瀟洒なメイドは散弾銃がお好き・初日

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――とあるメイドの手記 シェルター内に備え付けてあった周辺地図を手に取り、外に出ました。 #image(cata1.png) 北には私が脱出したお屋敷がある街、西の外れには件の研究所、南や東は河となっています。 まずは獲物……出来れば散弾銃が良いのですが、生憎今の私にはそんな贅沢は言えませんし、仮に散弾銃を手に入れても仕舞えません。 弾丸も大量に持ち歩けば嵩むでしょうし……まずは道具を入れておける鞄を探すのが先決と判断しました。 まずは武器になりそうな物として、目を付けたのがロッカー。 徐に私はそのロッカーを自身が出せる精一杯の力で殴り、蹴り、倒して激しく揺らす事数回。 壊れてバラバラになったロッカーの残骸から鉄のパイプを手にとって数回振り回してみますが、正直な所頼もしいとは思えませんが シェルターの外に出て落ちていた野球ボール大の石でパイプの先を潰し、簡単なバールに加工してみました。 さて、シェルターを出て少々北上した所に一件寂しく建っている民家を発見しました。 ドアや窓に鍵が掛かっていたならば、少々気は引けますがこじ開けようと思っていましたが、この家の主はすぐに脱出したのか 庭側の扉が空いていたので、極めて少々の罪悪感を胸にお邪魔しました。 部屋の中はかなり散らかっていましたがゴーバッグがあったので中身の一部を拝借、もしやこの家の主は退役軍人だったのでしょうか? 本格的なダッフルバッグや電池等を拝借したおかげで、道具の運搬問題は概ね解決しました。 さて、今度は北東にある住宅を目指して歩き、少々気が引けますが窓をこじ開けてお邪魔しました。 失礼ながら目立った物はありませんでしたが、地下室には家主の趣味と思わしき弾丸や改造部品等が大量に保管されていました。 そこで近接戦用のコンバットナイフ等を頂戴しましたが、家主がお嫌いなのかハンドガンやライフル銃ばかりで散弾銃は保管されておりませんでした。 #image(cata2.png) とは言え弾薬と改造部品を手に入れた事で、散弾銃の入手が楽しみになると言う物。 銃火器専門店がある事を祈りながら住宅から出た私の目に飛び込んで来たのは……信じ難い現実でした。 土気色の肌、長く伸びた歯や爪……ボロ布と化した服を身に纏った人型のソレ、生気をまるで感じさせない、しかしながら唸りながら歩むソレ。 ――ゾンビ。 何故、どうして? フィクションの中でしか知り得なかった存在が、今私の視界に入っている。 嗚呼、この街……いいえ、この世界は一体どうなってしまったのでしょうか、その状況を嘆く暇は私には与えられていません。 幸いにも私には気が付いていない様子らしく、私は建物の影に身を潜めながら北上しました。 北西に歩いてみましたが、存在したのは寂しく建つ大聖堂とオフィスビル、来た道を少々引き返して東へ向かえば川岸に建てられたホテル。 平時であれば多くの人が訪れる有名なホテルですが、今やこの状況……多少近付いただけで大量のゾンビが私を目指して向かってきます! しかし幸いにも足はあまり早くは無く、私も足には多少の自信があります。 ナイフ1本では心許ないと判断し、私はそのホテルを南下するように走り去り、そのまま東にある隣町を目指しました。 橋の上にはガソリン切れの乗用車が放置されており、橋下ではゾンビが何匹か川に流されていました。 #image(cata3.png) 見つけた銃火器専門店、小規模ながら私の一縷の望み。そしてついに見つけました、ショットガン(モスバーグM500)。 ズシリと来る、しかし頼もしいそれを頬ずりしてようやく私は一息付けました、これさえあればもう何も怖く無い。 猟用と思わしき2連装式散弾銃や威力が僅かに高いレミントン870の選択肢も存在しましたが、私はこちらの方がデザイン的に好きです。 唸り声を上げながら私に向かってくるゾンビ、そこへ散弾銃を打ち込むあの快楽……はしたなく思いますが私の性分、所謂トリガーハッピーです。 無数の鉛球が皮膚を突き破り、一際唸り声を上げて倒れて動かなくなるゾンビ、空になった薬莢を排莢し、地面を転がるあの音……全てが堪りません。 恍惚のため息を吐き出してからリロードしている途中、地面を僅かに引っ掻く音が聞こえました。 