ドイツ語入門
分離動詞
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マトリクスが好きである。膨大な量に思えるデータを、適当な切り口を2つ、あるいは複数用意してマトリクスに整理してみることで何かがはっきり見えてくることは多い。なんとか手抜きして物事を覚えられないか、あるいは規則を見出すことによって「覚えることを省略できないものか?」と考えるたちである。欧州言語マトリクスも、その昔(中学校の頃)「ラテン語を覚えればラテン(ロマンス)系諸語はマスターしたも同然」と考えたことがそのベースである。 大学のドイツ語授業で分離動詞なる概念が出てきたとき、多くのクラス仲間は「なんじゃ、この奇妙な動詞は!」ととまどいを隠せなかったのだが、ここでまた「さぼりのマトリクス」がひらめいた。要は「前置詞」と「基本動詞」の組み合わせだ。おのおのの概念を抽象化してマトリクスに並べれば、習ったことのない分離動詞も意味が類推できるのではなかろうか?...と。 文章の中でくっついたり離れたり、場所がとんでもないところに移動したりする分離動詞は最初は悩ましいものだけど、付加語をつけて動詞の意味を拡げるというのは英語でもよくあることである。「食べる」は eat だが、eat up と up を付加することによって「平らげる・残さず食べきる」というニュアンスがでる。check up, brush up, tune up 等は up を加えることによって、「調べ上げる、磨き上げる、ベストに調整する」という感じが出ている。up は up, down の感覚から「上へ」というのもあるが、この場合のニュアンスを抽象化すれば「完・了」という漢字になるだろうか。そういう漢字で表される「やった!」「潔さ」みたいな感じが伝わってくる。 意味を抽象化するには、表意文字としての「漢字」がいいのではないかと考えた。言葉でごちゃごちゃと意味を説明するより、少ない文字でそのニュアンスを表現できる。なにより長々と説明すると言うことは、逆に意味を限定してしまう。文字の中に意味の宇宙を凝縮した「漢字」の方が応用が利くと思った。ただ当時、学生の頃は漢字・日本語が扱えるコンピュータが無かった。とりあえずフォートランという言語でマトリクスだけは膨大なものを作った。機械的に単語を生成して紙に吐き出すだけだから、コンピュータにとっては気楽な作業である。 が、ここでふとやばいことに気がついた。言葉は生き物だから、元の意味からどんどん派生する。vor +stellen が「前に+置く」という意味にとどまっていれば大成功なのだが「紹介する・想像する」なんて意味になるのだから始末が悪い。それに、理論的?にはあらゆる組み合わせがあり得ても、実際には無い単語も有りそうだった。ひととおり辞書を引いてみて確かめなければ...だが、その膨大なアウトプットを眺めてみて辞書を引くのが億劫になった。そもそもそれを省略しようとしたのがコトの始まりだったのに...。そこで作業は挫折した。 最近、そんな昔を思い出して、お試しに軽いものを作ってみた。スペースの問題で基本動詞も僅かしか掲載出来ていない。漢字に「帰納」「抽象化」したニュアンスも自分の感性であって、本当かどうかは自信はない。また、やはり個別の意味の和訳というのは限界があることを改めて感じる。いろいろな局面で使われる「和訳」には「演繹」としての様々なバリエーション・表現があり得るのでスペースが足りない。中途半端な和訳例はミスリードの元かも知れない。 みなさんはこれを眺めて何を感じられるだろうか? |
geben | gehen | fahren | nehmen | sehen | stellen | ziehen | ||
与 | (歩)行 | (乗)行 | 取・把・使 | 見・観・視 | 置・据・立 | 引・牽 | ||
ab | 離・去 | ab|geben | ab|gehen | ab|fahren | ab|nehmen | an|sehen | ab|stellen | ab|ziehen |
an | 接・対 | an|geben | an|gehen | an|fahren | an|nehmen | ab|sehen | an|stellen | an|ziehen |
auf | 上・昇・緩 | auf|geben | auf|gehen | auf|fahren | auf|nehmen | auf|sehen | auf|stellen | auf|ziehen |
aus | 外・出 | aus|geben | aus|gehen | aus|fahren | aus|nehmen | aus|sehen | aus|stellen | aus|ziehen |
bei | 傍 | bei|geben | bei|gehen | bei|fahren | bei|nehmen | bei|sehen | bei|stellen | bei|ziehen |
ein | 内・入 | ein|geben | ein|gehen | ein|fahren | ein|nehmen | ein|sehen | ein|stellen | ein|ziehen |
mit | 共 | mit|geben | mit|gehen | mit|fahren | mit|nehmen | mit|sehen | mit|stellen | mit|ziehen |
nach | 後・追 | nach|geben | nach|gehen | nach|fahren | nach|nehmen | nach|sehen | nach|stellen | nach|ziehen |
vor | 前・先 | vor|geben | vor|gehen | vor|fahren | vor|nehmen | vor|sehen | vor|stellen | vor|ziehen |
weg | 除・奪 | weg|geben | weg|gehen | weg|fahren | weg|nehmen | weg|sehen | weg|stellen | weg|ziehen |
zu | 向・加・緊 | zu|geben | zu|gehen | zu|fahren | zu|nehmen | zu|sehen | zu|stellen | zu|ziehen |
geben | gehen | fahren | nehmen | sehen | stellen | ziehen | ||
与 | (歩)行 | (乗)行 | 取・把・使 | 見・観・視 | 置・据・立 | 引・牽 | ||
ab | 離・去 | 引き渡す | 立ち去る | 発車する | 取り去る | 見て取る | (動作を)止める | 引き去る・脱ぐ |
an | 接・対 | 申し立てる | 立ち向かう | (乗物で)当たる | 受領・受諾・採用する | 眺める・吟味する | よりかける・任用する | 着る・引き寄せる |
auf | 上・昇・緩 | 課する・放棄する | 昇る・開く・高揚する | 激昂する | 加入させる・記録する | 見上げる・注視する | 配置する・立案する | 引き揚げる |
aus | 外・出 | 支給・支出する | 外出・出発点とする | 出ていく | 取り出す・除外する | 様子である | 展示する | 脱がす・抽出する |
bei | 傍 | 添える・添加する | 仕事にかかる | 助手として同乗する | 使用に供する | 援用する | ||
ein | 内・入 | 投与する・入力する | 入り込む・倒産する | 乗入れる・ぶつかる | 徴収する・服用する | 覗く・悟る | しまう・起こる | 進入する・引き込む |
mit | 共 | (去る人に)持たせる | 同行する・惹かれる | 同乗する | 連行する・持ち帰る | 一緒に旅行する | ||
nach | 後・追 | まがる・負ける | 後を追う・追求する | 後を追って走る | 口直し・着払いする | 見送る・確かめる | 調整し直す | 引きずる・締め直す |
vor | 前・先 | 条件を設定する | 先行する | 先行する・優先する | 企てる | 計画する・用心する | 進ませる・紹介する | 前へ出す・優先させる |
weg | 除・奪 | 手放す・分配する | 辞去する | 走り去る | 取り去る・片づける | 目をそらす | 引いて取り払う | |
zu | 向・加・緊 | おまけでつける | 歩み寄る | (向かって)行く | 強まる・増える | 眺める | ふさぐ・送り届ける | 引いて閉める |