『外見を考えていなくてごめん――と』
『お前の思う俺の姿が俺の姿だ』
『寝巻きも特に考えていない』
『たぶん動きやすくて寝やすい系』

 親の脛をかじれなくなったあと、どこかに就職しようと思ったが特に何のスキルもない。
教育を受けただけあり識字能力はあったので、文盲の庶民に手紙や本を読む仕事(なんつーんだっけ?)を一瞬はじめたが、
生来の社会不適合により無断欠席をしまくり、文章を読み上げるにあたっても面倒くさがって省略しまくる事多々のためクビになる。
 冒険者は楽して大金が手に入る仕事と聞き、武術の心得も野外生活知識もないくせに冒険者になる。
良く食べ、良く眠って生きてきたので背丈は無駄にひょろ長く、ただそれだけが冒険者としての彼のアドバンテージである。


【印象】
イグジット・コフィン――「おお父なる神よ、えーと、なんまいだぶなんまいだぶ、あー、安らかなれ、オンアロリキャソワカ、何だっけ、
 祇園精舎のおらが春、蛙飛び込めレットイットビー?ええい、まあ、とにかく、成仏しとけ!」
ラナン・アッシュ――「腕が立とうがなんだろうが、いや腕節が強いからこそチンピラは怖い。あまり刺激しないようにしよう」
フランコ・マルビン――「やり残したままくたばる馬鹿よりゃよっぽどいいさな」
ルーシー・フェアリ――「あー、いやくそ、勿体ねえ話だな、むすめよ」
ミラベラ・メドゥシアナ――「ったく、いけすかねーカマ野郎だなッ!」
パラキパ・ハリカリ――「黒肌ってのはどっから来たのかね」
ウィリー・フェルナン――「どーも軽薄そーな奴だ」
アルアラカン・ルイ
ダブ・スコア――「おお、バカ野郎、殿って目の前でくたばりやがった。くそったれ、短い付き合いじゃねーぞ、もう。死体は持って帰ってこれんですまねェ。もう腐ってるだろうが、いつかあのクソトカゲをぶっ潰したら、アンタの槍を土に立ててやるよ」
レミフェン・ターナ――「良い奴だった。バカだったが……いや、だから、なんだ?良い奴だったんだよ」※同行経験無し



好感度をひそかに採用しているつもりでしたが誰と何回行ったかもう覚えてません
ルーシー*2で他は一回だったような……。

【方針】
  • 討伐を優先する(ウオオ俺の心中に密かに沸き立つ正義感が討伐をやめられん)
  • 危険であればあるほど良い(こんな気分も久しぶりだな、なんつーか……こう……自分の力を試したい……っていうかさ)
  • 信頼度をとても気にする(まあでも何もわからん化け物に殺されるのは惨めだよなあ)


【冒険日記(昇順)】

<十四ヶ月目>
 杖を拾ったんで、帰りがけ古本屋で『こどもでも出来る!初級マジック講座』という本を買ってきた。
とりあえず金貨を銅貨に変えてしまう手品は使えるようになったが魔法の使い方はどこにも書いていなかった。
どうすりゃいいんだコレ?
まあ暖炉にでもくべっか。

<十三ヶ月目>
 (書けねえ)

<十二ヶ月目>
 (書けねえ)

<十一ヶ月目>
 皮鎧を着ようと思ったのだが、着方がよくわからん。
俺のは、左半身と右半身のパーツをそれぞれ着て、それから鉄鋲で留めるってタイプの奴なんだが、
どうもその留め方がなんだったけかな、思い出せない。
いや、思い出せないというのは正しくなく、もともと知らなかった気がする。
道場で着るってときは、そのたびに他の奴に留めてもらってたんだったわ。