音の出処は先ほど倒したゾンビ、これでは本格的な映画か何かの世界、倒しても倒してもキリが無いと判断した私は、そのゾンビの元へ歩み寄り、手にしたコンバットナイフで……ゾンビを捌き出します。 蕩けた皮膚から漂う悪臭に辟易しながらも、丁寧に四肢を切断して復活しようが無い状態にしておきます。 その途中、いくつか肉が取れたのですがとてもじゃありませんが食べようなんて気にはなれません、腐っているのを分かってて食べる程追い詰められても愚かでもありません。 その後、目ぼしい店舗の陳列棚から食料品や薬を拝借している途中、明らかに通常とは違うゾンビに遭遇しました。 腹部が異常な程膨れ上がった男性のゾンビが特徴的な噯(おくび)、擬声語で言えばゲップをしており、ただ単に太っている訳では無いとの予感がしました。 しかし動きも遅そうですし、無視して立ち去ろうとした瞬間、強烈な悪臭を放つ液体を遠方から掛けられました! 幸いにも殺傷性は無いようですが、その液体の匂いに釣られたのか四方から大量のゾンビが私を目指して向かってきました! どうやらこの液体にはゾンビを引き寄せる匂いを放っていると推測、しかも意外と粘性がある為眼鏡のレンズに付着して前が見えない状態です。 音で判断して足音が少ない方向へ走りながら液体が取れるのを待ち、前が見える状態になったと同時に押し寄せるゾンビ達にありったけの弾丸を撃ち込みました。 途中、放電するゾンビに多少感電させられて動きが鈍った所を数カ所噛まれましたが、大した怪我も無くこの場を切り抜ける事に成功しました。 時刻はPM11:00を少々回った辺りで小雨ですが雨が降ってきました。しかしこの雨、触れると触れると非常に熱くてヒリヒリと痛みます。 まだ小雨なので我慢出来る痛みで済むものの、これが本格的な雨に変わったらどうなってしまうのか……想像するだけで恐ろしくなった私は近場の住宅に潜り込み、 時間潰しがてら懐中電灯の明かりを頼りに拾い集めた本を読み過ごしました。 ……とかく、一日の間にいろんな事が起こりました、同僚やお坊ちゃんの手がかりも掴めていません。 助けは……あまり期待しないでおきましょう、明日もまた生き延びる事が出来る事を願いながら、一日目の手記を書き終えます――
――とあるメイドの手記 シェルター内に備え付けてあった周辺地図を手に取り、外に出ました。 #image(cata1.png) 北には私が脱出したお屋敷がある街、西の外れには件の研究所、南や東は河となっています。 まずは獲物……出来れば散弾銃が良いのですが、生憎今の私にはそんな贅沢は言えませんし、仮に散弾銃を手に入れても仕舞えません。 弾丸も大量に持ち歩けば嵩むでしょうし……まずは道具を入れておける鞄を探すのが先決と判断しました。 まずは武器になりそうな物として、目を付けたのがロッカー。 徐に私はそのロッカーを自身が出せる精一杯の力で殴り、蹴り、倒して激しく揺らす事数回。 壊れてバラバラになったロッカーの残骸から鉄のパイプを手にとって数回振り回してみますが、正直な所頼もしいとは思えませんが シェルターの外に出て落ちていた野球ボール大の石でパイプの先を潰し、簡単なバールに加工してみました。 さて、シェルターを出て少々北上した所に一件寂しく建っている民家を発見しました。 ドアや窓に鍵が掛かっていたならば、少々気は引けますがこじ開けようと思っていましたが、この家の主はすぐに脱出したのか 庭側の扉が空いていたので、極めて少々の罪悪感を胸にお邪魔しました。 部屋の中はかなり散らかっていましたがゴーバッグがあったので中身の一部を拝借、もしやこの家の主は退役軍人だったのでしょうか? 本格的なダッフルバッグや電池等を拝借したおかげで、道具の運搬問題は概ね解決しました。 さて、今度は北東にある住宅を目指して歩き、少々気が引けますが窓をこじ開けてお邪魔しました。 失礼ながら目立った物はありませんでしたが、地下室には家主の趣味と思わしき弾丸や改造部品等が大量に保管されていました。 そこで近接戦用のコンバットナイフ等を頂戴しましたが、家主がお嫌いなのかハンドガンやライフル銃ばかりで散弾銃は保管されておりませんでした。 #image(cata2.png) とは言え弾薬と改造部品を手に入れた事で、散弾銃の入手が楽しみになると言う物。 銃火器専門店がある事を祈りながら住宅から出た私の目に飛び込んで来たのは……信じ難い現実でした。 