アグロ/Aggro



アグロデッキについて。

アグロとは、"効率的なクリーチャーを使ってできるだけ早く相手を殺す"タイプの伝統的なデッキ。クリーチャーによる攻撃を中心とし、複雑なギミックを搭載しておらず、能動的に相手を攻めるデッキ、とも言い換えられる。

アグロデッキは通常、《教区の勇者/Champion of the Parish》や《ジャングル・ライオン/Jungle Lion》の様な、点数で見たマナ・コストが1~2程度のクリーチャーが強力な攻撃ベースを築き上げている。その軽さからクリーチャーのサイズは基本的には小型だが、コストに比してサイズが大きいものも高速展開が可能であれば採用される傾向にある。

このアーキタイプは、カードを低コスト域に集中させることにより、最初の数ターンで大量のクリーチャーを高速で展開することに重きを置いており、その第一の戦略を補完する形でマナ・カーブが用意されている。また、その最初の突撃が鈍った後や弱点克服、早期決着のために3マナ以上のカードを採用し、ゲームを終わらせる手段が用意されている場合もある。

クリーチャーの採用基準としては、点数で見たマナ・コストが2以下でパワーが1~3の防衛を持っていないクリーチャーがひとつの目安とされる。また、アグロデッキは攻撃重視のデッキなので、《サマイトの癒し手/Samite Healer》のようにパワーがコストを下回るクリーチャーはあまり使用されない。

アグロデッキにとって「速さ」はとても重要な要素だ。なぜならば他のデッキは「準備完了」するまで、ある程度ライフを削らせてくれるからだ。それを上手く活用するには1ターン目から動くことが必要不可欠である。

アグロデッキに於いては1ターン目に火力呪文を本体へ撃ち込むよりも、1、2ターン目と続けてクリーチャーを出す方が理想的と言える。それは第4ターン目に飛んで来るであろう《神の怒り/Wrath of God》を考えての行動だ。1マナのクリーチャーは3回、2マナのクリーチャーは2回、3マナのクリーチャーは1回、《神の怒り/Wrath of God》までに攻撃が出来る。4マナのクリーチャーは(速攻を持っていない限り)1度も攻撃に参加することが出来ずに《神の怒り/Wrath of God》に巻き込まれてしまうだろう。

マナコストが重くコントロール要素が強いカードは、対戦相手の手札に眠らせたままにしておくのが賢い方法だ。その為には速度で相手を上回り、最短で勝負を決しなければならない。

1ターン目に必ずと言って良い程1マナクリーチャーをプレイしたいのであれば、デッキに相当数1マナクリーチャーを入れなくてはならない。同じような事が2マナクリーチャーにも言える。クリーチャーの質に関しても、速さに勝るとも劣らないくらい重要な要素だ。

アグロデッキは毎ターン全てのマナを使い切り、効率的にダメージを生み出す最良のシークェンスを行なう事が重要だ。その為には1~2マナ域に偏った、極端なマナカーブになる事がほとんどで、3~4マナ域のカードはほとんど採用されない傾向にある。

アグロデッキは極端にマナを消費しない構成を取っているので、コントロール等の遅いデッキよりも土地の採用枚数を減らすことが出来る。中心となるゲームプランのほとんどは2マナで動かせる為、他のデッキより更に土地を切り詰めることが可能だ。

対して《神の怒り/Wrath of God》を擁するコントロールデッキでは、相当数の土地を採用し、4ターン目までは確実に土地を1枚ずつ置いていき、4ターン目に確実に4マナが出ていない限り、アグロデッキに対して勝つ手段はほとんど無いと言って良いだろう。

マナカーブはどんなデッキにも重要な概念だが、アグロデッキが真に焦点を当てているのは「ダメージ効率」だ。火力はカードに書いてある数字が相手のライフを削ぐが、クリーチャーはそうではない。盤面によって与えられるダメージが変わってくる為、クリーチャーのダメージ効率を評価する事は困難だ。

アグロデッキを扱うに当たり、クリーチャーに迅速かつ効率的なダメージディーラーとして働いてもらうには、デッキを構築した時点で自分がどのようにクリーチャーに仕事をしてもらうかをしっかり思い描けており、また火力をどの程度「除去」として使えるだけ搭載しているのかを把握出来ているかが重要になってくる。

クリーチャーでダメージを与えるという事は、例えばパワー2のクリーチャーで3回「攻撃できたとしたら」その合計値は6になり、2回しか攻撃できなかった場合は4となる。攻撃できずに除去されてしまった場合は0だ。それに比べ、火力の場合は書いてある数字の通り(《稲妻/Lightning Bolt》なら3点)のダメージを生み出す。これはそれ以上にもならず、それ以下にもならないという事に他ならない。

自分が2/2クリーチャーをコントロールしていて、相手が3/3クリーチャーをコントロールしており、自分の手札には《稲妻/Lightning Bolt》がある場合。ダメージ効率を求めるのであれば対戦相手に《稲妻/Lightning Bolt》を撃ち込むのが正解だ。しかし、2/2クリーチャーが確実に4ダメージ、すなわち2回攻撃できる状況なのであれば、3/3クリーチャーを除去するために《稲妻/Lightning Bolt》を使うべきだ。

アグロデッキは対戦相手がどんなデッキを使い、どんなカードを使っていたとしても、毎回行なうシークェンスはそう大きく変わらない。コンボデッキやコントロールデッキと違い、各々のカードの行う仕事は「ダメージを与える」事だけで、機能的には全く変わりが無い。クリーチャー呪文とダメージ呪文は表面的に共通点はほとんど無いが、カードが行った仕事の最終的結果はほぼ同じである。そう、「ダメージを与えた」だけなのである。

恒久的なダメージを与えられるもの以外のパーマネント(オーラ等)は、メタゲーム等を考慮せずに投入するのは控えるべきだ。なぜならアグロデッキはダメージ効率を最優先するべきであって、ボード・コントロール力やその他のアドバンテージは全てに於いて2の次だからである。


アグロデッキ構築の為のヒント

◆アグロデッキは一般的に、自分のライフの総量を完全に無視し、相手が死ぬまでダメージを与え続ける事を戦略としている。

◆アグロデッキに投入されているカードの大半は、対戦相手にトドメをさせるカードである。

◆アグロデッキは通常、1マナと2マナのカードがそれぞれ8〜12枚ずつ投入されている。

◆アグロデッキは通常、23枚以下の少ない土地、または非攻撃マナ源を採用している。

◆サイズの小さいクリーチャーを初期ターンから攻撃に向かわせると、たった1枚のカードで少なくとも火力呪文と同等のダメージを与える事が出来る。

◆アグロデッキの呪文は、ダメージ / 除去呪文(《稲妻/Lightning Bolt》)、パンプアップ呪文(《怨恨/Rancor》や《粗暴な力/Brute Force》)、積極的なカードアドバンテージ呪文(《獣群の呼び声/Call of the Herd》や《絡み根の霊/Strangleroot Geist》)などで構成されている。


デッキアーカイブ / Deck Archive

最終更新:2013年10月02日 02:06