 ルーシー・フェアリってのと一緒の仕事だった。
ルーシーは、ずいぶん前にくたばった連中の為に花を生けてやるなんてしてるような、ナイーブで、珍しいくらいマトモな――それなりに道徳的な――まあそういう奴だ、とまあ俺は思ってたんだが。
 でもまあ、女でしかもまだガキに見えるようなのが冒険者やってんだ。マトモなワケなかったな。
「正義の鉄槌をくらえ!イビルクラッシュ!」じゃないよもう。いやまあでかい声出せば相手はビビるし効果的といえば効果的なんだろうけどさ。
あれは、勇者物語だかのなんかの幻想を払えないまま育ってしまったって類だな。
そういう奴こそ英雄になりうるのかもしれないけど、正直よくまだ生きてるなって感じもある。
 文字もそれなりには読めるみたいだし、前は使用人だかやってたらしいから家事もできるんだろう。
だったら、嫁の貰い手なんかすぐ見つかるだろうにな。
でもまあ、くたばる前に眼を覚ました方がいいぜ、なんてな本人に言ったら機嫌悪くなりそうだ。
やめとこ。

<十ヶ月目>
 早朝から来客があった。
「剣術道場の月賦が五ヶ月分払われてないんですけど」だと。
俺はとっくにやめたつもりでいたし、五ヶ月間一度も行ってない。
 誰が払うか。金出せ出さないの言い合いをしていたら集合時間に遅れそうになった。
せっかく買ったおニューの皮鎧を着るヒマもなく、今回の冒険は寝巻きで行った。

 依頼自体は楽勝だった。ゾンビたちの腐臭が寝巻きに染み付いてヤバいので新しい物を買う必要がありそうだが。
しかし、死体の群の中に奴が居ないか探してしまう。
成仏してやがるんだかどうか自信ねーからな……。

 ……さて。
エース・シュタールガルドが死んだらしい。あいつもザカリオみたいに、相当腕利きに見えたし、体もでかい奴だったが。
もしかすると強い奴から死んでくジンクスでもあるのかな。
だとすると俺なんかは最も長生きできそうだが――いや、べつに喜べねーな。
ハツライ・ミミツキもエースと一緒にくたばったという。ラナンの尻尾も気になってたがアイツの耳はそれ以上に謎だった。
死んじまうなら、言ってくれたらその前に引っ張ってたんだけどな。
レール・レーンっつー、まあ、あんまり見たことは無いんだが、ヒステリックそうな面した女で、奴も死んだ。
占いで死を避ける方法を云々、とか言ってた気がするがアレだな、的中率百パーセントってわけでもなかったつーことかな。
そうだよな、ああいうのはアブない。
根拠の無いものを信じはじめたり、狂ったりしたら、こっちの世界とうまく繋がれなくなって死にやすくなるってのは道理だ。
(いや、この俺の考えもちょっとズレてるんじゃねーか――だけど俺は死んでないぜ!)

 しかし、ハツライやレール・レーンはたしかマジシャンだった。
あの手の奴らには聞きたいことがあったんだが。
つまり、亡霊ってのが何なのかって――どうすれば成仏させられんのかって――魔術師なら少なくとも俺より知ってそうじゃないか?
あれ以来イグジットの亡霊が出たって話は聞かないから、ひょっとするともうアッチへ行ったのかもしれない、とはおもう。
だが、何かの拍子にまたニヤニヤ血まみれで街角に出てくるんじゃないかって気がどうもしてならないのだ。
神学校の牧師はなんつってた?『未練が人を化けさせる』つってた。
幼い息子を残す心配とか、何かへの燃えつきないほどの憎悪とか、そうだな、自分の死の原因が誤解されてるとかも、そうか。
奴の未練ってなんだったろう?解消してやれば成仏するとかしないとか言うが。
あの時亡霊はなんつってたっけ?
『ニコルズ、ニコルズ、マリッチ、マリッチ、ニコルズ、ニコルズ、マリッチ、マリッチ、ミラ』

 ミラ……あー……えー……それはあれか?
ミラベラ。ミラベラ・メドゥシアナ?