土気色の肌、長く伸びた歯や爪……ボロ布と化した服を身に纏った人型のソレ、生気をまるで感じさせない、しかしながら唸りながら歩むソレ。 ――ゾンビ。 何故、どうして? フィクションの中でしか知り得なかった存在が、今私の視界に入っている。 嗚呼、この街……いいえ、この世界は一体どうなってしまったのでしょうか、その状況を嘆く暇は私には与えられていません。 幸いにも私には気が付いていない様子らしく、私は建物の影に身を潜めながら北上しました。 北西に歩いてみましたが、存在したのは寂しく建つ大聖堂とオフィスビル、来た道を少々引き返して東へ向かえば川岸に建てられたホテル。 平時であれば多くの人が訪れる有名なホテルですが、今やこの状況……多少近付いただけで大量のゾンビが私を目指して向かってきます! しかし幸いにも足はあまり早くは無く、私も足には多少の自信があります。 ナイフ1本では心許ないと判断し、私はそのホテルを南下するように走り去り、そのまま東にある隣町を目指しました。 橋の上にはガソリン切れの乗用車が放置されており、橋下ではゾンビが何匹か川に流されていました。 #image(cata3.png) 見つけた銃火器専門店、小規模ながら私の一縷の望み。そしてついに見つけました、ショットガン(モスバーグM500)。 ズシリと来る、しかし頼もしいそれを頬ずりしてようやく私は一息付けました、これさえあればもう何も怖く無い。 猟用と思わしき2連装式散弾銃や威力が僅かに高いレミントン870の選択肢も存在しましたが、私はこちらの方がデザイン的に好きです。 唸り声を上げながら私に向かってくるゾンビ、そこへ散弾銃を打ち込むあの快楽……はしたなく思いますが私の性分、所謂トリガーハッピーです。 無数の鉛球が皮膚を突き破り、一際唸り声を上げて倒れて動かなくなるゾンビ、空になった薬莢を排莢し、地面を転がるあの音……全てが堪りません。 恍惚のため息を吐き出してからリロードしている途中、地面を僅かに引っ掻く音が聞こえました。 音の出処は先ほど倒したゾンビ、これでは本格的な映画か何かの世界、倒しても倒してもキリが無いと判断した私は、そのゾンビの元へ歩み寄り、手にしたコンバットナイフで……ゾンビを捌き出します。 蕩けた皮膚から漂う悪臭に辟易しながらも、丁寧に四肢を切断して復活しようが無い状態にしておきます。 その途中、いくつか肉が取れたのですがとてもじゃありませんが食べようなんて気にはなれません、腐っているのを分かってて食べる程追い詰められても愚かでもありません。 その後、目ぼしい店舗の陳列棚から食料品や薬を拝借している途中、明らかに通常とは違うゾンビに遭遇しました。 腹部が異常な程膨れ上がった男性のゾンビが特徴的な噯(おくび)、擬声語で言えばゲップをしており、ただ単に太っている訳では無いとの予感がしました。 しかし動きも遅そうですし、無視して立ち去ろうとした瞬間、強烈な悪臭を放つ液体を遠方から掛けられました! 幸いにも殺傷性は無いようですが、その液体の匂いに釣られたのか四方から大量のゾンビが私を目指して向かってきました! どうやらこの液体にはゾンビを引き寄せる匂いを放っていると推測、しかも意外と粘性がある為眼鏡のレンズに付着して前が見えない状態です。 音で判断して足音が少ない方向へ走りながら液体が取れるのを待ち、前が見える状態になったと同時に押し寄せるゾンビ達にありったけの弾丸を撃ち込みました。 途中、放電するゾンビに多少感電させられて動きが鈍った所を数カ所噛まれましたが、大した怪我も無くこの場を切り抜ける事に成功しました。 時刻はPM11:00を少々回った辺りで小雨ですが雨が降ってきました。しかしこの雨、触れると触れると非常に熱くてヒリヒリと痛みます。 まだ小雨なので我慢出来る痛みで済むものの、これが本格的な雨に変わったらどうなってしまうのか……想像するだけで恐ろしくなった私は近場の住宅に潜り込み、 時間潰しがてら懐中電灯の明かりを頼りに拾い集めた本を読み過ごしました。 ……とかく、一日の間にいろんな事が起こりました、同僚やお坊ちゃんの手がかりも掴めていません。 助けは……あまり期待しないでおきましょう、明日もまた生き延びる事が出来る事を願いながら、一日目の手記を書き終えます―― -[[瀟洒なメイドは散弾銃がお好き・2~3日目]]

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