 んー……?んん……?
まあまた今度かんがえっか。もう出てこねーかもしれないし、それならそれでいいわけだよ、実際。

<九ヶ月目>
 ああまただ。俺はまた、何があったのか思い出せないでいる。あー何だコレ。
ひょっとして病気か?医者、は、面倒くさいな。まあ良いか。死んでねーし。

<八ヶ月目>
 新しい皮鎧を買うのも面倒だったので、今日の冒険は寝巻きで行った。

 なんかもう特に問題ないな。慎重にやってりゃ、死ぬ事はない。
ハチの巣の駆除程度の仕事だけ選んでりゃいいわけだ。

 がまあ身の程知らんで死ぬ奴は何時だっている。
キー・エルゴは親に言われてこっちの世界に来たつってたな。
バカな親だよなあ、死ぬかもしれん仕事に子供を送り出すなんて。
もしかするとてめえのガキが死ぬのを期待してたのかもしれないかな?
そいつはすっごくアワレな話だけど、もしそうなら、俺だって似たような身の上だ。
悼む資格はあるんじゃねーかな。でも、まあ、違ったら、迷惑な話かな。

 イグジットの亡霊を果して弔えたのかどうか?
やるだけやったつもりだが実際よくわからん。
小さい頃の神学の成績は良かったけど、大学なんて行かずにニートしてたしな俺。亡霊のなんたるかなんて知るか。
今日の所はレミフェンと酒を一杯やったし、まあ、それで寝るとしようか。
 しかしアイツがいなきゃ死んでたかもわからねーな。今度奢ってやろ。
あのお人よしが金出してるの見たことはたくさんあるけど、出されてるの見たことないもんなァ。

<七ヶ月目>
 あーまただ。何だこれ?ぜんぜん思い出せねえ。

<六ヶ月目>
 道場に置いておいた皮鎧はパクられていた。
仕方が無いので今日の冒険は寝巻きで行った。

 フランコ・マルビンという男……というよりは子供、と言ったほうがいいかな。あいつと一緒になった。
見かけたことはあったし、知ってはいたが特に話した事はなかったと思う。
こんな商売するようにも見えない無害そうな見てくれだが、スラム出身だって言うからちょっと身構えてしまった。
ただまあしかし、話してみると見かけ通りのかわいい奴だった。
ということで敬称付けで呼びはしなかった。ナメられちゃいけないからなあ。
奴は俺と同じように剣を使ってるんだが、どうもそのフォームからしてなってない。
俺は親切心で道場で教えてもらったような剣の持ち方を教えてやったが、これでいいんだ、と言って変えようとしない。
頑ななヤローだ。
死んでも知らないぞ、と思ったが実際のところ奴のほうが俺よりよっぽど働いてるんだよな。
俺がその分楽できるから良いんだが、ちょっと釈然としない気分でいる。

 で。今月くたばったのは二人って話だ。
 一人はヤーテ・ラルエヘンって男で、俺はよく知らない。
『15歳(ほんのガキだな、え、クソ?)』であること、元は『薬草売り』だってこと、『なんとなく』で冒険者になったって事以外、俺は知らない。
奴をよく知る人間がどっかで奴の死を知ってやれれば良い、と祈るくらいしか出来ないワケだ。
 もう一人はあいつだ、イ・マ・ニ、の、イグジット・コフィン。奴も帰ってこなかった。
仲良しの弟二人が死んで相当ショックだったろうし、殺されたんだか、死にに行ったんだかはよくわからん。
いずれにしてもいっとう惨めになるのは奴の親だな。(ン、そういや墓守の家の出身らしいが親の話は聞いたことねーな……でも、いるんだろ、多分)
奴も弟二人が死んだ時にさっさと田舎に帰りゃ良かったのに。
イグジットと俺とは一度ではあるが背中を預けあった事もあるわけだから、
故郷までなきがらを運んでやろうかと思ったんだが、死体はまだ見つかっていないらしい。
もしかするとアレだな、奴が帰って来ないのは別に死んだからってわけじゃなくて、
頭のネジがとうとう全部ぶっ飛んで、トチ狂ってアハアハどっか行ったのかもしれない。
それでも野垂れ死ぬって終わりには変わりは無いんだろうが、でもその終わり方は人間として最低だな。
そうじゃないってなら、まあ、まだマシといえばマシ、か。
俺は嫌だけどな。

<五ヶ月目>
 実は俺は一ヶ月前から剣術道場に学んでて、一週間に二回は通ってる……いやそういえば今週は二回ともサボったか?
ってことは計算すると……一週間に一回と二分の一回は通っている。
 俺も死にたくはない。
死ぬのが怖い訳ではない。惨めに死ぬのが、俺は嫌なのだ。
225の連中が死なない月はない。死んだ連中の何人が誰かに覚えられてるんだろうか?
誰の心にも認められないまま死んでしまうのは余りにも惨めだ。(それは冒険者じゃなくたって同じことだが)
俺はまだ死にたくはないのだ。
 ただ皮鎧を剣術道場に置いたまんまなのを忘れていたので、今回の冒険は寝巻きで行った。

 楽勝だった。
 パーティの魔術師が五秒でコボルドのリーダーをぶっ飛ばしてくれ、俺は浮き足立った下っ端コボルドをヤクザキックでボコボコにするだけでよかった。余裕。
 もしかするともう剣術道場には行かなくてもいいんじゃねーか?
基礎は学んだし、今回はヤクザキックで事足りたので実は基礎すら使ってないし。
面倒くさいし来月から行くのやめっか。
これまで死んだ225の連中は運が果てしなく悪かっただけで、冒険者は実はヌルくボロい商売のような気がしてきた。

 ……が、やはり225の連中が死なない月はない。
冒険から帰ってきたら、もう二人が死んでるってことがわかってた。
 くたばった内の一人はザカリオ・ベラスケスという男で、兵士あがりだ。
何回か酒場で同席したくらいで、奴のことを何か知っているわけではないが、
精悍でたくましく、見るからに歴戦してきたって感じの男だった。
ザカリオと一緒になった事のある冒険者の話からもその勇名は聞こえてたし、酒場の親父なんかは『奴は英雄になるかもな』なんつってたくらいだ。
気分の良い奴で、不気味さや怖さみたいなのは全然感じてなかったが、俺は軽く敬うつもりで敬語で呼んでた。
いや正直言うとやっぱちょっと怖かった。あの刀傷の模様が動くんだよなァ笑うと。

 死んだもう一人はマリッチ・コフィンという男で、そう、コフィンだから、イ、マ、ニ、の……三兄弟の次男だ。
兄貴の陰に隠れてオドオドするばっかりでロクに喋らない大男。
そのデカさといったら、オーガとの混血なんじゃねーのかってくらいだった。
ちなみに一度実際にそう言ったら隣にいたイグジットに物凄い剣幕で怒られた。ふだんは冗談が通じない奴でもないんだが。
マリッチは戦いの経験は俺並みに無いんだろうが、体格を考えればザカリオと比べてもよっぽど力は強い奴だったろうと思う。(しかし特に怖くはなかったのでさん付けはしなかった)
そいつも死んだ。
ニコルズが死んだときもあの長男はブチギレてたが、今回のことでまた狂っちまうんじゃねーか?(もちろん元から多少イカレてる節はあるが)
いっとき気違いになるくらいならいいが、まんいち狂死でもしたら眼も当てられない。
そうでなくても最後に残った奴が死ぬときってのは、どうしようもなく惨めなんだから。

 ザカリオとマリッチ。死んだ二人は225の中でも腕利きとか強いって言われていた。
そいつらが死んだのだ。じゃあ、俺や他の連中、特に女だとか子供みたいな奴らはどうなるんだ?
 いや、強さは殆ど関係ないんだ。運が良いかよくないか――きっとそれだけだ。
そして俺は運が良い。良いはずなんだ。

 そういうことを考えて歩いてたら占い師のババァに呼び止められ
「アンタの来月の運勢は22だね。同行者の中で一番低いみたいだ。気をつけなよ」と言われたので、顔に砂を思い切りブチかましてやった。聞いてないんだよ。
俺は運が良い。そう言い聞かせてもう寝る。

<四ヶ月目>
 ん、あれ?あれ?

<三ヶ月目>
 皮鎧の前と後ろを留める鉄鋲がない。買ってくるのもだるいし当日は寝巻きのまま行った。

 今回の依頼は無事、成功に終わった。
が、狼に噛まれた腹がまだ痛む。あの時は今度こそ死ぬかと思った。今回はかすり傷じゃないんだ。
診てもらった奴の話によると、あとほんの少しでも深ければ内臓に届いていたという。
つまり俺は寝巻きを着ていたおかげで助かったのだといえる。全裸じゃなくてよかった。
 いっしょに冒険に行った連中に半ば押し付けられる形でショートボウを受け取ったが、使うつもりはない。
矢束を持っていくのも、撃つたびに矢をいちいち番えるのも面倒くさいからな。

 冒険から帰って、失くした血を補給するためにも飯を食おうと目玉焼き定食を注文したが、一人分も食えなかった。
腹が痛くて食えなかったわけじゃなく、今日は妙にオムライスの売れ行きがよくて卵が品切れらしい。なんだってそんな人気なんだ?
皮がパリパリのオムライスなんて旨くもないだろうに。
あの馬鹿なマスターはオムライスは半熟ふわとろが常識だってことを知らないのだ。

 占い師のババァには「何が幸運96だよ、思いっきり死ぬとこだったじゃねーか」とショートボウを叩きつけてやった。
もうあいつの占いをアテにするつもりはない。

 しかし、酒場じゃ見知った顔を一人見なかった。
もしかすると冒険者をやめたのかもしれない、と気になってソイツの部屋を覗いて見たが、
冒険道具が一式無くなってるだけで他の生活用具はそのまんまだった。
それはつまり、そういうことなんだろう。

(ここからの文章は上からインクでぐちゃぐちゃに塗りつぶされているが、辛うじて読めないこともない)
俺は奴の名前すら知らないし、当然、ヤツがどういう奴なのかって事も俺は知らない。
俺みたく冒険者以外の仕事が出来ないようなクズだったのか?
あるいはでかい事を為し遂げて、命を賭けてでも無価値な賞賛を浴びたいとでも思ってたのか?
魔物を倒す事を天命か何かと勘違いしてる馬鹿だったのか?
死を身近に持たなければ生きた心地のしないような、あるいは変態的な、気違いだったのか?
 先月くたばったアデルやニコルズにはその死を悼む誰かが居た。
奴にはそんな仲間が居たんだろうか?それも俺は知らない。
もし居ないのだとしたら、それはとても惨めで、哀れなことだ。
だけど俺はお前の死を悼むつもりはない。資格が無い。俺は何も知らないから。
すまないとは思うんだ。
俺もあるいは
 寝よう。暇がある時に起きているとロクなことを考えない。
また、金が尽きるまでは寝て暮すことにする。


<二ヶ月目>

 オーク討伐に行く。約束の集合時間に遅れそうで皮鎧を身に着ける時間がなかったので、当日は寝巻きのまま行った。
白い目で見られたが別に気にしない。先月みたいにあからさまに不気味な連中もいないから、伸び伸びと寄生できるってものだ。
 ……そんで。
 目の前で人が死んだ。俺と同年齢くらいの若い男だった。奴の形見を持って帰る余裕は無かった。
ブタ野郎の棍棒で脳天をぐしゃりやられてアイツの目玉がぐにゃって飛び出てた。
 依頼は失敗に終わったし、だから報酬は得られなかったけど、命があっただけ儲けものか。

 憔悴したまま宿に帰ってみると、あのイカレ疑惑のある男、イグジットがどうもそわそわした様子をしている。
奴と他の冒険者が会話してるのを盗み聞くと、どうやら弟の一人が帰ってこないらしい。
 そりゃ、死んだな、と思った。慰めの言葉をかけてやろうかと思ったが、何かこえーからやめとくか。
他の連中の話も聞くと、225の連中で死んじまった奴は、奴のの他にも何人もいるという。
 明日はわが身かもしれないと思うと身体が竦む。

 正直言って、もう冒険者やめたい。やめたいんだが、俺にそもそも他の職になれるだけのスキルなんざ何も無い。
報酬はなかったが、洞窟でちょろまかしてきた財宝だけでも倹約すれば一ヶ月は持つ。
つまり一ヶ月は寝ながら過ごせるというわけだ。これは大きい。
 死ぬのは怖い。怖いが、真っ当にシャバで働くくらいだったら死んだほうがマシじゃないか?
働いたら負けだ。俺は負けたくない。
 恐怖を決意と火酒で振り払って今日はもう寝ることにする。

 占い師のババァが言うには「良く生き延びたね。アンタの来月の運勢は96だよ。よかったね」ということだ。
これだけ運が良けりゃ、次回の冒険じゃ誰も俺の目の前で死んでくれないよな?
あんな光景見たら、夕飯のスープも三杯しか喉を通りゃしない。
 それにしても225の連中とはまた一緒にはなれないらしい。
俺が死ぬか、あいつらが全滅するまで、二度と一緒に冒険できないんじゃないか、これは?
だとすると日記を書く意味も殆どねえな……。まあいいや。寝よ。


<一ヶ月目(初回)>

 ゴブリン退治に行くという冒険者連中にコバンザメのように着いていくことにした。
皮鎧を身に着けるのは面倒臭かったので、当日は寝巻きのまま行った。

 イグジット・コフィンラナン・アッシュといった男たちと一緒になる。
あいつら何であんな格好してんだ?特にイグジットはクソゴツい斧持ってるし不気味きわまりない。顔も怖い。
正直ビビッたので、「よよよヨろっよろしくおねがいします!?」とドモった挨拶をしてしまった。
もしかすると舐められたかもしれない。

 戦闘においては、仲間全員が攻撃を終えた後にひっそりと弱った相手をなぐり、しかもとどめが刺せないという事が繰り返された。
役立たずに近い働きだったが、これも五年間のニート生活によって培った俺の他人頼みの哲学によるものだ。本当は敏捷と筋力が低いだけだ。
また、ラナンの尻尾を引っ張りたい衝動との戦いでもあったが、キレられたら殺されそうなのでやめておいた。
ラナンは街のごろつきあがりだという。
チンピラは怖い。学生時代、カツアゲに遭いそうになって財布をゴロツキの顔にぶん投げて逃げた思い出がある。
怖いからこれからラナンのことはさん付けで呼ぼうと思う。気分を害さないように努めたい。(しかしあの尻尾が気になる)

 ゴブリンに殴られた時は人生の走馬灯が見えた。授業中に寝る俺、飯を食う俺、布団で爆睡する俺……。
あの時は死ぬかと思ったが、あとで傷を見てみたらかすり傷だった。
「イテェー!イテェよー!死んじまうよー!」と叫んだような記憶もある。
もしかすると舐められたかもしれない。

 そういえば戦いを終えたあと、イグジットがゴブリンの死体を見ながら
「人間じゃないとだめ」みたいな呟きしていたような気がしたがあれは幻聴だろうか?
しかし幻聴じゃないとしたら、「人間だったら」どうなんだ?
これ以上考えるのはちょっと不気味だ。幻聴ということにしておこう。
ただ、怖いからこれからイグジットのことはさん付けで呼ぼうと思う。気分を害さないように努めたい。

 ゴブリンが隠していた宝箱の中にそれなりに価値のありそうな護符があったので、パーティメンバーの眼を盗んでこっそりちょろまかした。
働かずに得る報酬は気分が良く、働かずに飲む酒は旨い。打ち上げの席で良い感じに酔ったので今日はもう寝る。
 次の冒険も負んぶに抱っこで成功させたい。

 占い師に「来月の運勢は4だね。あんた死ぬわよ」と言われたことが不安だ。
しかも次回の冒険の仲間は全員名誉欲と正義感が過剰だ。本当に死ぬかもしれない。